二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第6章 幻の魔王軍編

50.魔王軍の進軍

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 先日、キリとパープルが感じた通り、リーグリ王国は、すでに、魔王ズハアの王国と化していた。

 魔人ブラックは、リーグリ王国の上層部にまで入り込んで、リーグリ王国を操っていた。

 リーグリ王国のほぼ中央に位置する街ノ-トラインに、魔王ズハアは、魔人ブラックと共にいた。

 リーグリ王国に住んでいた平民はノートラインから、南西の方向にある森林の中に逃げ込んでいた。この森林に逃げ込んだ人々は、約3万人で、残りの平民の大半は、すでに殺されていた。

 魔王ズハアは、魔人ブラックに指示を出して、最も大きな王国であるザーセン王国に攻撃を開始しようとしていた。

 ザーセン王国との国境近くの上級ダンジョンへ、魔王軍の兵士を送り始めた。その場所は、ノートライン街の真北にある上級ダンジョンである。
 
 魔人ブラックは、魔人レッドと魔人ブルーを進軍の先陣に当てた。

 魔人レッドは、ハイパー・ゴブリンに引き連れられているゴブリン軍団を指揮していた。

 そして、ハイパー・トロールに引き連れられているトロール軍団を魔人ブルーが指揮をしていた。

 両軍団は、まもなく、上級ダンジョンに到着するところまで、進軍していた。

 魔人レッドに引き連れられて来たゴブリン軍団と別れて、魔人ブルーに引き連れられて来たトロール軍団は、東へと進路を変更した。その先に、もう一つの上級ダンジョンがある。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 キリ達は、ようやくパーティーとして出発することが出来た。そこで、キリ姉は、魔法学院を休学することにした。

 暫くは、ハルトがいるパーティーを中心とした生活をしたいと思ったからだ。

 「キリ、私、暫く魔法学院を休学することにしたわ」

 「えっ、どうして? 追試試験も受けたし、後、1年ちょっとで、卒業だよ」

 「うん。ハルトがパーティーに入ってくれたから、暫くは、パーティー中心の活動をしたいの」

 「そうだね。もともと、キリ姉は、私の付き添いみたいなものだったからね」

 「そうでもないわよ。私も、魔法学院に入って、一から魔法の勉強をやり直したかったし、入学してよかったと思っているよ」

 「でも、なんだかぁ、無理させたみたいな感じ」

 「キリ、あなたが、気にすることなんて、何もないからね」

 「はい、わかりました。すみません」

 「私は、マルグリット先生には、挨拶しておこうと思っているわ。それから、手続きすることになると思う」

 「そうか、寂しくなるね。でも、私一人でも、頑張るね」

 「そうよ。私に付き合って、休学することはないからね」

 「はい」

 それから、暫くして、キリ姉は、正式に休学をした。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 ウディーア王国の冒険者ギルドは、ザーセン王国やリーグリ王国の情報を得ていた。

 正確なものでは、なかったが、リーグリ王国に魔王が君臨し、王国は崩壊している。そして、すでに、ザーセン王国への進軍の準備が始まった。これらが、噂として知られていた。

 特に、リーグリ王国の森林に逃げ込んだ王国民の中には、冒険者ギルドに登録している者も何10人もいた。それらの者の何人かが、国境を越えて、ウディーア王国にもやって来ていた。

 冒険者ギルドでは、それらの噂で持ちきりだった。今日も、その話が冒険者ギルド内で、されていた。

 「リーグリ王国は、どんな様子だ」

 「もう、だめだね。国王は、王宮に逃げ込んで、隠れているよ。魔王とは、戦うつもりもないみたいだぜ」

 「そうか、ザーセン王国のことは、何か聞いていないか?」

 「もう、だいぶ前のことだけど、ダンジョンがすべて制圧されたようだよ。
 ザーセン王国の冒険者は、仕事がなくなったって、こぼしていたよ」

 「そうか、あの国には勇者がいただろ」

 「そうだよ、勇者がいたよ。その勇者が魔物をすべて狩って行ったんだ。だから、あんなに簡単にすべてのダンジョンが制圧されてしまった。いまでは、単なる洞窟だよ」

 「その勇者って、ハルトって言っていなかったかい」

 「よく知っているな。ハルトだよ。最初は、名前が伏せられていたんだが、どうも、ザーセン王国にトード王国から、勇者の派遣依頼があったらしい。その時に、名前が知れ渡ったんだ」

 「そうか、やっぱりな」

 「やっぱりとは、どういうことだ」

 「先日、その勇者のハルトが冒険者登録に来たんだ」

 「えっ、どうして勇者が冒険者になるんだ」

 「それは、知らない。何か、事情があるんだろう」

 「へぇー、そんなことも、あるんだな」

 「その上に、パーティーを組んだんだよ」

 「勇者のパーティーか、それは凄いな。当然、最低でもSランク冒険者なんだろ。そのパーティーのメンバーは」

 「いや、それが、Aランクなんだ」

 「そんなばかな。なぜ、Aランクなんだ。ちょっと、レベルが違いすぎるだろ」

 「それだけじゃないんだぜ。勇者は、Gランクから始めるとさ」

 「バカじゃないか。今更、Gランクで何をするんだ。ここの冒険者ギルド長は、おかしいのか?」

 「本当だな。勇者がGランクなんてな。ここの冒険者ギルド長は、バカだよ」

 「本当に、バカだな」

 「バカだよなぁ。冒険者ギルド長って、俺なんだけどね」
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