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第10章 魔法学院ミユ編
85.後期試験
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今日は、後期試験の初日だ。後期試験は、実技試験が中心なので、結構時間が掛かる。そのため、3日に渡って、行われる。私は、今回は、初級の講座ばかりなので、気が楽だ。初日は、火魔法と水魔法の講座の試験だけだ。
私は、すべて、実技試験なので、一日、演習場での試験だ。演習場では、複数のグループに分かれて、試験を実施するようだ。担当の教師に呼ばれた順に同じ魔法を起動していく。特に、問題もなく、全員終えて行った。そして、私の順番が来た。
「それじゃ、この先の的に火魔法を放ってください」
担当の教師に言われたように、的に向かって火魔法を起動した。今回は、的に当たるだけで、いいらしい。
私は、いつものように、無詠唱で、ダンジョンの中の魔物を倒すように、魔法を起動した。
火球を起動するつもりが、つい間違えて、火柱を起動してしまった。
的は、高さ10mにも達する炎の中で、溶けてなくなった。
「キリさん、止めなさい!」
私は、担当の教師に言われるまで、間違いに気付かなかった。そして、大きな炎を眺めていた。少ししてから、起動した炎を消した。
私の周りの生徒も教師も、驚いて、私を遠巻きに見つめていた。
「キリさん。あなたは、実技試験を受けなくてもいいです」
担当の教師に宣言されてしまった。私は、筆記試験は、厭よ。
「先生、実技試験を受けさせてください」
「いいえ、だめです。もう、実技試験は、受けさせません」
「今後は、こんなことが起こらないようにします。ですから、お願いです」
「分かりました。今後は、十分に注意して下さいよ」
「はい」
私は、火魔法の試験を1つの魔法を起動しただけで、免除された。担当の教師が、私の言葉を信じなかったみたい。でも、不合格じゃないって、言ってくれたので、安心して、次の水魔法の試験の演習場に向かった。
今度は、失敗しないようにって、思っていたのだけど。
係の教師が生徒を横一列に並べている。私も、その中に急いで入って、一緒に並んだ。
「それぞれの前に、氷柱を作ってください。形は自由です。ただし、時間内に作成できない場合は失格です。それでは、初めてください」
周りが、一斉に魔法を唱え始めた。それに、遅れないように、私も、急いで、魔法を放った。
「氷柱地獄」
やった、時間内に発動できた。私は、氷柱と聞いて、うっかり上級魔法を放ってしまった。放った魔法は、元には、戻せない。私の前には、他の生徒の氷柱をすべて潰してしまうほどの氷が出来上がっていた。
「だっ、誰が、こんな魔法を放ったの! 辺り一面が氷で、覆われてしまったわ」
この後、担当の先生が走って来て、私は、滾々と説教をされた。私は、ひたすら謝って、何とか許して貰えた。
私は、こっそりと、食堂に向かった。そして、周りの目を無視して、食事を始めた。すぐに、パープルもやって来て私の横に座った。
暫くしてから、ミユ、フヨウ、エルミアがやって来て、私を取り囲んだ。
「キリ、何かやったの?」
エルミアが、聞いてきた。
「うん。ちょっと、大きめの魔法を放ってしまったの。悪気があったわけじゃないのよ」
「もう、キリったら。凄いことになっているよ」
「どうゆうこと?」
「あれ? キリは、知らないの」
ミユも不思議そうな顔をしている。どうやら、私が作った氷の山が溶けないようだ。それで、大勢の教師が集まって、相談しているらしい。
「そんなことってあるの? たかが氷よ」
「まあ、キリも一緒においでよ。そうすれば、分かるよ」
私達は、食堂を出て、水魔法の演習場にやって来た。すると、エルミアが、言っていたように、大勢の教師が集まって、山のような氷を溶かそうと、一生懸命魔法を放っていた。でも、氷の山は、一向に溶けそうになかった。
氷の温度があまりにも低いために、少しぐらいの火魔法では、溶けないようだ。教師の魔力が枯渇してしまいそうだった。
「ほら、言った通りでしょ」
エルミアが、私に言い放った。そして、ミユが何とかしなさいって、顔をしている。
「分かったわ。私が、片づけたらいいのね」
「「そのとおり」」
私は、氷の山の周りに闇魔法で、結界を張って、これから放つ魔法が周りの教師に影響を与えないようにした。
「火炎地獄」
私の放った魔法で、氷の山が一気に溶け始めた。そして、辺りは、水浸しになった。周りの先生は、無事のようだ。
「これでいいんでしょ」
「そうだね。まあ、先ほどよりは、マシだね」
フヨウが、私を慰めようと言ったが、私は、余り気分が良くなかった。
「食堂に行くよ」
「「はい」」
私達は、また、食堂に行き、食事を始めた。食べながら、明日の事を話しあっていたら、上級教師のマルグリットがやって来た。
「キリ、大変なことになったわ」
「マルグリット先生、すみませんでした」
「まあ、やってしまったことは、仕方がないけど。明日からの実技演習は、キリを出すなと担当の教師が、すごい剣幕で学院長に詰め寄ったの」
「それで、どうなったんですか?」
「私も、弁護したんだけど、やっぱり、だめで、明日からの実技演習は、出れなくなったわ」
「えっ、それじゃ、私は、不合格ですか?」
「不合格じゃないわ。今後、キリは、実技演習は、免除にするって」
「今後って、来年も受けれないんですか?」
「そうよ。卒業まで、実技は、免除よ」
「わかりました」
マルグリット先生は、私に結果を伝えたら、帰って行った。
「キリ、良かったね」
