二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第6章 幻の魔王軍編

51. ザーセン王国軍の崩壊

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 ザーセン王国へ魔王軍が進軍を開始したという噂が流れて来た。すでに、リーグリ王国が魔王によって、崩壊したことは伝わっていた。

 そこで、ザーセン王国では、国境近くに、兵士を派遣した。特に、ダンジョンから、魔物が溢れ出てくることを想定して、国境近くにある上級ダンジョンを中心に警戒することにした。

 主な上級ダンジョンは、3つあった。3つすべてに同数の兵士を派遣するには、国王軍は、人数が十分ではなかった。

 そこで、3つの上級ダンジョンの内、中央にある上級ダンジョンに半分の数を割り当て、残りの兵士を2つの上級ダンジョンに均等に配置することにした。

 国王は、王宮の警護に1万人、中央の上級ダンジョンに1万人、その他の上級ダンジョンに5000人ずつを配置した。

 ザーセン王国の国王は、勇者に応援に来てもらいたかったのだが、いつも勇者との連絡を取っていた神官長のロシーアンが見当たらない。仕方がないので、国王軍だけでも先に派遣した。

 暫くして、キリ姉は、ザーセン王国の国王が勇者を探していると冒険者ギルド長から聞いた。

 それと、その理由が、「ザーセン王国へ魔王軍が進軍を開始したので、応援を求む」と言うことも知った。冒険者ギルドへの正式な依頼ではないが、助けに行くことにした。それも、勇者だけでなく、キリ姉のパーティーとして、応援に行くこととなった。

 魔王軍の魔物はかなりの数になっていると聞いたので、まずは、兵士用のマナドールを送ることにした。各ダンジョンの第8階層には、特別な施設が併設されているので、そこにアイテムボックスに入った兵士用マナドールを送ることにした。それと、指揮者として、パーティー名(アクエィアス)【メンバー:アクエィアスキリ姉アリエスキリレオパープル】とパーティー名(ピスケス)【ピスケスキリ姉タウラスキリヴァルゴパープル】を送ることにした。

 アクエィアスのパーティーをリーグリ王国の真北にある上級ダンジョンに送った。

 また、その東にある上級ダンジョンにピスケスのパーティーを送った。

 そして、西の端にある上級ダンジョンには、キリ姉のパーティーが転移魔法で移動した。

 それぞれの上級ダンジョンには、すでに、各2万の兵士用マナドールの配置が完了していた。

 「さてと、私達のパーティーが一番乗りのようね。兵士用のマナドールも、上級ダンジョンの出入口に整列しているね」

 と、アクエィアスキリ姉が言った。

 「アリエスキリ、スキル探索で魔王軍の配置を調べてね」

 「はい、ちょっと待ってね」

 スキル探索で調べたところ、魔王軍は、魔人レッド率いるゴブリン1万の兵力だった。

 それに敵対しているのが、ザーセン王国の王国軍1万の兵士だった。

 「先に、兵士用マナドールを王国軍の前に出すよ。レオパープルが、引き連れて行って」

 「はい、行ってきます」

 「アリエスキリ、私達は、魔人レッドの相手をするよ」

 「はい」

 私達は、急いで、王国軍の前に出た。そして、王国軍の指揮官らしき人に告げた。

 「私達は、ザーセン王国の国王からの依頼で、助けに来ました。先に、私達と、私達の軍団である小型のゴーレムで先陣を切りますね」

 「分かった。よろしく頼む。
 おーい、兵士の諸君、国王からの応援が来た。まずは、応援部隊が戦う。我々は、最初は、待機だ」

 「「わかりました」」

 「アクエィアスキリ姉、取り敢えず、攻撃しちゃう?」

 「いいよ。やっちゃって」

 アクエィアスキリ姉は、思念伝達で、キリ姉とピスケスキリ姉に攻撃を開始することを伝えた。

 アリエスキリは、突進しながら、火炎地獄インフェルノを連続で放っていった。

 火炎地獄インフェルノを1回放つ度に、ゴブリンが300匹ほど、焼け死んでいった。

  アリエスキリは、一直線に魔人レッドの目の前まで、突っ切って行ってしまった。

 「あれ、ここまで、来ちゃったよ。やりすぎたかな?」

 「お前は、何やつだ。我が軍団の邪魔をするか。容赦はしないぞ」

 「へっ、へっ、へ。やってみてよ。出来るものならね」

 「吠え面を描くなよ。火炎地獄インフェルノ

 「なかなか、やるね。ちょっと、効いたよ。それでは、氷柱地獄アイスクル・ヘル
 火魔法が得意な魔人レッドは、水魔法が逃げてるのじゃないかな?」

 「ふっふっふ。まだまだ、これからだ。
 火炎地獄インフェルノ火炎地獄インフェルノ火炎地獄インフェルノ

 「おっと、3連続とは、やるね。なんだか、以前より強くなっていない?」

 「その通り、以前、誰かに負けたままではないぞ。遥かにレベルアップしている」

 「そうなんだ。だから、効いているのね。前のレベルだったら、効かなかったのに」

 「そうか、効いているか。降参するなら、今だぞ」

 「仕方がないな。こっちも、連続で行くわよ。
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル

 「おぉー。HPが無くなって来た。このままでは、まずいな」

 アリエスキリは、スキル鑑定で、魔人レッドの残りHP・MPを調べた。

 すると、魔人レッドが言っていることは嘘ではなかった。どちらも、総量の2割程度しか残っていなかった。アリエスキリは、逃げられないように、キリから教えて貰っていた結界を張った。そして、封印する準備を行った。

 「これで終わりよ。
 氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル氷柱地獄アイスクル・ヘル

 「うぉー。もうだめだ」

 魔人レッドは、倒れた。それと同時に、魔人レッドは、転移魔法で移動しようとした。しかし、既に結界は張られており、転移魔法は、起動しなかった。アリエスキリは、魔人レッドを結界で完全に閉じ込めた。

 アリエスキリの後ろでは、魔王軍のゴブリンと兵士用のマナドールが戦っている。しかし、ハイパー・ゴブリンには、歯が立たない。そして、普通のゴブリンとの戦いでも、5対1ぐらいでないと駄目なようだ。思った以上に兵士用のマナドールは、弱かった。

 レオパープルが、ハイパー・ゴブリンをターゲットにして、狩り始めた。100匹ほどいたハイパー・ゴブリンは、ほんのわずかの間に数えるほどになっていった。

 アリエスキリは、兵士用のマナドールを傷つけないように、火力を抑えて、火魔法で範囲攻撃を行った。マナドールは、元が土人形なので、火には強い。焼けると固くなるぐらいだ。

 アリエスキリの攻撃で、一気に挽回した。魔王軍を殲滅するのは、時間の問題だ。

 そこで、アリエスキリは、魔人レッドの仕上げに取り掛かった。魂を分離して、それぞれを封印した。更に、結界で囲んだ。

 アクエィアスキリ姉は、後始末を兵士用のマナドールにさせていた。壊れたマナドールの回収を優先させていた。すべてが終わった後は、兵士用のマナドール約1万体を上級ダンジョンの中に誘導しようとしていた。

 この上級ダンジョンでの戦いは、王国軍の勝利で終わった。だが、応援がなければ、 ザーセン王国軍の崩壊もあり得た。
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