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第2章 魔法学院入学編
12ー2.魔王探索(2)
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リーツ王国で、新しいダンジョンが現れた。こんなことは、ここ200年なかった。しかも、特級ダンジョンだ。リーツ王国では、魔物がダンジョンから出てこないように、入り口を50人の兵士で取り囲んでいる。兵士達の間には、緊張感が漂っていた。
リーツ王国の冒険者ギルドでは、冒険者たちが集まり、今後の事を相談していた。
「ギルド長、我々もダンジョンに行こう!」
「そうだ。ここで待っていても仕方がない」
「まあ、待て。今入り口付近は王国の兵士達が待機している。すぐのどうこうなるものでもない」
「しかし、兵士達に任せてはおけない。こと、ダンジョンに関することは、ギルドが優先だろう?」
「お前の言うとおりだ。しかし、ギルドの事は、ギルド長に一任されているはずだ」
「その通りだが、心配じゃないのか?」
「兵士が勝手なことをして、ダンジョンの中が無茶苦茶になるぞ」
「まだ、そうなると決まったわけではない。少し、頭を冷やせ」
「ギルド長、そういっても、昔の事があるから、皆心配して、こうして集まっている」
「私も、昔のことを知らないわけじゃない。でも、今は、俺に任せて、暫く、待ってくれ。皆もわかってくれ」
「「分かった」」
「皆、すまない」
新しいダンジョンが出来てから、2週間が経った。魔物が外に出てくることはなかった。また、兵士達がダンジョンの中に突入することもなかった。冒険者ギルドが心配したようなことは起こっていなかった。だが、別の動きがあった。それは、ザーセン王国の勇者達の動きだ。新しいダンジョンが出来たことは、ザーセン王国にも伝わっており、このダンジョンの壊滅を考えているらしい。
しかし、ザーセン王国から、リーツ王国へ行くには、ウディーア王国を通過するか、ウディーア王国を避けて、北の端から時計の反対回りに大きく回り込んでいくしかない。ウディーア王国では、前回のダンジョンの制圧のこともあり、かなり警戒しているので、簡単には通過させて貰えない。そのため、現在は保留となっているようだ。
また、各王国では、これまで発生したことのない特級ダンジョンに大いに警戒している。そして、魔王の誕生を噂し始めていた。ウディーア王国の北東にあるトード王国と南東にあるリーグり王国は、今回発生した特級ダンジョンからは遠方にあるので、傍観を決め込んでいた。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ウディーア王国では、5つの王国が周囲を取り囲んでいるので、常に各王国の情報収集に余念がない。そして、それは、王宮のみならず、冒険者ギルドでも同様である。
魔法学院の生徒も、ひょっとすると、魔王討伐や王国との戦争に動員されるのではなかと、心配していた。
「コン、コン、コン。マルグリット先生、居られますか?」
キリ姉が、マルグリット先生の部屋のドアを叩いた。私は、キリ姉の横にいた。
「ちょっと待ってね。今、開けるから」
ドアが開き、マルグリット先生が部屋の中に招き入れてくれた。
「「お邪魔します」」
「そんなに、改まらなくてもいいわよ」
「「はい」」
「今日は、どうしたの?」
私達3人は、最近噂になっている上級ダンジョンとウディーア王国の動向について、聞いてみた。
「そうね。正確な事は分からないけど、上級ダンジョンについては、すぐにでも制圧に行きたいみたいよ」
「勇者を筆頭にいたる所のダンジョンを制圧していますね」
キリ姉が、尋ねた。更に、私も、聞いてみた。
「勇者を召喚した目的や、ダンジョンを制圧することなど、関係があるのですか?」
「取り敢えず、今分かっていることを教えるね。まず、ダンジョンを制圧したいので、勇者を召喚したということね」
「えぇっ、勇者をダンジョンを制圧するために召喚したのですか? 魔王討伐ではないのですか?」
「そうよ。よく考えてみて。まだ、魔王はその存在すら分からないのよ。そんな状態で、勇者を召喚する必要があるの? 魔王の誕生は毎年のように起こるの? 違うでしょ」
「そうですね。普通は、魔王の誕生が確認できてからとか、少なくとも噂が出てきてからですね、遊所の召喚は。キリもそう思うわね」
「はい。私もそう思います」
「そうすると、勇者を召喚したのは、魔王とは関係ないと言うことね」
「「はい、そう思います」」
「先日、神殿で、兵士に対して治療を行っているのを見たでしょ。何か、気が付いた?」
「魔道具として、神具を使っていました。隠そうとはしていましたけど」
キリ姉が答えた。あの時も、キリ姉が私に言っていたことだ。
「よく気がつきましたね。キリ姉。あのような事は我が王国だけかしら?」
「というと、ザーセン王国でも同じだと。そういうことですか?」
「そうよ。我が王国だけ、光魔法を使える魔法使いが生まれにくい。そんなことはないわね」
「それは、分かりましたが、それとダンジョンの制圧とどのような関係があるのですか?」
