二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
15 / 145
第1章 冒険者編

6-2.従魔登録(2)

しおりを挟む
 昼食も食べ終わり、早速、潜り始めた。マップに書かれた通り、問題なく、第16階層の小屋まで、たどり着いた。夜までは、まだまだ、時間があるので、もう少しだけ潜ることにした。

 その代わり、夕食前には、切り上げて第16階層の小屋まで戻る事にした。

 「ワーキャトが見つかるといいなぁ」

 「そう、簡単には見つからないわよ。探索では分からないの?」

 「ずっと見ているのだけど、それらしい魔物はいないの」

 「この階層には、武装したスケルトンがいるだけで、特に強い魔物は見つからないわ」

 「それじゃ、もう一つしたまで、潜る?」

 「いいの! 潜る、潜る」

 私達は、次の第18階層に行き、討伐を続けることにした。

 第18階層に到達して、スキル探索で、全体の魔物を感知した。

 「何かいるよ」

 「何かって、何よ。はっきり、分からないの?」

 「凄く早く移動しているので、よくわからないの。でも、それは1匹だけで、それ以外は今まで通り、位置もレベルも種別もはっきり、わかるよ」

 「その素早い魔物は、多分ワーキャトだね。殺すと従魔契約ができないので、取り敢えず、弱らせて動きを止めないとだめね」

 「この階層に、他のパーティーはいない?」

 「ちょっと待ってね。居ないみたい」

 「それなら、範囲攻撃で、少しずつHPを削り取って、動きを止めるね」

と言って、キリ姉は、風壁ウィンド・ウォールを放つ準備をした。

 「位置を言うので、そこへ放ってね。

 (135、48)

 (146、79)

 (174、126)

 (213、159)

 (230、177)」

 最初は、少し掠る程度だったのが、少しずつ風壁ウィンド・ウォールの中心付近で当たるようになってきた。それにつれて、与えるダメージも大きなものになってきた。

 キリ姉は、青のポーションを1本飲んで、MPを回復させた。

 「動きが鈍くなってきたよ。

 (237、203)

 (277、231)

 (309、263)」

 私達は、ワーキャトの位置に近づきながら、一緒に風壁ウィンド・ウォールを放っていった。暫くすると動きが止まった。

 「もう5mもないよ」

 「あれかな?」

 「そうみたいね」

 目の前に、身体中を傷だらけにして、元々は薄い茶色だった体毛を血の赤色で染めていた。

 ワーキャトの体調は、小さな子供ぐらいで、約120cmほどだった。

 私は、静かに近づいていき、キリ姉から貰った赤のポーションをワーキャトの全身に掛けてあげた。すると、みるみるうちに、赤色で染められていた毛が元の薄い茶色に変化した。

 少し元気になったワーキャトは、立ち上がり、私を見つめている。

 「私と一緒に生活しない?」

 ワーキャトは、じっとしている。

 「言葉はわかる? もしわかったら、頭を動かしてみて」

  ワーキャトは、少し頭を振った。

 「そう、わかるんだ。私と一緒に来ない? よかったら、頭を縦に振ってくれる」

 ワーキャトに、わかるように、私は頭を縦に振って、どうして欲しいのかを態度で見せた。

 すると、ワーキャトも、私と同じように頭を縦に振ってくれた。怪我を直してあげたので、信用したのだろう。

 「それでは、私の従魔になってくれる? よかったら、頭を縦に振ってくれる」

 ワーキャトは頭を縦に振ってくれた。

 私と、ワーキャトとの間に光の鎖が現れ、私とワーキャトの手にに触れるとともに消えた。

 その代わりに、私の手にも、ワーキャトの手にも同じ五芒星が描かれていた。

 これで、ワーキャトとの従魔契約は完成した。

 「私の従魔になってくれて、ありがとう。私は、キリ。あなたは?」

 「ワタシハ、キャット・パープル。パープルデイイヨ」

 「パープル、よろしくね。私の隣にいるのが、キリ姉よ」

 「パープル、よろしく、私もキリなの、だから、キリ姉さんと呼んでね」

 「ワカッタ」

 何とか、目的を果たした私達は、冒険者ギルドで、従魔登録をすることにした。冒険者ギルドに行く途中で、私は、内緒で購入していたマタタビをパープルにあげた。ちょっと興奮したみたい。

