64 / 145
第4章 魔人誕生編
35.魔人サンドの火遊び
しおりを挟む
ザーセン王国の神官長ロシーアンは、勇者が2人ともいなくなっていることに気が付いた。
部下の神官達が、少女の勇者が逃げたことを報告しなかった。
また、少年の勇者を見つけているのに、他の者に連れ去られた神官達が居た。
神官長ロシーアンは、激怒した。しかし、勇者を召喚した目的は、結果として果たせていた。
それは、ダンジョンの制圧であった。その結果得られるダンジョンコアの収集が、最終的な目的であった。それは、少年の勇者の暴走によって、図らずとも、達成されたのである。
神官長ロシーアンは、ここは、ポジティブに考えようと思った。結果良ければ、すべて良しだ。勇者が制圧したダンジョンに配下の神官達を向かわせて、すべてのダンジョンからダンジョンコアを回収したのだった。
以前、誰かにダンジョンコアを盗まれて、困ってしまったが、今回は、失った以上のダンジョンコアを回収することが出来た。総数23個である。これは、期待以上の成果だ。
神官長ロシーアンは、心配を忘れ、喜んだ。だが、勇者達をそのままにしておけば、神殿の威厳が損なわれる。それに、国王に知られると、いかに叱責されるか分からない。これについては、対処しないといけない。
まずは、少年の勇者の行方を探ることが先決だ。そこで、神官長ロシーアンは、各王国の神殿に手紙を書き、勇者に関係する情報を持っていないか、探ることにした。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
魔王軍幹部の一人、通称サンドは、最近、魔人が勇者に倒されたという噂を聞いた。しかし、誰一人として、死んでいないのだ。却って、レベルアップを喜んでいるらしい。
「俺の所には、例の策士から、連絡がない。どうしてだ。
俺が、他の魔人より、劣っているとでも、思っているのか。
それなら、俺にも考えがあるぞ。俺の本来の力を示してやらねばならないのか?
だが、策士は一方的に連絡してくるだけで、正体が全く分からない。
魔人の誰一人として、本人と対面していない。策士が魔人か、どうかすら、わからない。
もうそろそろ、俺の我慢も限界だぞ」
魔王の四天王の一人である、通称サンドは、少し、いらいらしていた。狭い、ダンジョンの中で、こそこそと隠れているのも、嫌気が指している。
「外界に出て、暴れてやろうか?」
魔人の噂が流れているのが、リーツ王国、ウディーア王国、ザーセン王国の3つの王国だけだった。
「トード王国には、まだ、誰も行っていないようだな。それでは、俺が行ってやろう」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
キリは、書籍のデータベースを調べていた。先日の魔人の事が気になって仕方がない。魔人に関する情報を検索した。
いくつかは、ヒットした。だが、多くの内容が、「魔人とは、………」の類で、欲しい情報ではない。キリは、どうしたらいいか、いい考えが出てこなかった。
「キリ姉、ちょっと、相談に乗ってくれる」
「いいよ。言ってごらん」
「実は、先日の事が、まだ、気になっているの。魔人の討伐の方法なんだけど、書籍のデータベースを調べても、なかなか、見つからなくて」
「キリ、まだ、考えていたの。知らなかったわ」
「実は、あれから、ずっと、考えていたんだよ」
「そうね。魔人って、魔王の手下よね。だったら、魔王と同じ弱点があるのでは?」
「なるほど、そうだね。キリ姉は、やっぱり偉いね」
「年上なんだから、当り前よ。キリより、長く生きていて、経験が豊富なのよ」
「うーん、それは、なんとも」
「何言ってるの。素直に褒める所よ」
「はい、キリ姉は、えらい」
「それで、いいのよ。それと、別に殺す必要はないのでは」
「どういうこと?」
「つまり、私達の邪魔にならなかったら、良いだけよ」
「そうだよ。それで?」
「魔人の活動が、停止すればいいのよ。例えば、封印とかね」
「あぁ、そうだね。封印でもいいんだね」
「ちょっとは、役に立ったかな?」
「はい、やっぱり、キリ姉は、偉い。今度は、本気で思ったよ」
「えぇ、なんていったの? まぁ、いいか。それじゃね」
本当に、キリ姉には驚かされる。あんなに若いのに、私より、教師らしい、いやいや、年輩みたいだね。
「魔王を倒すのに必須とされる聖剣、………」って、定番だよね。やっぱり、聖剣だね。
「封印についても、調べておこうっと」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
キリは、思念伝達で、レオとヴァルゴに、指示を出した。今やっている監視を止めて、リーツ王国の国王から、聖剣についての情報をできるだけ聞き出して欲しい。それも、急いでやって欲しいと伝えた。
レオとヴァルゴは、快く、引き受けてくれた。しかし、あそこの国王は、精神が不安定みたいだから、あまり、会いたくないみたいだ。でも、即座に転移用魔法陣を用いて、移動した。
部下の神官達が、少女の勇者が逃げたことを報告しなかった。
また、少年の勇者を見つけているのに、他の者に連れ去られた神官達が居た。
神官長ロシーアンは、激怒した。しかし、勇者を召喚した目的は、結果として果たせていた。
