二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第10章 魔法学院ミユ編

82ー2.魔法学院のイベント(2)

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 いよいよ、今日が、魔法学院内の対抗戦の日だ。私達は、いつも通り、食堂で、朝食を取りながら、打ち合わせをした。

 「対抗戦の開始前に、私がスキル探索で、ダンジョンの中を調ね。ミユ、マップにしてね」

 「キリ、ダイジョブよ。用意しているよ」

 「パープルは、魔物を倒した後の証拠品を集めてね」

 「うん。大丈夫、キリ、任せて」

 「ポイントの高い魔物から、一気の倒して行くよ。フヨウ、頑張ってね」

 「分かっているよ。でも、キリも範囲攻撃で、倒して行くのだろう?」

 「そうよ。倒して行くよ。でも、群れで行動している魔物が中心だから、単独の魔物は任せるよ」

 「分かった。任せてくれ」

 「ミユは、強化も頼むね」

 「キリ、当然よ。任せてね。それから、攻撃の指示を私が出してもいいかな?」

 「いいわ。ミユが、指揮官ね。頼むわ」

 「はい」

 エルミアが、不安げに声を出した。

 「あの、私は?」

 「エルミアは、フヨウの支援をしてね」

 「はい」

 私達は、食事と打ち合わせを終えて、対抗戦の実施場所である初級ダンジョンに向かった。今日は、魔法学院主催の対抗戦なので、転移魔法は、使わないで、他の生徒と同じように歩いて移動した。

 「さあ、着いたわ。私は、ダンジョンの中を調べるね。ミユ、お願い」

 私とミユは、ダンジョンの中を調べ、どこに、どの魔物が何匹いるのかをマップに記入していった。

 「さあ、準備が出来たわ」

 今回の対抗戦にエントリーしたのは、11チームだった。ほとんどが、最終学年の3年生だった。私達のパーティーとクルドのグループだけが、1年生での参加になった。

 対抗戦の諸注意が担当教師から、行われるので、私達も、ダンジョン前に整列に参加した。学年順に並んでいるので、クルドのグループが私達のパーティーの横に並ぶことになった。

 「よお、キリ、今日は、俺たちのグループが優勝だ」

 クルドが私に話しかけて来た。私は、無視することにした。クルドの関わると碌な事にならないからだ。

 「おい、キリ、無視するなよ。前に言った約束を覚えているだろうな」

 「クルド、話しかけないで」

 「おい、約束だろ」

 「覚えてないわ」

 「タンクがいるって、言っていただろ」

 「タンクなら、もう、フヨウがいるよ」

 「キリ、それはないだろ。今日まで、タンクの練習をして来たんだ」

 「それって、私が頼んだの?」

 「そうじゃないけど、俺は、キリと、ダンジョンに潜りたいんだ」

 「そう。パーティーに入りたいって言うことじゃないのね」

 「いや、できれば、パーティーに、入りたいよ。でも、もう、タンクが入っているのだろ」

 「そうよ。だから、だめよ」

 「それなら、一度でいいから、俺とダンジョンに潜ってくれないか?」

 「一度でいいのね」

 「そうだ。それでいい」

 「そうね。それなら、考えてもいいわ。でも、本当に、タンクとして、役に立つことが分からないとだめよ」

 「分かった。この対抗戦で、タンクとして役に立つことを示すよ」

 「頑張ってね」

 クルドは、少し、顔を赤らめて、急に大きな声を出した。

 「よし! やるぞ」

 私は、聞こえていない振りをした。すると、エルミアが私に声を掛けて来た。それも、何故か、小さな声で、私の耳元で、囁いた。

 「キリ、あれで、大丈夫?」

 「どういうこと?」

 「クルドは、貴方の事が好きなのよ」

 「そんなことはないわ」

 「絶対そうよ」

 「キリは、どうなの?」

 「えっ、考えたこともないわ」

 「それなら、早めにはっきり言った方がいいよ」

 「何を言うの?」

 「好きじゃないって」

 「私、クルドのこと、なんとも思っていないのよ。だから、放っておくわ」

 エルミアは、諦め顔で、私から、離れた。

 「それでは、開始します。くれぐれも、無理をしないように。危険だと思ったら、直ぐに、近くの教師に声を掛けてください。よろしいですか。
 それでは、スタート」

 ミユは、素早く、私達を強化した。

 「スキル魔力耐性向上、
 スキル物理攻撃向上、
 スキル攻撃速度向上」

 「それじゃ、行くよ」

 「「はい」」

 私達は、ミユの指示で、まず、第10階層まで、一気に進むことにした。そこに、サーペイントが3匹いる。それを狩りながら、近くのワーウルフの群れとゴブリンの群れを狩る予定だ。

 私とエルミアが範囲攻撃で、第10階層までに現れた魔物の群れを狩って行った。

 「火壁ファイア・ウォール

 エルミアが、途中に現れた魔物の群れに魔法を放った。私も、エルミアに負けずに魔法を放った。

 「火壁ファイア・ウォール
 火壁ファイア・ウォール
 火壁ファイア・ウォール

 パープルが素早く証拠品を集めている。フヨウとエルミアは、ほとんど、止まることがなく、ダンジョンの第10階層に向かって、潜って行った。

 第5階層に到着したときに私は、用心のために、闇魔法で、結界を張った。そして、パーティーのメンバーの防御力を高めておいた。これで、このダンジョンの魔物程度では、怪我をすることがないだろう。

 「もうすぐ、目的の第10階層よ。フヨウとエルミアは、サーペイントに備えてね」

 「はい。大丈夫です」

 「私も、いいわ。キリ、支援をお願いね」

 私は、フヨウとエルミアに声を掛けて、サーペイントに備えさせた。そして、私も、そこまでのワーウルフとゴブリンの群れに備えた。
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