二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第5章 魔人ブラック編

46.魔王直属の兵士

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 キリとパープルは、3つ目のダンジョンコアを封印して、アイテムボックスに入れていた。

 隠密魔法を起動したまま、キリとパープルは、ミユの所まで、戻って来た。

 「キリ姉、終わったよ。無事、ダンジョンコアを2個回収したよ。
 兵士の様子だと、他のダンジョンは、大丈夫みたい。すべて、制圧されたままだよ」

 「そう、それでは、これで完了ね」

 「今後の事を考えて、制圧されているダンジョンも、すべて装置を付けておかない?」

 「そうね。いい考えだわ。お願いできる?」

 「いいよ、パープルもお願いね」

 「うん、いいよ」

 「そうだ、レオパープルヴァルゴパープルにも、手伝ってもらおう。そしたら、早く終わるね」

 「うん、そう思う」

 キリは、思念伝達で、レオパープルヴァルゴパープルに連絡をとり、依頼を了承してもらった。

 「キリ姉、それじゃ、行って来るね」

 「何が起こるか分からないから、無理はしないでよ」

 「はい、わかってるよ。バイバイ」

 キリとパープルは、隠密魔法を起動して、作業に向かっていった。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 魔王ズハアは、ブラックに仕事の依頼をしていた。

 「私の直属の兵隊を創りたい。ブラック、できるか?」

 「どのような兵隊をご希望ですか?」

 「ゴーレムだな。あれは、身体が丈夫だ」

 「何体ほど、御所望ですか」

 「多ければ、多いほど良いが、少なくとも1万は必要だな」

 「魔王様、そのような数のゴーレムを探すことは無理です。せいぜいが、数10体かと思いますが」

 「何、ブラック、出来ないというのか。余の頼みだぞ。わかっているのか」

 「魔王様、探してみますが、かなり時間が掛かると思います。それでも、1万は、到底無理な数字です。頑張ってみますが、100体でご勘弁ください。それと、時間を約1ケ月は頂きたいです」

 「それほど、無理な注文だと申すのか」

 「はい、魔王様、無理でございます」

 「うーん、何か代案は無いのか? 
 ブラック、お前は知恵者じゃなかったのか?」

 「本当のゴーレムでなくてもよければ、1000体を1週間で御用意します」

 「何、1000体と申したか」

 「はい、そうです、魔王様」

 「よかろう、すぐに取り掛かれ。必要な物は、自由に使ってよいぞ。遠慮はいらぬからな。
 できるだけ、急げ」

 「はい、直ちに」

 魔人ブラックは、土魔法が使える魔人達に、土人形をゴーレムの形に作るように指示をした。

 その土人形は、高さ3mにも達し、表面を強化されたもので、土人形と言うより、岩人形という方がぴったりした物だった。

 複数の魔人達で作業を行ったので、1000体作るのに、それほどの時間は掛からなかった。

 半日もすると、第96階層は、この岩人形ゴーレム・モドキで、埋めつくされた。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 キリ達は、順調に作業を進めていた。20以上もあるダンジョンを一つずつ例の装置に接続していった。当然、今回のさぎょうでは、新しい「ABAB」型のバリアを使って、ダンジョンと装置までの通路との出入口に結界を付くている。

 これで、前より、魔物の侵入を防げるはずだ。万全ではないが、以前より安心できる。

 最後のダンジョンの作業を終えたキリ達は、一カ所に集まった。

 「ご苦労様、パープル。よし、よし。
 レオとヴァルゴも、ご苦労様。
 よし、よし」

 キリは、3人に声を掛けながら、頭を撫でていった。

 3人とも、キリに撫でて貰って、とても嬉しそうだ。

 「これで、完了ね。でも、せっかくここまで来たのだから。何か、したいよね」

 ザーセン王国とリーグリ王国の国境近くにある上級ダンジョンに来ていた。

 キリ達4人は、隠密魔法を起動して、近くの神殿への出入口に近づいて行った。

 キリは、思念伝達で、パープルに声を掛けた。

 「何か、変だね」

 「うん。キリ、変だね」

 レオとヴァルゴも頷いている。

 「神官達が居ないね。おかしい?」

 「本当だ、これだったら、誰でも入れてしまうね」

 キリ達は、出入口から神殿へと向かった。しかし、何処へ行っても、誰にも会わない。

 冒険者ギルドにも、冒険者どころか、神官達もいない。

 どこの建物も以前のままで、綺麗なのに、人だけが居なくなっている。

 キリは、スキル探索で、周囲の状況を把握した。

 「この辺りには、魔物しかいないよ」

 神殿の横の遺跡にも以前いた神官達が居なかった。感知できるのは、ダンジョンの中の魔物だけだった。そして、その魔物のレベルが非常に高かった。通常の上級ダンジョンにいる魔物とは、桁違いの魔力量だった。

 このリーグリ王国の街の作りは、他の王国とは違っている。

 一つの街は、神殿を中心として、成り立っており、神殿の横に、遺跡と冒険者ギルドがある。

 そして、それらは、神官達によって管理されていた。また、それらの施設はすべて、一つの閉鎖されたエリアの中にあった。更に、そこへの出入口は、神官達によって守られていた。

 すべてが、神官達によって管理され、監視されていた。その王国の街に神官が一人もいない。魔物の気配しか、感知できなかった。

 「これって、やばくない?」

 「「うん、やばい」」
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