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第4章 魔人誕生編
26ー2.新たな召喚魔法(2)
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新たな勇者京山心結は、案内された部屋の中で考え込んでいた。
眩しい光に包まれて、気が付くと、どこかの国の神殿の中で、神官達に囲まれていた。
年輩の神官から、「勇者」と言われたが、全く実感がない。前世では、家族から虐められ、逃げ出したいと何時も思っていた。両親と兄が旅行に出かけた間、私は、縄につながれ、何も食べれなかった。いつしか、動くことすら、出来なくなった。だから、この異世界に召喚されて、私は、喜んだ。
でも、私が勇者とは考えられない。このままでは、この異世界でも邪魔者になってしまう。役立たずと知られる前に何とかしないといけない。
しかし、常に誰かが、私の傍にいて、一人になる事すら出来ないでいる。この世界に来て、もう、1週間が経ったが、まだ、一度も、神殿の外には行ったことがない。何度頼んでも、許可されない。
神殿の中については、割と行動が自由に許された。ただし、常に見張られていたが。
あるとき、廊下の途中で、行き止まりの場所があった。どうも、私と同じように誰かが、閉じ込められているようだった。それについては、誰も教えてくれなかった。
また、ある時、図書室で本を読んでいた時だ、何か、部屋の隅で動いている気配を感じた。このことも、傍にいた神官に伝えたが、何も無いと言うだけで、全く私の話に耳を傾けてくれない。
しかし、何かいるという感覚は疑いようがない。私は、本を探すふりをして、部屋の隅に移動した。
部屋の隅の壁の一部に違和感を感じた。他の壁と何か、違っていた。どう違うのか、はっきりとは言えないが、確かに違う。
私は、少し、怖かったが、思い切って、その違和感がある壁を手で触った。すると、手が、壁の中に消えていった。
「うわぁ、何、これ?」
思わず、大きな声を出してしまった。私の声を聴いた神官達が集まって来た。
「勇者様、どうかされましたか?」
「大丈夫ですか?」
矢継ぎ早に聞かれた私は、少し、深呼吸をしてから答えた。
「大丈夫です。何でもないです。少し、よろけて、転びそうになっただけです」
「わかりました。お気を付けてください」
「はい。もう、いいですから、一人にしてください」
「はい、近くに居ますので、何かあればすぐに呼んで下さい」
神官達が離れたのを確認してから、もう一度、違和感がある壁を触ってみた。すると、やはり、手が壁の中に消えていった。でも、手の感触はある。つまり、見えなくなっただけだ。
よく分からないが、思い切って、そのまま、壁の中に入っていった。すると、その壁の先には別の部屋があった。そして、何かが、忙しそうに動いていた。まるで、ロボットのようだった。
「こんにちは」
私は、声を掛けて見た。しかし、返事はない。
「こんにちは。言葉がわからないの?」
でも、反応はなかった。しかたがないので、私は、部屋の中を調べることにした。
部屋は、特別教室ほどの広さで、廊下の先には、また、別の部屋があるみたいだ。
何があるか分からないけど、どうせ、一度死んだのだのだからと、自分に言い聞かせて、廊下に出た。廊下の突き当りには、階段があった。それを降りていった。すると、また、別の部屋があり、ロボットが動き回っていた。
沢山のロボットが動いていたが、その中で1台、監視しているロボットがあった。それと、目が合ったとたん、そのロボットが光り出した。
私は、訳がわからなくて、固まってしまった。すると、後ろから、声を掛けられた。私が振り向くと、そこには、猫耳の少女が立っていた。獣だけど、優しそうな顔で、私は何故か、怖くなかった。
「お前は、誰だ。ここで、何をしている」
パープルが、京山心結に話しかけた。
「私は、京山心結といいます。間違って、ここに来たみたい」
「嘘を言うな、ここは、入れないはずだ」
「私にも、分からないけど、入れたの」
「ちょっと、待て」
猫耳の少女は、何か、考え込んでいるような素振りだ。でも、時々、頷いている。ひょっとして、誰かと喋ってる?