それは、ダンジョンの制圧であった。その結果得られるダンジョンコアの収集が、最終的な目的であった。それは、少年の勇者の暴走によって、図らずとも、達成されたのである。
神官長ロシーアンは、ここは、ポジティブに考えようと思った。結果良ければ、すべて良しだ。勇者が制圧したダンジョンに配下の神官達を向かわせて、すべてのダンジョンからダンジョンコアを回収したのだった。
以前、誰かにダンジョンコアを盗まれて、困ってしまったが、今回は、失った以上のダンジョンコアを回収することが出来た。総数23個である。これは、期待以上の成果だ。
神官長ロシーアンは、心配を忘れ、喜んだ。だが、勇者達をそのままにしておけば、神殿の威厳が損なわれる。それに、国王に知られると、いかに叱責されるか分からない。これについては、対処しないといけない。
まずは、少年の勇者の行方を探ることが先決だ。そこで、神官長ロシーアンは、各王国の神殿に手紙を書き、勇者に関係する情報を持っていないか、探ることにした。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
魔王軍幹部の一人、通称サンドは、最近、魔人が勇者に倒されたという噂を聞いた。しかし、誰一人として、死んでいないのだ。却って、レベルアップを喜んでいるらしい。
「俺の所には、例の策士から、連絡がない。どうしてだ。
俺が、他の魔人より、劣っているとでも、思っているのか。
それなら、俺にも考えがあるぞ。俺の本来の力を示してやらねばならないのか?
だが、策士は一方的に連絡してくるだけで、正体が全く分からない。
魔人の誰一人として、本人と対面していない。策士が魔人か、どうかすら、わからない。
もうそろそろ、俺の我慢も限界だぞ」
魔王の四天王の一人である、通称サンドは、少し、いらいらしていた。狭い、ダンジョンの中で、こそこそと隠れているのも、嫌気が指している。
「外界に出て、暴れてやろうか?」
魔人の噂が流れているのが、リーツ王国、ウディーア王国、ザーセン王国の3つの王国だけだった。
「トード王国には、まだ、誰も行っていないようだな。それでは、俺が行ってやろう」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
キリは、書籍のデータベースを調べていた。先日の魔人の事が気になって仕方がない。魔人に関する情報を検索した。
いくつかは、ヒットした。だが、多くの内容が、「魔人とは、………」の類で、欲しい情報ではない。キリは、どうしたらいいか、いい考えが出てこなかった。
「キリ姉、ちょっと、相談に乗ってくれる」
「いいよ。言ってごらん」
「実は、先日の事が、まだ、気になっているの。魔人の討伐の方法なんだけど、書籍のデータベースを調べても、なかなか、見つからなくて」
「キリ、まだ、考えていたの。知らなかったわ」
「実は、あれから、ずっと、考えていたんだよ」
「そうね。魔人って、魔王の手下よね。だったら、魔王と同じ弱点があるのでは?」
「なるほど、そうだね。キリ姉は、やっぱり偉いね」
「年上なんだから、当り前よ。キリより、長く生きていて、経験が豊富なのよ」
「うーん、それは、なんとも」
「何言ってるの。素直に褒める所よ」
「はい、キリ姉は、えらい」
「それで、いいのよ。それと、別に殺す必要はないのでは」
「どういうこと?」
「つまり、私達の邪魔にならなかったら、良いだけよ」
「そうだよ。それで?」
「魔人の活動が、停止すればいいのよ。例えば、封印とかね」
「あぁ、そうだね。封印でもいいんだね」
「ちょっとは、役に立ったかな?」
「はい、やっぱり、キリ姉は、偉い。今度は、本気で思ったよ」
「えぇ、なんていったの? まぁ、いいか。それじゃね」
本当に、キリ姉には驚かされる。あんなに若いのに、私より、教師らしい、いやいや、年輩みたいだね。
「魔王を倒すのに必須とされる聖剣、………」って、定番だよね。やっぱり、聖剣だね。
「封印についても、調べておこうっと」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
キリは、思念伝達で、レオとヴァルゴに、指示を出した。今やっている監視を止めて、リーツ王国の国王から、聖剣についての情報をできるだけ聞き出して欲しい。それも、急いでやって欲しいと伝えた。
レオとヴァルゴは、快く、引き受けてくれた。しかし、あそこの国王は、精神が不安定みたいだから、あまり、会いたくないみたいだ。でも、即座に転移用魔法陣を用いて、移動した。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

愛しくない、あなた
野村にれ
恋愛
結婚式を八日後に控えたアイルーンは、婚約者に番が見付かり、
結婚式はおろか、婚約も白紙になった。
行き場のなくした思いを抱えたまま、
今度はアイルーンが竜帝国のディオエル皇帝の番だと言われ、
妃になって欲しいと願われることに。
周りは落ち込むアイルーンを愛してくれる人が見付かった、
これが運命だったのだと喜んでいたが、
竜帝国にアイルーンの居場所などなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる