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第4章 魔人誕生編
39.捕らえられた魔人
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魔人サンドは、完全に拘束されてしまった。
「俺は、何を失敗したんだ」
魔人サンドは、奇妙な感覚に捕らえられていた。普通なら、外界からのマナを吸収して、少しずつ、MPが回復して、それにつれて、HPが回復していくはずだった。
ところが、全くマナが吸収できない。いや、少し違うな。所謂、封印魔法とは違うようだ。外界のマナを感知することは出来ている。しかし、そのマナが自分のところまで、やってこない。それどころか、常にマナを抜き取られている感じがする。今は、全くマナがないのに、それでも、抜かれている感じがする。
「他の奴らは、何とか、逃げ帰って、レベルアップしているというのに。
戦った、相手が違ったのか?」
魔人サンドは、勇者との戦いを思い出そうとした。
「確かに、あの大斧の破壊力は凄かった。流石に勇者と思わせた。
しかし、光魔法を一度も使わなかったな。それに、武器に光魔法を纏わせることもなかった。
勇者と言えば、光魔法だろう。違うのか?」
「それに、途中から、勇者の動きが変わったな。
あれは、誰かが、光魔法を使ったようだった。
だが、今、俺を拘束している物は、明らかに闇魔法で創ったものだ。
それに、変な物がくっついている。神具とは、違うようだ。
とても、人工的な感じがする。
更に、おかしいのは、光魔法でも拘束されているということだ。
この嫌な感じは、光魔法に違いない」
魔人サンドは、色々と考えている。しかし、今までに経験したことのない物に戸惑いを隠せない。
それと共に、不気味さを感じていた。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
いつの間にか、魔人サンドは、眠ってしまっていたようだ。
「ウーン、どれぐらいたったんだ。
おっ、誰かが近づいてくるようだ」
キリとパープルが、魔人サンドを捕らえている倉庫にやって来た。
「おとなしくしていてね」
パープルが、暇そうに、私の腰にぶら下がっている。ブランコのつもりかな。
「貴様は、誰だ。俺に何をする気だ」
「ふーん、話は出来るんだ。少しは、考えることも出来るかな」
「当たり前だ、俺を何だと思っている」
「ちょっと、考えなしだと思っているよ」
「何だと、これでも、俺は、魔王の四天王の一人だぞ」
「ヘぇー、その四天王が、何て姿なのかな?」
パープルは、魔人サンドの顔を覗き込みながら、目が見えているのか、探っている。どうも、疲れているせいで、目を閉じているらしい。
「いい加減にしろ。何がしたいのだ。早く言え」
「ありがとう。正直に話してくれると有り難いんだけど」
「内容による」
「それはそうだね」
「それでは、まず、1つ目ね。誰に指図されているの?」
「なぜ、指図されている事を知っている。お前は、何者だ」
「余計な事は言わない。いい、余計な事は言わないでね」
「………
「ここは、『はい』、って言わないと、だめだよ」
「………」
「まあ、いいか。黒幕はいるって、ことだね。
ダンマリ、か? 仕方ないね。次行こうか」
私は、パープルに、思念伝達で、指示を出した。
「パープル、ダンジョンコアを1個持ってきてくれる」
「はい、すぐに」
一瞬の内に、パープルがダンジョンコアを持って来た。
私は、ダンジョンコアに、覚えたての魔法陣を刻印した。本当の封印は本名が分からないとだめらしいけど、まあ、何とかなるでしょう。
私は、魔法陣に、マナを込めながら、魔人サンドをイメージした。すると、魔人サンドの身体から、何か白っぽいものが出て来た。煙ではなく、もっと薄っすらとしてもので、向こうが透けて見える。
ゆっくりと、ダンジョンコアの魔法陣に吸い込まれていった。そして、暫くすると、その白い、煙っぽい物は消えてなくなっていた。
パープルは、魔人サンドの元の身体の周りを飛び跳ねている。私も、魔人サンドの傍に行った。
そして、頭を小突いてやった。
「魔人サンド、起きてるかな?」
「オーイ、魔人サンド」
私は、話しかけながら、何度も頭を小突いて、小突いて、小突いた。でも、何の反応もない。
どうやら、封印が成功したようだ。死体のように動かない魔人サンドの身体に対して、スキル鑑定を実行した。
【ステータス】
名前:元魔人サンドの身体
種族:元魔人族
職業:不明
LVレベル:0
HP(最大体力量):0
MP(最大魔力量):0
魔法:
スキル:
何と、ほとんど何も表示されない。空っぽだった。私は、空のアイテムボックスを1個だして、結界で囲まれた【元魔人サンドの身体】の身体を放り込んだ。
すると、何と、【元魔人サンドの身体】は、アイテムボックスの中に入った。つまり、これは、生物でなく、物体ということだ。やはり、魂は抜けたということだ。
念のため、【元魔人サンドの身体】を入れたアイテムボックスを光魔法で創った結界の中に閉じ込めた。
つぎに、ダンジョンコアの方をスキル鑑定で調べてみた。
【ステータス】
名前:サンド
本名:(隠蔽)
種族:悪魔族
職業:魔王の四天王
レベル:90
HP(最大体力量):500,000
MP(最大魔力量):100,000,000
魔法:土魔法(LV EX)、火魔法(LV70)、水魔法(LV70)、風魔法(LV70)、闇魔法(LV80)
スキル:毒耐性(LV70)、麻痺耐性(LV70)、魔力耐性(LV80)、物理耐性(LV70)
