二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
133 / 145
第13章 Sクラスパーティー編

99.ギルド長の依頼

しおりを挟む
 私は、ギルド長の依頼を引き受けて、盗賊に身代金を渡す役を引き受けた。指定された場所に行くと、盗賊が5人いたが、令嬢は、見当たらなかった。

 「身代金を持って来たわ」

 「よし、そこに置いて、帰れ!」

 「令嬢は、どこ? 連れて帰るわ」

 私は、スキル鑑定で、盗賊を一人ずつ、調べて行った。すると、一人の首に神具がぶら下っているのが分かった。どうも、この神具で、ここの様子を見ているようだ。

 「ここにはいない。身代金が指定された額入っているか、調べる。それから、帰す」

 「わかったわ。それなら、ここで、袋を開けるね」

 私は、その場に、袋から、身代金を出して、地面にばら撒いた。

 「おい、何をするんだ!」

 「調べなさいよ」

 5人の盗賊は渋々、お金を調べ始めた。そして、指定額が入っていたことを確認した。

 「どう? 入っていたでしょ」

 「あぁ、確かに、入っていた」

 「それなら、令嬢を帰してよ」

 「分かった。だが、此処にはいない」

 「約束と違うわ」

 「必ず帰す」

 私は、素早く、身代金の入った袋を取り上げて、5人の盗賊から、離れた。

 「おい、何をする」

 「この身代金は、令嬢と引き換えよ」

 「おい、どうしよう」

 「この娘を取り押さえろ」

 5人の盗賊が一斉に襲ってきた。私は、土魔法で、盗賊の足を固めて、拘束した。そして、次に、隠れている一人の盗賊を同じように土魔法で、拘束し、更に、声を出せないように口も、土魔法で、覆った。

 「首から下げている物を見せてね」

 私は、一人の盗賊に近づいて、首から下げている神具を調べた。確かに、音声を伝えるための魔法陣が描かれていた。そこで、私は、その魔方陣に細工して、相手の映像が見える様にした。

 「ふーん、そこに令嬢を捕らえているのね。でも、そこって、お城のようね」

 次に、私は、先ほどの魔法陣を更に加工して、転移用の魔法陣を接続した。これで、相手の所に行くことが出来る。そして、こちらの音声が聞こえないようにしてから、フヨウ達に声を掛けた。