 薄っすらと体毛があるが、裸のままではまずいので、取り敢えず、私のローブを掛けてあげた。そして、アイテムボックスの中の私の下着と服を着せてあげた。

 冒険者ギルドでシェリーに従魔登録をしてもらった。私の冒険者IDに、【従魔:ワーキャト(キャット・パープル)】と表示された。

 これで、パープルは、正式に私の従魔となった。

 今回のダンジョン探索で得たものも、アイテムボックスから出して、シェリーに引き取って貰った。いつものように、報奨金は冒険者IDに入れて貰った。

 私達は宿屋の部屋に戻り、3人で夕食を食べた。パープルを風呂に入れてから、少し早いが寝ることにした。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 これからは、パープルを入れて3人のパーティーになった。パープルには、私の後ろで、戦士・ヒーラー・シーカーとして、働いてもらうことにした。でも、基本は、戦士だ。パープルの俊敏さはLV60の私でもついていけないほどだから。ヒーラーとしては、私が作ったポーションを戦闘中に必要に応じて身体に掛ける仕事だ。飲むほどの効果はないが、戦闘中に飲む余裕のない時に、パープルにポーションを掛けてもらうだけで、戦闘を有利に進めることが出来る。そして、獣人としての野生の能力としての探索能力を使って、シーカーとして働いてもらう。私もスキル探索で、魔物を感知することはできるが、何かに集中して、うっかりしてしまうことがあり、生来の能力には、かなわないからだ。

 パープルにも役割を理解してもらったので、安心してダンジョンに潜ることができる。
 パープルの服装は、私の物を仮に与えただけなので、本人の気に入ったものを買いに出かけることにした。また、簡単な武器(ダガー)も持たした方が良いと思うので、鍛冶屋にも寄りたい。
 パープルにもキリ姉が持っているような簡易のアイテムボックスを持たせておきたい。ヒーラーとして、必要になるので、これは最優先だ。

 鍛冶屋、商店を回って、パープルに必要なものを買いそろえた。しかし、アイテムボックスは、非常に高価で凄い出費になってしまった。

 「アイテムボックスは、高いね。自分でつくれないかなぁ」

と、私は思わず呟いてしまった。

 「そうね、高価な割に沢山のアイテムを収納できないし、例の王級のアイテムボックスと比べるのはいけないけど、入れたものが劣化するしね」

 「一度、しっかりと、魔法を基本から勉強しないとだめじゃないかな?」

 「そうね、キリと一緒に勉強しようかな」

 「キリ姉と一緒なら安心。勉強したいね」

 「何か、いい方法がないか、魔法学院に相談してみようかな」

 「それ、いいね。キリ姉、早速行ってみない?」

 「そうね。冒険者ランクも一応目標のAランクになったしね」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

魔法陣に浮かぶ恋

戌葉
恋愛
これがうわさに聞く、悪役令嬢の婚約破棄か。と、パーティーでの王子の婚約破棄宣言を遠くから見ていたら、なぜか自分にまで火の粉が飛んできた。ならば、これを機に仕事に生きよう、と決意するもそう簡単にもいかず……。 「守銭奴の男爵令嬢」とあだ名をつけられたエリサが、異世界でお仕事を頑張るファンタジーです。

雑貨屋リコリスの日常記録

猫餅
ファンタジー
長い旅行を終えて、四百年ぶりに自宅のある島へと帰宅した伊織。しかし、そこには見知らぬ学園があった。更には不審者として拘束されかけ──そんな一日を乗り越えて、伊織は学園内に自分の店舗を構えることとなった。 雑貨屋リコリス。 学園に元々ある購買部の店舗や、魔術都市の店とは異なる品揃えで客を出迎える。……のだが、異世界の青年が現れ、彼の保護者となることになったのだ。 更にもう一人の青年も店員として、伊織のパーティメンバーとして加わり、雑貨屋リコリスは賑わいを増して行く。 雑貨屋の店主・伊織と、異世界から転移して来た青年・獅童憂、雪豹の獣人アレクセイ・ヴィクロフの、賑やかで穏やかな日常のお話。 小説家になろう様、カクヨム様に先行投稿しております。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

処理中です...