どうやら、うまくいったようだ。簡易的だが、魔人を封印出来た。
私は、キリ姉に報告して、状況を確認してもらった。
「俺は、何を失敗したんだ」
魔人サンドは、奇妙な感覚に捕らえられていた。普通なら、外界からのマナを吸収して、少しずつ、MPが回復して、それにつれて、HPが回復していくはずだった。
ところが、全くマナが吸収できない。いや、少し違うな。所謂、封印魔法とは違うようだ。外界のマナを感知することは出来ている。しかし、そのマナが自分のところまで、やってこない。それどころか、常にマナを抜き取られている感じがする。今は、全くマナがないのに、それでも、抜かれている感じがする。
「他の奴らは、何とか、逃げ帰って、レベルアップしているというのに。
戦った、相手が違ったのか?」
魔人サンドは、勇者との戦いを思い出そうとした。
「確かに、あの大斧の破壊力は凄かった。流石に勇者と思わせた。
しかし、光魔法を一度も使わなかったな。それに、武器に光魔法を纏わせることもなかった。
勇者と言えば、光魔法だろう。違うのか?」
「それに、途中から、勇者の動きが変わったな。
あれは、誰かが、光魔法を使ったようだった。
だが、今、俺を拘束している物は、明らかに闇魔法で創ったものだ。
それに、変な物がくっついている。神具とは、違うようだ。
とても、人工的な感じがする。
更に、おかしいのは、光魔法でも拘束されているということだ。
この嫌な感じは、光魔法に違いない」
魔人サンドは、色々と考えている。しかし、今までに経験したことのない物に戸惑いを隠せない。
それと共に、不気味さを感じていた。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
いつの間にか、魔人サンドは、眠ってしまっていたようだ。
「ウーン、どれぐらいたったんだ。
おっ、誰かが近づいてくるようだ」
キリとパープルが、魔人サンドを捕らえている倉庫にやって来た。
「おとなしくしていてね」
パープルが、暇そうに、私の腰にぶら下がっている。ブランコのつもりかな。
「貴様は、誰だ。俺に何をする気だ」
「ふーん、話は出来るんだ。少しは、考えることも出来るかな」
「当たり前だ、俺を何だと思っている」
「ちょっと、考えなしだと思っているよ」
「何だと、これでも、俺は、魔王の四天王の一人だぞ」
「ヘぇー、その四天王が、何て姿なのかな?」
パープルは、魔人サンドの顔を覗き込みながら、目が見えているのか、探っている。どうも、疲れているせいで、目を閉じているらしい。
「いい加減にしろ。何がしたいのだ。早く言え」
「ありがとう。正直に話してくれると有り難いんだけど」
「内容による」
「それはそうだね」
「それでは、まず、1つ目ね。誰に指図されているの?」
「なぜ、指図されている事を知っている。お前は、何者だ」
「余計な事は言わない。いい、余計な事は言わないでね」
「………
「ここは、『はい』、って言わないと、だめだよ」
「………」
「まあ、いいか。黒幕はいるって、ことだね。
ダンマリ、か? 仕方ないね。次行こうか」
私は、パープルに、思念伝達で、指示を出した。
「パープル、ダンジョンコアを1個持ってきてくれる」
「はい、すぐに」
一瞬の内に、パープルがダンジョンコアを持って来た。
私は、ダンジョンコアに、覚えたての魔法陣を刻印した。本当の封印は本名が分からないとだめらしいけど、まあ、何とかなるでしょう。
私は、魔法陣に、マナを込めながら、魔人サンドをイメージした。すると、魔人サンドの身体から、何か白っぽいものが出て来た。煙ではなく、もっと薄っすらとしてもので、向こうが透けて見える。
ゆっくりと、ダンジョンコアの魔法陣に吸い込まれていった。そして、暫くすると、その白い、煙っぽい物は消えてなくなっていた。
パープルは、魔人サンドの元の身体の周りを飛び跳ねている。私も、魔人サンドの傍に行った。
そして、頭を小突いてやった。
「魔人サンド、起きてるかな?」
「オーイ、魔人サンド」
私は、話しかけながら、何度も頭を小突いて、小突いて、小突いた。でも、何の反応もない。
どうやら、封印が成功したようだ。死体のように動かない魔人サンドの身体に対して、スキル鑑定を実行した。
【ステータス】
名前:元魔人サンドの身体
種族:元魔人族
職業:不明
LVレベル:0
HP(最大体力量):0
MP(最大魔力量):0
魔法:
スキル:
何と、ほとんど何も表示されない。空っぽだった。私は、空のアイテムボックスを1個だして、結界で囲まれた【元魔人サンドの身体】の身体を放り込んだ。
すると、何と、【元魔人サンドの身体】は、アイテムボックスの中に入った。つまり、これは、生物でなく、物体ということだ。やはり、魂は抜けたということだ。
念のため、【元魔人サンドの身体】を入れたアイテムボックスを光魔法で創った結界の中に閉じ込めた。
つぎに、ダンジョンコアの方をスキル鑑定で調べてみた。
【ステータス】
名前:サンド
本名:(隠蔽)
種族:悪魔族
職業:魔王の四天王
レベル:90
HP(最大体力量):500,000
MP(最大魔力量):100,000,000
魔法:土魔法(LV EX)、火魔法(LV70)、水魔法(LV70)、風魔法(LV70)、闇魔法(LV80)
スキル:毒耐性(LV70)、麻痺耐性(LV70)、魔力耐性(LV80)、物理耐性(LV70)
どうやら、うまくいったようだ。簡易的だが、魔人を封印出来た。
私は、キリ姉に報告して、状況を確認してもらった。
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