二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
88 / 145
第7章 魔人ブルー編

58.神官長の裏切り

しおりを挟む
 私は、ミユに聞いて見た。

 「どうして、国王が闇魔法で、操られていると思ったの」

 「あれ、キリ、今頃、何を言っているの?」

 「どういうこと?」

 「キリが、パープルと一緒にリーグリ王国を調査したのでしょう」

 「あっ、そうだった。その時に、すでに、魔王に操られているって、言っていたね」

 「もう、本当に、大丈夫? キリでは、闇魔法が解除できなかったのかと思って、今回は、付いて行ったのよ」

 「ごめん。ミユには、頭が上がらないよ」
 
 「そんなことより、オレンジ国王に頼まなくていいの?」

 「そうだ。ハルト、もう一度、オレンジ国王に頼んでくれる?」

 「わかった」

 ハルトは、もう一度、オレンジ国王に魔大陸について、聞いてくれた。すると、今度は、詳しく、魔大陸について、説明して貰えた。

 神官長のみが知っている情報ではなく、代々、神官長が受け継いでいる書籍に掛かれているという。そして、それは、オレンジ国王にも場所が知らされていた。

 「私が、案内しよう。一緒に来てくれ」

 オレンジ国王は、私達をその書籍が保管されている神殿の地下倉庫に案内してくれた。

 「この金庫の中にある。暫く、待ってくれ。今、開けるから」

 オレンジ国王は、金庫を開けて、中を調べた。

 「ないぞ! 誰が持ち出した。おい、そこの神官、神官長をここへ呼んで来い」

 「はい、国王、只今」

 神官は、国王の命令で、走りだした。神官長に伝えに行くつもりだ。

 私は、パープルに、後を付けて貰った。そして、神官長が逃げないように、捕まえて貰うことにした。

 暫くして、パープルが、神官長を引っ張って来た。やはり、神官から、国王の事を聞くと、逃げ出そうとしたらしい。パープルに頼んでいて、正解だった。

 神官長が、オレンジ国王の前に引き摺り出されると、ミユが素早く、前に出て来た。

 「解呪ディスペル
 
 先ほどのオレンジ国王と同じように、神官長も苦しみだした。暫くして、正気を取り戻した。

 「神官長、この金庫の書籍をどうした」

 「すみません」

 「すみません。では、わからぬ。どこにやった」

 「魔人ブラックに渡してしまいました」

 「何、魔人に渡しただと。あれが、どれほど、大事な物か、お主が知らぬはずがないだろう。それを、よりによって、魔人に渡しただと」

 「すみません。でも、内容は、この頭の中に入っております」

 「そうか、それなら、その頭の中の物を書き写せ。直ちにだぞ」

 「はい、わかりました。誰か、書くものを寄越せ」

 「国王、暫くお待ちください」

 神官長は、自分の頭に書かれている内容を見ながら書き上げるかのように、次々に書き続けて行く。

 「できました。国王、これが、秘宝の書籍です」

 「よくやった。流石、神官長だ」

 オレンジ国王は、ヨーゼフ神官長を労った。私達は、国王から、その書籍を見ることを許された。

 それには、500年毎に魔王が誕生・復活を繰り返してきた歴史が書かれていた。そして、その都度、勇者が召喚され、魔王を封印してきた。そして、魔王が封印されると、魔大陸とのゲートが閉じ、誰も、行き来できなくなったようだ。今回も、魔王の復活に合わせて、ゲートが開いたようだ。そして、そのことを、魔人ブラックが知っていたのだろう。

 「オレンジ国王、この秘宝の書籍の一部を写し持つことを許してください」

 ハルトが、オレンジ国王に、お願いをした。

 「読むことは、許したが、それの一部でも、写し持つことは許されぬ。悪いが、許可することはできない」

 「分かりました。キリ、キリ姉、ミユ、一緒に読んでくれ」

 「「はい。分かった」」

 我々は、一緒に秘宝の書籍を読み込んで行った。特に、ゲートの場所と性質を重点に読んで行った。

 私は、魔王の復活の歴史に興味があった。そもそも、私が、この世界に召喚された理由が、魔王の復活だったから、その復活の歴史は、私に存在意義に関わる物のように、感じた。

 一番不可解なのが、なぜ、500年毎なのか、なぜ、そんなに時間が掛かるのか。そして、あの聖剣を思い出していた。なぜ、一度もあの聖剣が使われていないのか。

 もう一つ、秘宝の書籍に書かれていないことがあった。それは、召喚された勇者パーティーのその後だ。召喚された勇者達によって、魔王の復活を阻止したり、魔王を封印したと書かれているが、勇者がその後どうなったのかは、書かれていない。

 「よし、読み終わったぞ」

 ハルトが、大きな声で、宣言した。私達も、もう、十分に内容を理解したと思った。

 「オレンジ国王、ご配慮に感謝いたします。これより、得られた知識により、魔大陸への調査を開始します」

 「おぉ、勇者よ。頼みましたぞ」

 王宮内の皆も、我々の無事を祈って、お祈りをしてくれた。私は、結界を消し、皆に、国王の言葉が届くようにしておいた。

 「さあ、これからが、本番ね」

 「はい、キリ姉。頑張ります」

 皆、すごい意気込みだ。でも、本当に、どうしたらいいのか? 魔王を殺すの? 私には、よく分からないかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

手切れ金代わりに渡されたトカゲの卵、実はドラゴンだった件 追放された雑用係は竜騎士となる

草乃葉オウル
ファンタジー
上級ギルド『黒の雷霆』の雑用係ユート・ドライグ。 彼はある日、貴族から依頼された希少な魔獣の卵を探すパーティの荷物持ちをしていた。 そんな中、パーティは目当ての卵を見つけるのだが、ユートにはそれが依頼された卵ではなく、どこにでもいる最弱魔獣イワトカゲの卵に思えてならなかった。 卵をよく調べることを提案するユートだったが、彼を見下していたギルドマスターは提案を却下し、詳しく調査することなく卵を提出してしまう。 その結果、貴族は激怒。焦ったギルドマスターによってすべての責任を押し付けられたユートは、突き返された卵と共にギルドから追放されてしまう。 しかし、改めて卵を観察してみると、その特徴がイワトカゲの卵ともわずかに違うことがわかった。 新種かもしれないと思い卵を温めるユート。そして、生まれてきたのは……最強の魔獣ドラゴンだった! ロックと名付けられたドラゴンはすくすくと成長し、ユートにとって最強で最高の相棒になっていく。 その後、新たなギルド、新たな仲間にも恵まれ、やがて彼は『竜騎士』としてその名を世界に轟かせることになる。 一方、ユートを追放した『黒の雷霆』はすべての面倒事を請け負っていた貴重な人材を失い、転げ落ちるようにその名声を失っていく……。 =====================  アルファポリス様から書籍化しています!  ★★★★★第1〜4巻発売中!★★★★★  ★★★コミカライズ第1巻発売中!★★★ =====================

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~

華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。 突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。 襲撃を受ける元婚約者の領地。 ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!! そんな数奇な運命をたどる女性の物語。 いざ開幕!!

いずれ最強の錬金術師?

小狐丸
ファンタジー
 テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。  女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。  けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。  はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。 **************  本編終了しました。  只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。  お暇でしたらどうぞ。  書籍版一巻〜七巻発売中です。  コミック版一巻〜二巻発売中です。  よろしくお願いします。 **************

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

処理中です...