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第10章 魔法学院ミユ編
83.クルドとダンジョン
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今日は、クルドとデートだ。まあ、デートと言っても、単にクルドとダンジョンに潜るだけだけどね。
対抗戦で、クルドのグループもそれなりにポイントを稼いでいたみたい。それで、タンクとしてのクルドを認めてしまったの。そしたら、ダンジョンに行くことになってしまったの。なんだか、エルミアに嵌められてしまったみたい。
初級ダンジョンの入り口で、待ち合わせ。私が行くと、クルドは既に入り口で私を待って居た。
「クルド、お早う」
「あっ、キリ、来てくれたんだ」
「仕方ないでしょ」
「あっ、ありがとう」
「どういたしまして。でも、何故、一緒に潜りたいの?」
「まあ、いいじゃないか」
クルドは、私にタンクとして、役に立つところを見せたかったようだ。でも、パーティーのメンバーは、諦めてくれたようだ。今日は、パープルも付いて来ていない。本当に、2人きりだ。
「それじゃ、行こうか?」
「あれ、手数料は?」
「もう、払っているよ」
「ありがとう」
クルドは、先頭で、ダンジョンの中に入って行った。私は、念のために、クルドに知られないように、闇魔法で、結界を張っておいた。これで、怪我なく、ダンジョンから出てこれるだろう。
クルドは、本当にタンクのように、魔法を使わずに、魔物を剣で、倒して行く。時折、私の方をみて、ドヤ顔をするのが、厭だった。
「クルド、疲れていない?」
「まだまだ、大丈夫だ」
「無理しないでよ。そうだ、これを飲んでおいてね」
私は、アイテムボックスから、赤のポーションを1本取り出して、クルドに渡した。
「ありがとう」
クルドは、一気に飲み干した。これで、大丈夫だろう。
「ねえ、今日は、どこまで、潜るの」
「特に、決めていないけど、少し強い魔物を倒したいんだ」
「どんな、魔物を考えているの?」
「そうだな。サーペイントかな?」
「クルドは、倒したことがあるの?」
「いいや、この前の対抗戦でも、見つけることが出来なかった」
「そう」
私は、スキル探索で、ダンジョン内の魔物を調べた。すると、サーペイントは、第11階層に2匹いることが分かった。私は、クルドには黙っておくことにした。
「クルド、私の助けが必要な時は言ってね」
「大丈夫。俺一人でやれるよ」
「そう。それならいいけど」
クルドは、また、魔物を倒しながら、ダンジョンの中を進んで行った。まあ、今の状態なら大丈夫そうだ。でも、魔物の群れが現れたら、どうするのだろう?もう少し進むと、ワーウルフの群れが現れるけど、剣だけで、倒せるのか、少し、不安だ。
「クルド、無理しないでね」
クルドは、私の声に応えずに、振り返りもせずに、先を急いでいた。これは、少し、無理をしているのじゃないかなぁ?
「ねえ、クルド、大丈夫?」
「キリ、心配いらないよ。まだまだ、元気だよ」
「そんなことを言っているのじゃないの。この先にワーウルフの群れがあるけど、大丈夫?」
「ワーウルフなら、倒したことがあるよ。大丈夫だ」
これ以上何を言っても、無駄みたいなので、いざとなったら、私が倒すつもりで、暫く、様子を見ることにした。
とうとう、ワーウルフの群れに遭遇した。総数13匹なので、剣だけでは、少し、倒し切るのは、難しいけど、クルドは、どうするのだろう?
クルドは、何の計画もなかったように、そのまま、ワーウルフの群れに突進していった。そして、あっという間に、取り囲まれてしまった。ワーウルフは、クルドに対して、攻撃しては、直ぐに引き上げるということを繰り返している。クルドは、その都度、剣で対応しているが、少しずつ疲れが見えて来た。動きが、少しずつ、鈍くなっている。そろそろ、限界みたい。
でも、私が、声を掛けても、多分、聞かないだろうから、少しは、攻撃を受けて、痛い思いをしてから、助けることにした。
だんだんと、剣で、ワーウルフの攻撃をかわすことができないで、傷をつけられるほどの攻撃をされている。でも、私の結界のお陰で、本当の怪我は、していない。まあ、死ぬことはないから、もう少し、様子を見ることにした。
私は、クルドから離れて、ワーウルフの攻撃を眺めていた。だんだんと、ワーウルフの攻撃の輪が小さくなっていき、ついに、クルドの姿が、ワーウルフの群れの中に消えてしまった。
私は、スキル探索で、ワーウルフとクルドの状態を調べた。すると、一方的に攻撃を受けているけど、クルドに致命的な怪我は、生じていなかった。やはり、私の結界で、クルドは、守られているようだ。後は、クルドが、気づくかどうかだ。
「クルド、大丈夫?」
私が、声を掛けても、返事がない。どうしよう?