「お前は、召喚者か?」
「多分、そうだと思います」
「勇者は、少年のはずだが、お前は、女じゃないか」
「よく分からない。でも、神官達が私を勇者様って言っているよ」
「そうか。
………。わかった。
私と一緒に来てもらおう」
「はい」
私は、素直に猫耳の少女の後を付いて行った。暫くすると、テーブルと椅子が置かれた部屋に案内された。
「ここで、座って、待つように」
「はい」
暫く待っていると、小さな女の子がやって来た。その子は、猫耳の少女を見るなり、頭を撫でていた。すると、猫耳の少女は、嬉しそうに、声を出していた。
「お待たせ、私は、少女よ。って、当りまえか。
京山心結と言ったね。神官達に召喚されて、勇者と呼ばれていると聞いたけど、間違いない? 」
「はい、その通りです」
「この世界の事は知っている?」
「いいえ、この建物の中しか見ていませんので、よく分かりません」
「うーん、ところで、あなたは、何歳?」
「私ですか? 前の世界では、16歳です」
「そうか、若いね。高校生?」
「そうです、高校2年生です」
「そうか、いいね。若くて」
京山心結は、勇者として召喚されて、神殿の中に閉じ込められていたようだ。まだ、何も仕事を依頼されていないようだ。召喚されて、1週間ぐらいなので、休ませていたのだろう。
しかし、なぜ、結界を破って、この部屋に入れたのか、不思議だ。
私、キリには、スキル鑑定があるが、まだ、人に対しては使えない、というか、使ったことがない。スキルも、使わないとレベルアップしないから、だめもとで、使ってみるかな。
【ステータス】
名前:京山心結(きょうやま みゆ)
種族:人間族(女)16才
職業:無職
LVレベル:1
HP(最大体力量):100
MP(最大魔力量):1000
魔法:土魔法(LV1)、火魔法(LV1)、水魔法(LV1)、風魔法(LV1)、光魔法(LV1)
スキル:解呪(LV1)
「おぉー、見えるじゃん」
「スキル鑑定 レベルアップしました」と頭の中で響いた。あれ、これも始めてかな。気持ち悪い。
「そうか、解呪が使えるのか。
そうすると、ヤバいな。レベル1で破られている。
でも、勇者じゃ、仕方がないな。
? 勇者と出ていないよ」
眩しい光に包まれて、気が付くと、どこかの国の神殿の中で、神官達に囲まれていた。
年輩の神官から、「勇者」と言われたが、全く実感がない。前世では、家族から虐められ、逃げ出したいと何時も思っていた。両親と兄が旅行に出かけた間、私は、縄につながれ、何も食べれなかった。いつしか、動くことすら、出来なくなった。だから、この異世界に召喚されて、私は、喜んだ。
でも、私が勇者とは考えられない。このままでは、この異世界でも邪魔者になってしまう。役立たずと知られる前に何とかしないといけない。
しかし、常に誰かが、私の傍にいて、一人になる事すら出来ないでいる。この世界に来て、もう、1週間が経ったが、まだ、一度も、神殿の外には行ったことがない。何度頼んでも、許可されない。
神殿の中については、割と行動が自由に許された。ただし、常に見張られていたが。
あるとき、廊下の途中で、行き止まりの場所があった。どうも、私と同じように誰かが、閉じ込められているようだった。それについては、誰も教えてくれなかった。
また、ある時、図書室で本を読んでいた時だ、何か、部屋の隅で動いている気配を感じた。このことも、傍にいた神官に伝えたが、何も無いと言うだけで、全く私の話に耳を傾けてくれない。
しかし、何かいるという感覚は疑いようがない。私は、本を探すふりをして、部屋の隅に移動した。
部屋の隅の壁の一部に違和感を感じた。他の壁と何か、違っていた。どう違うのか、はっきりとは言えないが、確かに違う。
私は、少し、怖かったが、思い切って、その違和感がある壁を手で触った。すると、手が、壁の中に消えていった。
「うわぁ、何、これ?」
思わず、大きな声を出してしまった。私の声を聴いた神官達が集まって来た。
「勇者様、どうかされましたか?」
「大丈夫ですか?」
矢継ぎ早に聞かれた私は、少し、深呼吸をしてから答えた。
「大丈夫です。何でもないです。少し、よろけて、転びそうになっただけです」
「わかりました。お気を付けてください」
「はい。もう、いいですから、一人にしてください」
