二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第2章 魔法学院入学編

8ー3.魔法学院での生活(3)

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 「キリ姉、せっかくだから、アンティークを置いている商店を見て回ってもいい?」

 「構わないわよ。時間もあるし、ゆっくり、見て回りましょ」

 3人は、商店街を気の向くまま覗いていった。何軒か見て回っているとき、急にパープルが吠え出した。

 「ウゥー、ウゥー」

 「パープル、どうしたの?」

 「キリ、パープルは、どうしての?」

 「私にもよくわからないの。急に唸りだしたの」

と言いながら、店をよく見てみると、以前に立ち寄った商店だった。キリ姉と別れて、アンティークを探していた時にパープルと一緒に入って店だ。

 「思い出した。以前、キリ姉と別れてから、入った店よ」

 「その時、何かあったの?」

 「うーん、よく覚えていない。パープルが怖がっていたので、すぐに店を出ただけよ」

 「パープルって、結構強い魔獣だよ。それが、怖がっていたって?」

 「そう、そう。アンティークを店員に見せて貰っていたときよ」

 「なぜ怖がったのか。調べてみましょ。キリ、入るわよ」

 「はい」

 3人は、キリ姉を先頭にして、店に入っていった。

 「すみません」

 「はい。何かお探しですか?」

 「以前にも、来たことがあるのですが、覚えていますか?」

と、私は、店員に聞いてみた。

 「ええ、覚えていますよ。何か、用途不明な物を探しているとか、言われていましたね」

 「そうです。その時に案内にして貰った棚に、連れて行ってもらえますか?」

 「わかりました。こちらへどうぞ」

 私達3人は、店員の後について、古ぼけた商品が並ぶ棚の前まで、行った。

 「こちらです」

 「少し、見てもいいですか?」

 「はい、いいですよ。古いものが多くて、壊れやすいので、取り扱いには注意して下さい」

 「はい、わかりました」

と、キリ姉が答えてから、棚の前に行った。
 すると、パープルが急に私の後ろで、震えだした。

 「キリ姉、パープルが怯えてるよ」

 「キリ、スキル使える?」

とキリ姉が私の耳元で囁いた。

 「うん。やってみる」

 私は、古い商品が並べられている棚を、少し離れた場所からスキル鑑定で、調べ始めた。

 すると、棚の中に光るアイテムがあった。私は、キリ姉にそのアイテムを教えた。

 キリ姉は、そのアイテムに近づき、両手で持ち、眺めている。特に、何事も起こらないけど、相変わらず、パープルが震えている。

 私も、もう一度、スキル鑑定で感知してみる。でも、何も、表示されない。

 「キリ、光魔法を使って、解呪魔法をかけてみない」

と、キリ姉が小声で言ってきた。

 「はい、やってみます」

 「店員の注意をそらすから、その間にやってね」

と言いながら、キリ姉は、店員に声を掛けて、別の商品の説明を求めていた。

 店員が、こちらを見ていないことを確認してから、キリ姉の言うように、呪縛を解くイメージで、光魔法を古びたアイテムに掛けてみた。

 特に、何も変化がなかった。私は、キリ姉の近くへ行って、小声で、

 「何も変化がないよ」

と、伝えた。

 「そう。店員さん、私がさっき持っていたアイテムは、いくらするの?」

 「ああ、あれですか。古くて、飾りにもならないので、いくらでもいいですよ」

 「どれじゃ、金貨1枚でどうかしら?」

 「ええ、構いません」

 「それじゃ、頂くわ」

 キリ姉は、そのよくわからないアイテムを包んでもらってから、アイテムボックスに入れた。

 「キリ、他に見たいものはない?」

 「特にありません」

 「それじゃ、帰ろうか」

 「はい」

 3人は、寮に帰った。寮の部屋に入ると、

 「キリ姉、もう一度、先ほどのアイテムを見せて」

 「これね」

 キリ姉は、アイテムボックスから、古ぼけたアイテムを出し、包みから中身を取り出し、机の上に置いた。

 「もう一度、調べるね」

 私は、もう一度、スキル鑑定を実行してみた。すると、ぼんやりと、何か表示された。でも、何が表示されたか、よくわからない。

 「だめね。何か、わからないわ」

 「もう一度、解呪魔法をかけてみたらどうかしら?」

 「ひょっとしたら、かなり強い呪縛魔法が懸けられているのかも。やってみます」

 先ほどより、多くのマナを使って、解呪魔法をかけて見た。そして、その状態を暫く持続することにした。すると、古ぼけたアイテムから、黒い靄のようなものが出てきた。そして、それがアイテム全体を覆い、もう、直接はアイテムが見えないぐらいになった。しばらくすると、今度は、淡い青色の光が黒い靄の間から漏れてきた。そして、それが、大きくなり、黒い靄のようなものが消えていった。

 黒い靄のようなものが消え去ったのを確認してから、スキル鑑定を行った。すると、今度は表示された内容がはっきりと読み取ることができた。
 
 【魔導書
   等級:Ex
   種類:闇魔法 
   機能:想像した5つの魔法を扱えるようになる。
      ただし、5つの魔法を実現すると消去される。】

 私は、表示された内容をキリ姉に伝えた。
 キリ姉は、驚いて、飛び上がった。

 「なんと、闇魔法」

 「だから、パープルが怖がっていたのね」

 私は、怯えていたパープルの頭を撫でて、安心させてあげた。
 「キリ、どうするの?」

 「取り敢えず、キリ姉の王級のアイテムボックスに入れて貰える」

 「いいわよ」

 キリ姉は、私から魔導書を預かると、王級のアイテムボックスに入れた。

 「キリ姉、魔法学院の図書館で、闇魔法について、調べてみるわ」

 「そうね、すぐに対処しなくても大丈夫だから、しっかり調べて、決めようね」

 「はい、そうします」
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