二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
81 / 145
第6章 幻の魔王軍編

51. ザーセン王国軍の崩壊

しおりを挟む
 ザーセン王国へ魔王軍が進軍を開始したという噂が流れて来た。すでに、リーグリ王国が魔王によって、崩壊したことは伝わっていた。

 そこで、ザーセン王国では、国境近くに、兵士を派遣した。特に、ダンジョンから、魔物が溢れ出てくることを想定して、国境近くにある上級ダンジョンを中心に警戒することにした。

 主な上級ダンジョンは、3つあった。3つすべてに同数の兵士を派遣するには、国王軍は、人数が十分ではなかった。

 そこで、3つの上級ダンジョンの内、中央にある上級ダンジョンに半分の数を割り当て、残りの兵士を2つの上級ダンジョンに均等に配置することにした。

 国王は、王宮の警護に1万人、中央の上級ダンジョンに1万人、その他の上級ダンジョンに5000人ずつを配置した。

 ザーセン王国の国王は、勇者に応援に来てもらいたかったのだが、いつも勇者との連絡を取っていた神官長のロシーアンが見当たらない。仕方がないので、国王軍だけでも先に派遣した。

 暫くして、キリ姉は、ザーセン王国の国王が勇者を探していると冒険者ギルド長から聞いた。

 それと、その理由が、「ザーセン王国へ魔王軍が進軍を開始したので、応援を求む」と言うことも知った。冒険者ギルドへの正式な依頼ではないが、助けに行くことにした。それも、勇者だけでなく、キリ姉のパーティーとして、応援に行くこととなった。

 魔王軍の魔物はかなりの数になっていると聞いたので、まずは、兵士用のマナドールを送ることにした。各ダンジョンの第8階層には、特別な施設が併設されているので、そこにアイテムボックスに入った兵士用マナドールを送ることにした。それと、指揮者として、パーティー名(アクエィアス)【メンバー:アクエィアスキリ姉アリエスキリレオパープル】とパーティー名(ピスケス)【ピスケスキリ姉タウラスキリヴァルゴパープル】を送ることにした。

 アクエィアスのパーティーをリーグリ王国の真北にある上級ダンジョンに送った。

 また、その東にある上級ダンジョンにピスケスのパーティーを送った。

 そして、西の端にある上級ダンジョンには、キリ姉のパーティーが転移魔法で移動した。

 それぞれの上級ダンジョンには、すでに、各2万の兵士用マナドールの配置が完了していた。

 「さてと、私達のパーティーが一番乗りのようね。兵士用のマナドールも、上級ダンジョンの出入口に整列しているね」

 と、アクエィアスキリ姉が言った。

 「アリエスキリ、スキル探索で魔王軍の配置を調べてね」

 「はい、ちょっと待ってね」

 スキル探索で調べたところ、魔王軍は、魔人レッド率いるゴブリン1万の兵力だった。

 それに敵対しているのが、ザーセン王国の王国軍1万の兵士だった。

 「先に、兵士用マナドールを王国軍の前に出すよ。レオパープルが、引き連れて行って」

 「はい、行ってきます」

 「アリエスキリ、私達は、魔人レッドの相手をするよ」

 「はい」

 私達は、急いで、王国軍の前に出た。そして、王国軍の指揮官らしき人に告げた。

 「私達は、ザーセン王国の国王からの依頼で、助けに来ました。先に、私達と、私達の軍団である小型のゴーレムで先陣を切りますね」

 「分かった。よろしく頼む。
 おーい、兵士の諸君、国王からの応援が来た。まずは、応援部隊が戦う。我々は、最初は、待機だ」

 「「わかりました」」

 「アクエィアスキリ姉、取り敢えず、攻撃しちゃう?」

 「いいよ。やっちゃって」

 アクエィアスキリ姉は、思念伝達で、キリ姉とピスケスキリ姉に攻撃を開始することを伝えた。

 アリエスキリは、突進しながら、火炎地獄インフェルノを連続で放っていった。

 火炎地獄インフェルノを1回放つ度に、ゴブリンが300匹ほど、焼け死んでいった。

  アリエスキリは、一直線に魔人レッドの目の前まで、突っ切って行ってしまった。

 「あれ、ここまで、来ちゃったよ。やりすぎたかな?」

 「お前は、何やつだ。我が軍団の邪魔をするか。容赦はしないぞ」

 「へっ、へっ、へ。やってみてよ。出来るものならね」

 「吠え面を描くなよ。火炎地獄インフェルノ

 「なかなか、やるね。ちょっと、効いたよ。それでは、氷柱地獄アイスクル・ヘル
 火魔法が得意な魔人レッドは、水魔法が逃げてるのじゃないかな?」

 「ふっふっふ。まだまだ、これからだ。
 火炎地獄インフェルノ火炎地獄インフェルノ火炎地獄インフェルノ

 「おっと、3連続とは、やるね。なんだか、以前より強くなっていない?」

 「その通り、以前、誰かに負けたままではないぞ。遥かにレベルアップしている」

 「そうなんだ。だから、効いているのね。前のレベルだったら、効かなかったのに」

 「そうか、効いているか。降参するなら、今だぞ」

 「仕方がないな。こっちも、連続で行くわよ。
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル

 「おぉー。HPが無くなって来た。このままでは、まずいな」

 アリエスキリは、スキル鑑定で、魔人レッドの残りHP・MPを調べた。

 すると、魔人レッドが言っていることは嘘ではなかった。どちらも、総量の2割程度しか残っていなかった。アリエスキリは、逃げられないように、キリから教えて貰っていた結界を張った。そして、封印する準備を行った。