「はい、近くに居ますので、何かあればすぐに呼んで下さい」
神官達が離れたのを確認してから、もう一度、違和感がある壁を触ってみた。すると、やはり、手が壁の中に消えていった。でも、手の感触はある。つまり、見えなくなっただけだ。
よく分からないが、思い切って、そのまま、壁の中に入っていった。すると、その壁の先には別の部屋があった。そして、何かが、忙しそうに動いていた。まるで、ロボットのようだった。
「こんにちは」
私は、声を掛けて見た。しかし、返事はない。
「こんにちは。言葉がわからないの?」
でも、反応はなかった。しかたがないので、私は、部屋の中を調べることにした。
部屋は、特別教室ほどの広さで、廊下の先には、また、別の部屋があるみたいだ。
何があるか分からないけど、どうせ、一度死んだのだのだからと、自分に言い聞かせて、廊下に出た。廊下の突き当りには、階段があった。それを降りていった。すると、また、別の部屋があり、ロボットが動き回っていた。
沢山のロボットが動いていたが、その中で1台、監視しているロボットがあった。それと、目が合ったとたん、そのロボットが光り出した。
私は、訳がわからなくて、固まってしまった。すると、後ろから、声を掛けられた。私が振り向くと、そこには、猫耳の少女が立っていた。獣だけど、優しそうな顔で、私は何故か、怖くなかった。
「お前は、誰だ。ここで、何をしている」
パープルが、京山心結に話しかけた。
「私は、京山心結といいます。間違って、ここに来たみたい」
「嘘を言うな、ここは、入れないはずだ」
「私にも、分からないけど、入れたの」
「ちょっと、待て」
猫耳の少女は、何か、考え込んでいるような素振りだ。でも、時々、頷いている。ひょっとして、誰かと喋ってる?
「お前は、召喚者か?」
「多分、そうだと思います」
「勇者は、少年のはずだが、お前は、女じゃないか」
「よく分からない。でも、神官達が私を勇者様って言っているよ」
「そうか。
………。わかった。
私と一緒に来てもらおう」
「はい」
私は、素直に猫耳の少女の後を付いて行った。暫くすると、テーブルと椅子が置かれた部屋に案内された。
「ここで、座って、待つように」
「はい」
暫く待っていると、小さな女の子がやって来た。その子は、猫耳の少女を見るなり、頭を撫でていた。すると、猫耳の少女は、嬉しそうに、声を出していた。
「お待たせ、私は、少女よ。って、当りまえか。
京山心結と言ったね。神官達に召喚されて、勇者と呼ばれていると聞いたけど、間違いない? 」
「はい、その通りです」
「この世界の事は知っている?」
「いいえ、この建物の中しか見ていませんので、よく分かりません」
「うーん、ところで、あなたは、何歳?」
「私ですか? 前の世界では、16歳です」
「そうか、若いね。高校生?」
「そうです、高校2年生です」
「そうか、いいね。若くて」
京山心結は、勇者として召喚されて、神殿の中に閉じ込められていたようだ。まだ、何も仕事を依頼されていないようだ。召喚されて、1週間ぐらいなので、休ませていたのだろう。
しかし、なぜ、結界を破って、この部屋に入れたのか、不思議だ。
私、キリには、スキル鑑定があるが、まだ、人に対しては使えない、というか、使ったことがない。スキルも、使わないとレベルアップしないから、だめもとで、使ってみるかな。
【ステータス】
名前:京山心結(きょうやま みゆ)
種族:人間族(女)16才
職業:無職
LVレベル:1
HP(最大体力量):100
MP(最大魔力量):1000
魔法:土魔法(LV1)、火魔法(LV1)、水魔法(LV1)、風魔法(LV1)、光魔法(LV1)
スキル:解呪(LV1)
「おぉー、見えるじゃん」
「スキル鑑定 レベルアップしました」と頭の中で響いた。あれ、これも始めてかな。気持ち悪い。
「そうか、解呪が使えるのか。
そうすると、ヤバいな。レベル1で破られている。
でも、勇者じゃ、仕方がないな。
? 勇者と出ていないよ」
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
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