「キリ姉は、冒険者でしょ。ダンジョンで何が得られるの?」
「魔石とか、………。あっ、ドロップアイテム!」
「ドロップアイテムには、魔道具があるよね。そして、最下層には何があるの?」
「ダンジョンコアですか。制圧すると、ダンジョンコアがアイテムになると言われてます」
「その通りよ。そして、それは事実です。ダンジョンコアは、制圧とともにアイテムになります。それも、レアな魔道具になります。ほとんどが、光魔法を使える魔道具です」
「「そうか」」
マルグリット先生の説明は明快であった。勇者召喚とダンジョン制圧との関係が綺麗に説明できている。流石は上級教師だ。私達は、感心してしまった。
リーツ王国の冒険者ギルドでは、冒険者たちが集まり、今後の事を相談していた。
「ギルド長、我々もダンジョンに行こう!」
「そうだ。ここで待っていても仕方がない」
「まあ、待て。今入り口付近は王国の兵士達が待機している。すぐのどうこうなるものでもない」
「しかし、兵士達に任せてはおけない。こと、ダンジョンに関することは、ギルドが優先だろう?」
「お前の言うとおりだ。しかし、ギルドの事は、ギルド長に一任されているはずだ」
「その通りだが、心配じゃないのか?」
「兵士が勝手なことをして、ダンジョンの中が無茶苦茶になるぞ」
「まだ、そうなると決まったわけではない。少し、頭を冷やせ」
「ギルド長、そういっても、昔の事があるから、皆心配して、こうして集まっている」
「私も、昔のことを知らないわけじゃない。でも、今は、俺に任せて、暫く、待ってくれ。皆もわかってくれ」
「「分かった」」
「皆、すまない」
新しいダンジョンが出来てから、2週間が経った。魔物が外に出てくることはなかった。また、兵士達がダンジョンの中に突入することもなかった。冒険者ギルドが心配したようなことは起こっていなかった。だが、別の動きがあった。それは、ザーセン王国の勇者達の動きだ。新しいダンジョンが出来たことは、ザーセン王国にも伝わっており、このダンジョンの壊滅を考えているらしい。
しかし、ザーセン王国から、リーツ王国へ行くには、ウディーア王国を通過するか、ウディーア王国を避けて、北の端から時計の反対回りに大きく回り込んでいくしかない。ウディーア王国では、前回のダンジョンの制圧のこともあり、かなり警戒しているので、簡単には通過させて貰えない。そのため、現在は保留となっているようだ。
また、各王国では、これまで発生したことのない特級ダンジョンに大いに警戒している。そして、魔王の誕生を噂し始めていた。ウディーア王国の北東にあるトード王国と南東にあるリーグり王国は、今回発生した特級ダンジョンからは遠方にあるので、傍観を決め込んでいた。
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ウディーア王国では、5つの王国が周囲を取り囲んでいるので、常に各王国の情報収集に余念がない。そして、それは、王宮のみならず、冒険者ギルドでも同様である。
魔法学院の生徒も、ひょっとすると、魔王討伐や王国との戦争に動員されるのではなかと、心配していた。
「コン、コン、コン。マルグリット先生、居られますか?」
キリ姉が、マルグリット先生の部屋のドアを叩いた。私は、キリ姉の横にいた。
「ちょっと待ってね。今、開けるから」
ドアが開き、マルグリット先生が部屋の中に招き入れてくれた。
「「お邪魔します」」
「そんなに、改まらなくてもいいわよ」
「「はい」」
「今日は、どうしたの?」
私達3人は、最近噂になっている上級ダンジョンとウディーア王国の動向について、聞いてみた。
「そうね。正確な事は分からないけど、上級ダンジョンについては、すぐにでも制圧に行きたいみたいよ」
「勇者を筆頭にいたる所のダンジョンを制圧していますね」
キリ姉が、尋ねた。更に、私も、聞いてみた。
「勇者を召喚した目的や、ダンジョンを制圧することなど、関係があるのですか?」
「取り敢えず、今分かっていることを教えるね。まず、ダンジョンを制圧したいので、勇者を召喚したということね」
「えぇっ、勇者をダンジョンを制圧するために召喚したのですか? 魔王討伐ではないのですか?」
「そうよ。よく考えてみて。まだ、魔王はその存在すら分からないのよ。そんな状態で、勇者を召喚する必要があるの? 魔王の誕生は毎年のように起こるの? 違うでしょ」
「そうですね。普通は、魔王の誕生が確認できてからとか、少なくとも噂が出てきてからですね、遊所の召喚は。キリもそう思うわね」
「はい。私もそう思います」
「そうすると、勇者を召喚したのは、魔王とは関係ないと言うことね」
「「はい、そう思います」」
「先日、神殿で、兵士に対して治療を行っているのを見たでしょ。何か、気が付いた?」
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キリ姉が答えた。あの時も、キリ姉が私に言っていたことだ。
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