二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
65 / 145
第4章 魔人誕生編

36.ダンジョンからの侵入者

しおりを挟む
 突然に、ダンジョンからアラームが伝えられた。でも、これは、いつものアラームとは異なった。いつもであれば、ダンジョン内のマナの密度が一定以上になりアラームが作動していた。

 しかし、今回は、ダンジョン内のマナの密度に変化がなかった。

 ダンジョンと装置との間には、結界を張っていた。それを抜けて、誰かが侵入したようだ。

 たしかに、これまで、作っていた結界は弱い物であった。というのも、ミユが図書館から、図書館に接続している施設に入ってきたことがあった。あの時のままであった。

 「失敗、失敗、忙しくて、うっかりしてしまったわ」

 キリは、結構、ポカが多い。それを補ってくれるのが、キリ姉だ。早速、いつも通り、キリ姉を頼った。キリは、思念伝達でキリ姉を呼び出した。

 「キリ姉、ちょっと、相談したいことがあるんだけど」

 「急に、何。何かあったの?」

 「実は、ダンジョンから、何者かに侵入されてしまって」

 「何、のんびりしているの、急いで行くわよ」

 「どこのダンジョンなの、教えて」

 キリは、急いで、キリ姉に状況を詳しく説明した。それと、同時に、パープルを連れて、現地に転移魔法で、移動した。キリ姉も、少し遅れて、転移用魔法陣を使って、移動した。

 「スキル探索、わかった。まだ、通路にいるわ」

 「キリ、今着いたわ。場所は?」

 「通路にいるの。レベルは80で高くないよ。動きもゆっくり、調べながら移動しているみたい」

 「わかったわ。一度、合流しましょ」

 「はい、施設と通路の境の所で、待っているね」

 「すぐ行くわ」

 私が、パープルと待機していると、後ろからキリ姉が現れた。私が到着するのとほぼ同時だった。

 「キリ、様子はどう?」

 「まだ、通路の中よ、ゆっくり、こちらに向かっているよ」

 「それでは、少し時間の余裕があるわね。対応を検討しましょ」

 「キリ、通路の中に、段階的にバリアを張ってくれる」

 「ちょっと、意味が分からないよ」

 「ミユは、解呪ディスペル(LV1)でも、こちらに入れたよね。
 だから、この相手を実験台に使いたいの。どの程度のバリアで防げるのかを」

 「なるほどね。それじゃ、こちらの手前から、侵入者の所まで、出来るだけ、複数のバリアを張るね」

 「キリ、手前ほど、強く張ってよ」

 「はい、分かった」

 キリは、キリ姉に言われたように、バリアを張り始めた。現在のキリは、闇魔法のレベルが85ある。そこで、まず、最大レベルのバリアを張った。次に、約5m遠くに、レベル80でバリアを張った。これを繰り返して行った。

 侵入者まで、20mになった時に中止した。それまでに、レベル5刻みで、レベル60まで張ることが出来た。キリは、少し落ち着いたので、侵入者をスキル鑑定で調べてみた。

【ステータス】
 名前:(隠蔽)
 本名:(隠蔽)
 種族:(隠蔽)
 職業:(隠蔽)
 レベル:80
 HP(最大体力量):100,000
 MP(最大魔力量):10,000,000
 魔法:土魔法(LV60)、火魔法(LV60)、水魔法(LV60)、風魔法(LV60)、闇魔法(LV EX)
 スキル:毒耐性(LV50)、麻痺耐性(LV50)、魔力耐性(LV50)、物理耐性(LV50)

