二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第2章 魔法学院入学編

9-6.闇魔法(2)

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 後日、全体で12体作り、工場の仕事を完全に任せた。ただ、キリ姉に言われたように、定期的に様子を見に来るのは欠かさず実行した。

 12体の土人形には、名前を付けた。No.1:アリエス、No.2:タウラス、………、No.12:ピスケス。

 アリエスには、他の土人形の管理をさせることにした。

 タウラスには、レオ・ヴァルゴ・ライブラと共に、地下4階の薬草の世話をさせることにした。

 ジェミニには、カプリコーンと共に、1階のポーションの生産過程を任せることにした。

 スコーピオには、サジタリアスと共に、外の薬草畑の栽培と収穫管理を任せることにした。

 残りの土人形には、工場と農園の警備を任せた。

 「キリ姉、これで、工場・農園を維持したままで、遊べるよ」

 「そうね。だも、大丈夫?」

 「大丈夫よ。ねぇ、パープルは、どう思う?」

 「ウン、ウン」

 パープルは、いつも通り、嬉しそうに、私に絡んでくる。私もいつものように、頭を撫でてあげた。

 暫くしてから、サンライズ商店長から、クレームを言ってきた。

 「もう、限界です。安くて良質のポーションがあるっていう噂が王国中に流れてしまいました」

 「それで?」

とキリ姉は、冷静に受け流している。

 「えぇっ、それでってはないでしょ。やってくる客の数が半端なく、大変なんですから」

 「そういうことね。儲かるからいいんじゃない?」

 「そりゃ、儲かりますが、仕事の割に、儲けが少ないのですよ」

 「それじゃ、休めば」

 「そんな、簡単に休めませんよ。客が来るのだから」

 「従業員を雇えば?」

 「だから、雇うほどもうけがないって、言ってるじゃないですか」

 「そうか。それで?」

 「えぇっ、それでってはないでしょ。やってくる客の数が半端なく、大変なんですから」

 「もう一度繰り返す?」

 「それは、こっちのセリフですよ。何とかしてくださいよ」

 「それでは、店を休まず、忙しくならず、今までどおり儲けがあれば、いいのね」

と、キリが割って入って来た。

 「そうです」

 「それじゃ、私達に店を売れば?」

 「うぅん。店長はしたいのですけど、だめですか?」

 「いいわよ。店長で、でも、店は売ってね」

 「えぇ、どういうことですか?」

 「つまり、店長は、商業ギルドに登録しているわよね。それはそのままにして、権利だけを売って欲しいの。つまり、登録はそのままで、店長としてもそのままで、いいの。ただし、店の運営権を私達に売って欲しいの。つまり、店長は今の店はいままで通り店長として顔御出すけど、経営はしないということ」

 「というと、私は、顔を出すだけで今まで通りの儲けを給料として、キリさん達から貰うということですか」

 「そうよ。給料としては、いままでの儲けの倍だすよ」

 「いいんですか?」

 「いいわよ。ねえ、キリ姉」

 「キリが良ければ。私はいいわよ」

 「パープルも、いいわね」

 パープルは、嬉しそうに私に抱き着いた。たぶん、いいということね。

 「それじゃ、契約書を書いて来てくれる」

 「はい」

 私達と店長は、契約書の内容の細かいことを相談した。後日、店長がやってきて、契約を済ませた。

 まず、大量に買いに来ている街を確認し、その街の小さな商店の経営権を同様の契約で買い取った。そして、その店に大量の上級の赤のポーションを置いて帰って来た。価格については変更しないことを約束させた。これを6つの街について行った。

 これで、この街の商店長はのんびりできるはずだ。

 商品の輸送にコストがかかるので、各街の中心から離れた所に土地付きの小屋を購入した。そこに、土人形を1体設置し、小屋の中に転移用の魔法陣を書いた。それと同じものを私達の工場の地下に作った。これで、転移魔法で、いつでも商品を瞬時に運ぶことができる。マナは、森から流れてくるので、輸送費は実質タダになった。

 でも、まだ、私の転移用の魔法陣は、物しか転移させることが出来ない。人も転移させることが出来ると、便利なので、もっと、調べてみよう。

 これで、高額の給料を各店長に支払っても、余裕で儲けが出る。しかも、上級の赤のポーションが格安で売れるので、他の商店では、赤のポーションを扱えなくなってきた。赤のポーションを独占販売できるようになった。でも、価格は変えないで売っていった。忽ち、それぞれの商店は人気店となっていった。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 今日は、前回の実験の続きをやろうと思っている。何とか、光魔法で半導体もどきのマシリコンを作った。バリアは、光魔法でしか作れないのだろうか。いや、闇魔法でも作れる。

 実際に、2つの魔法(光魔法と闇魔法)で作ったバリアを作って、どのようにマナが遮断されるかを調べてみた。光魔法では、マナを反射して、マナを遮断する。一方、闇魔法では、マナを吸収してマナを遮断する。つまり、光魔法は、鏡のような働きをし、闇魔法では、ブラックホールのような働きをする。つまり、闇魔法で作ったバリアは、マナを吸収し、蓄えることができるということだ。

 従来の闇魔法で作ったバリアであれば、吸収するだけで、取り出すことができない。しかし、オリハルコンを材料にすると、取り出すことが可能となる。外から電圧に変わるマナを加えることで、バリアがマナを通し始めるからだ。

 これで、素材が完成したので、あとは組み立てるだけだ。

 私は、マシリコンでつくった素材で、ダイオードに代わるマナオードを作った。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 「キリ姉は、転移魔法の魔法陣について、勉強した?」

 「少しは習ったわよ。何が知りたいの?」

 「うん。私が描いた転移魔法用の魔法陣では、物しか転送できないの」

 「えっ、キリは、いつも転移魔法で、私達も転送しているでしょ」

 「うん。そうだよ」

 「何言ってるのよ。もう一度言うわよ。キリは、転移魔法で私を転送している、よね」

 「うん。そうだよ」

 「まだ、分からないの。魔法を魔法陣にすればいいだけでしょ」

 「あ、そうか。てへっ。忘れていた」

 「そうよ。魔法陣を一から自分で考えて作るなんて、キリには必要ないのよ」

 「キリ姉は、賢いね」

 「どういたしまして。しっかりしてよね。いつまでも、子供じゃないんだから」

 キリ姉に、大笑いされてしまったけど、変な所でミスが多いね。反省しないと。でも、これからは、人も運べる魔法陣を使える。ということは、マナドールも私と同じ転移魔法が使えるってことね。これは便利。
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