二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第7章 魔人ブルー編

55.魔人ブルーの行方

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 魔人ブルーが上級ダンジョンに潜んでいることが分かった。そこで、私達は、魔人ブルーに会いに行くことにした。
 
 私達は、転移魔法で、目的に上級ダンジョンの近くに移動した。

 「キリ姉、このダンジョンだね。魔人ブルーが潜んでいるのは」

 「でも、キリ、噂だけだから、本当に居るかどうか、分からないわよ」

 「まあ、行って見れば、分かるよね」

 今日は、特に戦闘をするつもりがなかったので、私とキリ姉とパープルの3人だけで、このダンジョンにやって来た。

 噂では、このダンジョンで、ひっそりと暮らしているらしい。特に、魔物の氾濫もなく、この近くの住民は、普通に暮らしているようだ。

 「さあ、潜るよ」

 キリ姉が先頭を切って、ダンジョンの中に入って行った。このダンジョンは、冒険者ギルドの管理下にないので、係員もいない。当然、手数料も払う必要がない。

 私は、スキル探索で、ダンジョンの中を調べた。すると、魔物の群れには、必ず、1体リーダ的存在がいた。そして、魔物も整然としていた。以前のダンジョンとは全く異なった印象だ。

 これは、完全に管理されている。最下層にひときわレベルの高い魔物がいた。それが、魔人ブルーだった。その近くには、少しレベルが低い魔物がいた。それは、後から分かったのだが、魔人ブローだった。この上級ダンジョンには、2人の魔人が全ての魔物を支配していた。

 私達は、争う必要がないので、そのまま多くの魔物の横を通り抜けて、最下層まだ、やって来た。

 「久しぶりね。魔人ブルー」

 「これは、キリ姉、それに、キリ、パープルだね」

 「あら、私達のこと、覚えてくれていたの」

 「それは、忘れられないよ。大事な交渉相手だからね」

 「魔人ブルー、あなた、本当に、共存を考えているの? でも、魔王はどこ?」

 「実は、魔王どころか、その部下の魔人ブラックさえも、説得できなかった。申し訳ない」

 「魔人ブルーが謝ることはないよ」

 「でも、約束したからな。それを果たせなかった。それで、会わす顔がなかった」

 「どんな結果になっても、もう一度、戻って、説明すべきよ」

 「すまん」

 魔人ブルーは、本当に、申し訳ないと思っているようだ。

 「それで、魔人ブルーは、私達とどんな交渉をしたいの?」

 「我々は、このダンジョンを中心に生活していく。魔物も支配出来ているので、迷惑をかけることはないだろう。ただ、このダンジョンの中だけでは、十分な食料が得られない。そこで、この周辺の森林と、あと2つのダンジョンを我々に使わせて貰えないか」

 「私達にそんな権限はないよ。でも、誰かに、言って見るよ」

 「ありがたい。お願いする」

 ここは、リーグリ王国のノ-トライン街の真北にある上級ダンジョンである。そして、南西の方向にある森林の中に逃げ込んでいた平民は、街に戻って、復興を手伝っていた。しかし、その数は、3万人に過ぎなかった。

 私は、キリ姉に提案した。

 「このノートライン街の復興を魔人ブルーに頼むのはどう?」

 「そうね。でも、魔人や魔物を街に入れるのは、抵抗があると思うよ」

 「そうか、街の人に恩を売れるし、いいかなぁって思ったんだ」

 「でも、大勢に人が魔物に殺されたんだよ。多分、だめだと思うよ。時間が掛かるよ」

 「わかった。それじゃ、私達で、街の復興を手伝わない? それなら、いいでしょ」

 「そうね。それなら、いいわ。手伝いましょう。それと、この森林一帯をダンジョン込みで購入しましょう。そうすれば、私達が許せば、魔人ブルー達を住まわせることができるわ。特に、今なら、安く買えると思うわ」

 「それは、いいね。誰に頼めばいいかなぁ」
 
 「それは、商業ギルドに頼むしかないでしょ。キリって、何も考えないのね」

 「そんなぁ、考えているよ。これでも」

 「そうは見えないけどね」

 「キリ姉、酷いわ」

 「それじゃ、商業ギルドの誰に頼むの。分かってる?」

 「うーん、リーグリ王国の商業ギルドでしょ。だったら、あの人ね」

 「あら、名前は、どうしたの?」

 「だから、あの人だって、行けば分かるよ」
 
 「やっぱりね。覚えていないのね」

 「だったら、キリ姉、名前を言ってよ」

 「ローザよ。聞いたら、思い出した?」

 キリ姉は、得意そうに、顎を上にあげた。私は、がっくりして、頭を下げた。
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