 「キリ姉、ダメ、相手が悪いよ」

 「どういうこと、相手の闇魔法のレベルがEXになっているの。だから、すべて破られるよ」

 「キリ、すぐに、バリアをすべて消して、それから、パープルに相手させて、時間を稼いで」

 「パープル、聞こえた。倒さなくていいから、時間を稼いでね」

 「うん、分かった」

 すぐに、パープルは、侵入者の目の前まで移動した。私は、手前のバリアから、消し始めた。

 元に戻すのに、1つ当たり10秒は、掛かりそうだ。

 侵入者は、目の前に現れたパープルに話しかけた。

 「おぬしは、どこから現れたのかな?」

 「………」

 「獣人だな。少し厄介だな。帰るとしようか」

 「………」

 「はっ、はっ、はっ。面白い。いずれ、また、会うだろう」

 侵入者は、転移魔法で移動してしまった。

 「どうしよう。キリ姉、どんなバリアもダメかも」

 「ちょっと、ステータスを詳しく教えて」

 私は、もう一度、侵入者のステータスをキリ姉に教えた。今度は、ゆっくりと、伝えた。

 「分かったわ。キリは、闇魔法(LV EX)に驚いたのね」

 「そうなの、私の闇魔法のレベルが85しかないので、絶対に負けると思ったの」

 「そうね。用心することは大切だよ。
 でも、前に、魔人ブローや魔人レッドと戦った時のことを思い出してね」

 「どういうこと?」

 「魔人レッドは火魔法、魔人ブローは風魔法、それぞれ、レベルがEXだったよね」

 「あぁー、そうだったね。すっかり忘れていたよ」

 「それで、どうだった? 
 あの時のキリの風魔法は、レベル80ぐらいでしょ。
 でも、魔法の威力は圧倒的にキリの方が上だったよ」

 「うん、そう思った」

 「それに、魔法耐性もレベル80ぐらいでしょ。
 そしたら、どうして、魔人ブローの攻撃が効かなかったのかな?」 

 「本当だね。どうして?」

 「ちょっとは、自分で考えなさいよ」

 「キリ姉、いいじゃない、教えてよ。ねえ」

 「もう、わかったわよ。魔法は、マナを使うよね。
 そのマナは、使う人のマナの総量で威力が決まるよね。
 少ししかマナが使えないのに、大きな威力のある魔法が使える?」

 「無理だね。そうか、マナの総量で、注ぎ込めるマナの量が決まるのか。それが少ないと、威力も小さい。なんだ、そんなことか」

 「何? そんなことか、って。それぐらい、自分で考えてよね」

 「はーい、ごめんなさい」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

魔術師セナリアンの憂いごと

野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。 偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。 シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。 現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。 ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。 公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。 魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。 厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界国盗り物語 ~戦国日本のサムライ達が剣と魔法の世界で無双する~

和田真尚
ファンタジー
 戦国大名の若君・斎藤新九郎は大地震にあって崖から転落――――気付いた時には、剣と魔法が物を言い、魔物がはびこる異世界に飛ばされていた。 「これは神隠しか?」  戸惑いつつも日本へ帰る方法を探そうとする新九郎  ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。  家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。  領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。  唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。  敵対勢力は圧倒的な戦力。  果たして苦境を脱する術はあるのか?  かつて、日本から様々なものが異世界転移した。  侍 = 刀一本で無双した。  自衛隊 = 現代兵器で無双した。  日本国 = 国力をあげて無双した。  では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――? 【新九郎の解答】  国を盗って生き残るしかない!(必死) 【ちなみに異世界の人々の感想】  何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!  戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?  これは、その疑問に答える物語。  異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。 ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

雑貨屋リコリスの日常記録

猫餅
ファンタジー
長い旅行を終えて、四百年ぶりに自宅のある島へと帰宅した伊織。しかし、そこには見知らぬ学園があった。更には不審者として拘束されかけ──そんな一日を乗り越えて、伊織は学園内に自分の店舗を構えることとなった。 雑貨屋リコリス。 学園に元々ある購買部の店舗や、魔術都市の店とは異なる品揃えで客を出迎える。……のだが、異世界の青年が現れ、彼の保護者となることになったのだ。 更にもう一人の青年も店員として、伊織のパーティメンバーとして加わり、雑貨屋リコリスは賑わいを増して行く。 雑貨屋の店主・伊織と、異世界から転移して来た青年・獅童憂、雪豹の獣人アレクセイ・ヴィクロフの、賑やかで穏やかな日常のお話。 小説家になろう様、カクヨム様に先行投稿しております。

ドラゴンなのに飛べません!〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜

藤*鳳
ファンタジー
 人間としての寿命を終えて、生まれ変わった先が...。 なんと異世界で、しかもドラゴンの子供だった。 しかしドラゴンの中でも小柄で、翼も小さいため空を飛ぶことができない。 しかも断片的にだが、前世の記憶もあったのだ。 人としての人生を終えて、次はドラゴンの子供として生まれた主人公。 色んなハンデを持ちつつも、今度はどんな人生を送る事ができるのでしょうか?

処理中です...