 「こっちに来て、盗賊を拘束しておいてね。それから、身代金も保管しておいて」

 「キリは、どうするの?」

 「令嬢がいる所に、飛んでいくよ。パープルは、一緒に行く?」

 「うん、行くよ」

 私は、パープルに腰を抱いて貰い、隠密魔法を掛けて、二人の姿を消した。それから、転移魔法で、こちらをのぞき見していた人達がいる城の中に移動した。

 私は、思念伝達で、パープルに連絡を取った。

 「この部屋の出入口に立って、誰も入れないようにしてね」

 「うん。分かった」

 私は、スキル探索で、部屋の中を調べた。すると、部屋の隅に目的の令嬢らしき少女がいた。それと、兵士達が10人いて、主人らしき貴族を取り囲んでいた。

 主人らしき者は、神具から聞こえるはずの音を聞こうとしていた。しかし、何の音も聞こえてこなかった。

 「おい、誰か、この神具を調べてくれ。音が聞こえなくなった」

 私は、主人らしき貴族の周りに集まった兵士を除き、部屋の中の兵士を倒して行った。そして、素早く、土魔法で、拘束した。

 残りは貴族と兵士3名のみだ。部屋の中が薄暗かったので、光魔法で、照らして、隅々まではっきり見えるようにした。

 そして、隅に拘束されている少女の傍に行き、名前を尋ねた。確かに、探していた令嬢だ。このまま、連れて帰るだけでいいのだが、首謀者の貴族も連れて帰ることにした。

 私は、残っている兵士を倒してから、貴族の前で、隠密魔法を切って、姿を現した。

 「お前は、何処から現れた」

 「どこからでもいいよ。お前が首謀者か?」

 「それなら、どうする」

 「一緒に、来て貰うよ」

 私は、貴族の身体を闇魔法で創った結界で覆い、外界から遮断した。そして、少女にも同じように、闇魔法で創った結界で覆い、外界から遮断した。

 「パープル、帰るよ」

 「うん」

 パープルは、素早く、少女と貴族を抱えて、私の傍に遣って来た。私は、パープルを抱いて、転移魔法で、冒険者ギルドの近くに移動した。

 私は、パープルに2人を抱えて貰いながら、冒険者ギルドの中に入って行った。

 「すみません。ギルド長に用事があるのですが」

 「あぁ、先ほどのキリさんね。こっちに来てください」

 私は、受付の女性に案内されて、ギルド長と依頼主がいる部屋に入って行った。

 続いて、パープルが2人を抱えて、部屋に入った。私は、2人の結界を取り除いた。

 「この少女で、良かったですか?」

 依頼主は、私が声を掛ける前に、少女の所に走って行った。

 「はい、この子です。間違いありませ。ありがとうございました」

 ギルド長が、私に尋ねた。

 「この貴族は、誰だ?」

 「この人が首謀者です。盗賊は、フヨウ達が捕らえています」

 「捕らえた盗賊を連れて来て貰えるか?」

 「いいですよ」

 私は、思念伝達でミユに連絡をした。

 「冒険者ギルドに6人の盗賊を連れて来てくれる」

 「はい」

 「ところで、ミユは、転移魔法用の神具は持っているの」

 「はい、持っています」

 「それじゃ、それを使ってね」

 「はい、直ぐに行きます」

 暫くして、フヨウ達と盗賊が冒険者ギルドに入って来た。盗賊は、冒険者ギルドの従業員に牢屋に放り込まれた。

 「キリ、お待たせ」

 ギルド長がいる部屋に、フヨウ達が入って来た。そして、身代金を依頼主に返した。

 「今回は、ご苦労様。後は、私の方で処理しておくよ」

 後になって分かったことだが、例の首謀者の貴族は、令嬢に結婚を申し込んで、断られた腹いせに誘拐したようだ。
 
 まあ、無事に解決して良かった。でも、男女の仲って、複雑だわ。ちょっとしたことで、拗れてしまう。私も、気をつけないとね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金
ファンタジー
コミカライズスタートしました♡♡作画は甲羅まる先生です。 目が覚めると私は牢屋で寝ていた。意味が分からない……。 どうやら私は何故か、悪事を働き処刑される寸前の白豚令嬢【ソフィア・グレイドル】に生まれ変わっていた。 何で?そんな事が? 処刑台の上で首を切り落とされる寸前で神様がいきなり現れ、『魂を入れる体を間違えた』と言われた。 ちょっと待って?! 続いて神様は、追い打ちをかける様に絶望的な言葉を言った。 魂が体に定着し、私はソフィア・グレイドルとして生きるしかない と…… え? この先は首を切り落とされ死ぬだけですけど? 神様は五歳から人生をやり直して見ないかと提案してくれた。 お詫びとして色々なチート能力も付けてくれたし? このやり直し!絶対に成功させて幸せな老後を送るんだから! ソフィアに待ち受ける数々のフラグをへし折り時にはザマァしてみたり……幸せな未来の為に頑張ります。 そんな新たなソフィアが皆から知らない内に愛されて行くお話。 実はこの世界、主人公ソフィアは全く知らないが、乙女ゲームの世界なのである。 ヒロインも登場しイベントフラグが立ちますが、ソフィアは知らずにゲームのフラグをも力ずくでへし折ります。

装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中! ※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father ※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中! ※書影など、公開中! ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。 勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。 スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。 途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。 なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。 その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~

華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。 突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。 襲撃を受ける元婚約者の領地。 ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!! そんな数奇な運命をたどる女性の物語。 いざ開幕!!

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

愛しくない、あなた

野村にれ
恋愛
結婚式を八日後に控えたアイルーンは、婚約者に番が見付かり、 結婚式はおろか、婚約も白紙になった。 行き場のなくした思いを抱えたまま、 今度はアイルーンが竜帝国のディオエル皇帝の番だと言われ、 妃になって欲しいと願われることに。 周りは落ち込むアイルーンを愛してくれる人が見付かった、 これが運命だったのだと喜んでいたが、 竜帝国にアイルーンの居場所などなかった。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろうでも公開しています。 2025年1月18日、内容を一部修正しました。

処理中です...