エルミアが、私に言ったが、私は、ちっとも、良かったと思わなかった。実技演習も少しは、楽しみだったのに、卒業まで、参加できないって。
でも、お咎めなしって、まあ、良かったのかな。これで、私の後期試験は、終わってしまった。
私は、すべて、実技試験なので、一日、演習場での試験だ。演習場では、複数のグループに分かれて、試験を実施するようだ。担当の教師に呼ばれた順に同じ魔法を起動していく。特に、問題もなく、全員終えて行った。そして、私の順番が来た。
「それじゃ、この先の的に火魔法を放ってください」
担当の教師に言われたように、的に向かって火魔法を起動した。今回は、的に当たるだけで、いいらしい。
私は、いつものように、無詠唱で、ダンジョンの中の魔物を倒すように、魔法を起動した。
火球を起動するつもりが、つい間違えて、火柱を起動してしまった。
的は、高さ10mにも達する炎の中で、溶けてなくなった。
「キリさん、止めなさい!」
私は、担当の教師に言われるまで、間違いに気付かなかった。そして、大きな炎を眺めていた。少ししてから、起動した炎を消した。
私の周りの生徒も教師も、驚いて、私を遠巻きに見つめていた。
「キリさん。あなたは、実技試験を受けなくてもいいです」
担当の教師に宣言されてしまった。私は、筆記試験は、厭よ。
「先生、実技試験を受けさせてください」
「いいえ、だめです。もう、実技試験は、受けさせません」
「今後は、こんなことが起こらないようにします。ですから、お願いです」
「分かりました。今後は、十分に注意して下さいよ」
「はい」
私は、火魔法の試験を1つの魔法を起動しただけで、免除された。担当の教師が、私の言葉を信じなかったみたい。でも、不合格じゃないって、言ってくれたので、安心して、次の水魔法の試験の演習場に向かった。
今度は、失敗しないようにって、思っていたのだけど。
係の教師が生徒を横一列に並べている。私も、その中に急いで入って、一緒に並んだ。
「それぞれの前に、氷柱を作ってください。形は自由です。ただし、時間内に作成できない場合は失格です。それでは、初めてください」
周りが、一斉に魔法を唱え始めた。それに、遅れないように、私も、急いで、魔法を放った。
「氷柱地獄」
やった、時間内に発動できた。私は、氷柱と聞いて、うっかり上級魔法を放ってしまった。放った魔法は、元には、戻せない。私の前には、他の生徒の氷柱をすべて潰してしまうほどの氷が出来上がっていた。
「だっ、誰が、こんな魔法を放ったの! 辺り一面が氷で、覆われてしまったわ」
この後、担当の先生が走って来て、私は、滾々と説教をされた。私は、ひたすら謝って、何とか許して貰えた。
私は、こっそりと、食堂に向かった。そして、周りの目を無視して、食事を始めた。すぐに、パープルもやって来て私の横に座った。
暫くしてから、ミユ、フヨウ、エルミアがやって来て、私を取り囲んだ。
「キリ、何かやったの?」
エルミアが、聞いてきた。
「うん。ちょっと、大きめの魔法を放ってしまったの。悪気があったわけじゃないのよ」
「もう、キリったら。凄いことになっているよ」
「どうゆうこと?」
「あれ? キリは、知らないの」
ミユも不思議そうな顔をしている。どうやら、私が作った氷の山が溶けないようだ。それで、大勢の教師が集まって、相談しているらしい。
「そんなことってあるの? たかが氷よ」
「まあ、キリも一緒においでよ。そうすれば、分かるよ」
私達は、食堂を出て、水魔法の演習場にやって来た。すると、エルミアが、言っていたように、大勢の教師が集まって、山のような氷を溶かそうと、一生懸命魔法を放っていた。でも、氷の山は、一向に溶けそうになかった。
氷の温度があまりにも低いために、少しぐらいの火魔法では、溶けないようだ。教師の魔力が枯渇してしまいそうだった。
「ほら、言った通りでしょ」
エルミアが、私に言い放った。そして、ミユが何とかしなさいって、顔をしている。
「分かったわ。私が、片づけたらいいのね」
「「そのとおり」」
私は、氷の山の周りに闇魔法で、結界を張って、これから放つ魔法が周りの教師に影響を与えないようにした。
「火炎地獄」
私の放った魔法で、氷の山が一気に溶け始めた。そして、辺りは、水浸しになった。周りの先生は、無事のようだ。
「これでいいんでしょ」
「そうだね。まあ、先ほどよりは、マシだね」
フヨウが、私を慰めようと言ったが、私は、余り気分が良くなかった。
「食堂に行くよ」
「「はい」」
私達は、また、食堂に行き、食事を始めた。食べながら、明日の事を話しあっていたら、上級教師のマルグリットがやって来た。
「キリ、大変なことになったわ」
「マルグリット先生、すみませんでした」
「まあ、やってしまったことは、仕方がないけど。明日からの実技演習は、キリを出すなと担当の教師が、すごい剣幕で学院長に詰め寄ったの」
「それで、どうなったんですか?」
「私も、弁護したんだけど、やっぱり、だめで、明日からの実技演習は、出れなくなったわ」
「えっ、それじゃ、私は、不合格ですか?」
「不合格じゃないわ。今後、キリは、実技演習は、免除にするって」
「今後って、来年も受けれないんですか?」
「そうよ。卒業まで、実技は、免除よ」
「わかりました」
マルグリット先生は、私に結果を伝えたら、帰って行った。
「キリ、良かったね」
エルミアが、私に言ったが、私は、ちっとも、良かったと思わなかった。実技演習も少しは、楽しみだったのに、卒業まで、参加できないって。
でも、お咎めなしって、まあ、良かったのかな。これで、私の後期試験は、終わってしまった。
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