「私、先に帰るよ」
「キリ、ちょっと、待ってよ」
「見ていても退屈だから、帰るね」
「わかったよ。何とかしてくれ!」
「はい。わかった」
私は、クルドに当たらないように魔法を放つことにした。
「風壁
風壁
風壁」
クルドは、寝ているので、地上1mぐらいに魔法を放った。すると、ほとんどのワーウルフが倒れて、魔石が飛び出した。数匹残ったが、それは、剣で、切り裂いて倒した。
「クルド、大丈夫?」
「うん。攻撃されたけど、怪我はないよ」
「まあ、それならいいか」
クルドは、私に助けられたのが恥ずかしいのか、すっかり、しょげてしまっていた。そして、黙ったまま、魔法学院まで、帰って来た。
「キリ、今日は、ありがとう。付き合ってくれて」
「いいのよ。約束だからね」
私は、クルドと別れて、自分の部屋で、休憩した。パープルが優しく迎えてくれた。
対抗戦で、クルドのグループもそれなりにポイントを稼いでいたみたい。それで、タンクとしてのクルドを認めてしまったの。そしたら、ダンジョンに行くことになってしまったの。なんだか、エルミアに嵌められてしまったみたい。
初級ダンジョンの入り口で、待ち合わせ。私が行くと、クルドは既に入り口で私を待って居た。
「クルド、お早う」
「あっ、キリ、来てくれたんだ」
「仕方ないでしょ」
「あっ、ありがとう」
「どういたしまして。でも、何故、一緒に潜りたいの?」
「まあ、いいじゃないか」
クルドは、私にタンクとして、役に立つところを見せたかったようだ。でも、パーティーのメンバーは、諦めてくれたようだ。今日は、パープルも付いて来ていない。本当に、2人きりだ。
「それじゃ、行こうか?」
「あれ、手数料は?」
「もう、払っているよ」
「ありがとう」
クルドは、先頭で、ダンジョンの中に入って行った。私は、念のために、クルドに知られないように、闇魔法で、結界を張っておいた。これで、怪我なく、ダンジョンから出てこれるだろう。
クルドは、本当にタンクのように、魔法を使わずに、魔物を剣で、倒して行く。時折、私の方をみて、ドヤ顔をするのが、厭だった。
「クルド、疲れていない?」
「まだまだ、大丈夫だ」
「無理しないでよ。そうだ、これを飲んでおいてね」
私は、アイテムボックスから、赤のポーションを1本取り出して、クルドに渡した。
「ありがとう」
クルドは、一気に飲み干した。これで、大丈夫だろう。
「ねえ、今日は、どこまで、潜るの」
「特に、決めていないけど、少し強い魔物を倒したいんだ」
「どんな、魔物を考えているの?」
「そうだな。サーペイントかな?」
「クルドは、倒したことがあるの?」
「いいや、この前の対抗戦でも、見つけることが出来なかった」
「そう」
私は、スキル探索で、ダンジョン内の魔物を調べた。すると、サーペイントは、第11階層に2匹いることが分かった。私は、クルドには黙っておくことにした。
「クルド、私の助けが必要な時は言ってね」
「大丈夫。俺一人でやれるよ」
「そう。それならいいけど」
クルドは、また、魔物を倒しながら、ダンジョンの中を進んで行った。まあ、今の状態なら大丈夫そうだ。でも、魔物の群れが現れたら、どうするのだろう?もう少し進むと、ワーウルフの群れが現れるけど、剣だけで、倒せるのか、少し、不安だ。
「クルド、無理しないでね」
クルドは、私の声に応えずに、振り返りもせずに、先を急いでいた。これは、少し、無理をしているのじゃないかなぁ?
「ねえ、クルド、大丈夫?」
「キリ、心配いらないよ。まだまだ、元気だよ」
「そんなことを言っているのじゃないの。この先にワーウルフの群れがあるけど、大丈夫?」
「ワーウルフなら、倒したことがあるよ。大丈夫だ」
これ以上何を言っても、無駄みたいなので、いざとなったら、私が倒すつもりで、暫く、様子を見ることにした。
とうとう、ワーウルフの群れに遭遇した。総数13匹なので、剣だけでは、少し、倒し切るのは、難しいけど、クルドは、どうするのだろう?
クルドは、何の計画もなかったように、そのまま、ワーウルフの群れに突進していった。そして、あっという間に、取り囲まれてしまった。ワーウルフは、クルドに対して、攻撃しては、直ぐに引き上げるということを繰り返している。クルドは、その都度、剣で対応しているが、少しずつ疲れが見えて来た。動きが、少しずつ、鈍くなっている。そろそろ、限界みたい。
でも、私が、声を掛けても、多分、聞かないだろうから、少しは、攻撃を受けて、痛い思いをしてから、助けることにした。
だんだんと、剣で、ワーウルフの攻撃をかわすことができないで、傷をつけられるほどの攻撃をされている。でも、私の結界のお陰で、本当の怪我は、していない。まあ、死ぬことはないから、もう少し、様子を見ることにした。
私は、クルドから離れて、ワーウルフの攻撃を眺めていた。だんだんと、ワーウルフの攻撃の輪が小さくなっていき、ついに、クルドの姿が、ワーウルフの群れの中に消えてしまった。
私は、スキル探索で、ワーウルフとクルドの状態を調べた。すると、一方的に攻撃を受けているけど、クルドに致命的な怪我は、生じていなかった。やはり、私の結界で、クルドは、守られているようだ。後は、クルドが、気づくかどうかだ。
「クルド、大丈夫?」
私が、声を掛けても、返事がない。どうしよう?
「私、先に帰るよ」
「キリ、ちょっと、待ってよ」
「見ていても退屈だから、帰るね」
「わかったよ。何とかしてくれ!」
「はい。わかった」
私は、クルドに当たらないように魔法を放つことにした。
「風壁
風壁
風壁」
クルドは、寝ているので、地上1mぐらいに魔法を放った。すると、ほとんどのワーウルフが倒れて、魔石が飛び出した。数匹残ったが、それは、剣で、切り裂いて倒した。
「クルド、大丈夫?」
「うん。攻撃されたけど、怪我はないよ」
「まあ、それならいいか」
クルドは、私に助けられたのが恥ずかしいのか、すっかり、しょげてしまっていた。そして、黙ったまま、魔法学院まで、帰って来た。
「キリ、今日は、ありがとう。付き合ってくれて」
「いいのよ。約束だからね」
私は、クルドと別れて、自分の部屋で、休憩した。パープルが優しく迎えてくれた。
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