 「これで終わりよ。
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル

 「うぉー。もうだめだ」

 魔人レッドは、倒れた。それと同時に、魔人レッドは、転移魔法で移動しようとした。しかし、既に結界は張られており、転移魔法は、起動しなかった。アリエスキリは、魔人レッドを結界で完全に閉じ込めた。

 アリエスキリの後ろでは、魔王軍のゴブリンと兵士用のマナドールが戦っている。しかし、ハイパー・ゴブリンには、歯が立たない。そして、普通のゴブリンとの戦いでも、5対1ぐらいでないと駄目なようだ。思った以上に兵士用のマナドールは、弱かった。

 レオパープルが、ハイパー・ゴブリンをターゲットにして、狩り始めた。100匹ほどいたハイパー・ゴブリンは、ほんのわずかの間に数えるほどになっていった。

 アリエスキリは、兵士用のマナドールを傷つけないように、火力を抑えて、火魔法で範囲攻撃を行った。マナドールは、元が土人形なので、火には強い。焼けると固くなるぐらいだ。

 アリエスキリの攻撃で、一気に挽回した。魔王軍を殲滅するのは、時間の問題だ。

 そこで、アリエスキリは、魔人レッドの仕上げに取り掛かった。魂を分離して、それぞれを封印した。更に、結界で囲んだ。

 アクエィアスキリ姉は、後始末を兵士用のマナドールにさせていた。壊れたマナドールの回収を優先させていた。すべてが終わった後は、兵士用のマナドール約1万体を上級ダンジョンの中に誘導しようとしていた。

 この上級ダンジョンでの戦いは、王国軍の勝利で終わった。だが、応援がなければ、 ザーセン王国軍の崩壊もあり得た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最初からここに私の居場所はなかった

kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。 死なないために努力しても認められなかった。 死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。 死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯ だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう? だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。 二度目は、自分らしく生きると決めた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。 私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~ これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」  パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。  彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。  彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。  あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。  元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。  孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。 「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」  アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。  しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。  誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。  そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。  モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。  拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。  ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。  どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。  彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。 ※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。 ※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。 ※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

かもす仏議の四天王  ~崇春坊・怪仏退治~

木下望太郎
ファンタジー
【伝奇バトル×学園コメディ×仏教!? 敵をも救う仏法バトル!】  南無阿弥陀仏、大目立ち……怪僧崇春の怪仏退治!  地蔵の姿をした謎の『怪仏(かいぶつ)』に襲われた少女、かすみ。  彼女を助けたのは僧の格好をした転校生、崇春(すしゅん)だった。  人の業(ごう)が具現化した危険な存在、『怪仏』……崇春はそれを封じるためにやってきたらしいのだが。 「南無阿弥陀仏、大目立ち……六根清浄かなり目立ち!」  目立ちたがり屋の崇春がいちいち騒ぎを巻き起こす! 「崇春……君は馬鹿かっ! 六根清浄は修験道由来の言葉だろう!」  崇春と共に転校してきた、理知的な(ように見える)少年、百見がさらにかき回し。 「そういう問題じゃありませんからー!!」  かすみの突っ込みがうなりを上げる! 「いや、突っ込みとかより怪仏退治は!?」  ――そうして、ともかく。  ――高校を舞台に、仏と人の業をめぐる冒険が今始まる。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

雑貨屋リコリスの日常記録

猫餅
ファンタジー
長い旅行を終えて、四百年ぶりに自宅のある島へと帰宅した伊織。しかし、そこには見知らぬ学園があった。更には不審者として拘束されかけ──そんな一日を乗り越えて、伊織は学園内に自分の店舗を構えることとなった。 雑貨屋リコリス。 学園に元々ある購買部の店舗や、魔術都市の店とは異なる品揃えで客を出迎える。……のだが、異世界の青年が現れ、彼の保護者となることになったのだ。 更にもう一人の青年も店員として、伊織のパーティメンバーとして加わり、雑貨屋リコリスは賑わいを増して行く。 雑貨屋の店主・伊織と、異世界から転移して来た青年・獅童憂、雪豹の獣人アレクセイ・ヴィクロフの、賑やかで穏やかな日常のお話。 小説家になろう様、カクヨム様に先行投稿しております。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

処理中です...