二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第4章 魔人誕生編

35.魔人サンドの火遊び

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 ザーセン王国の神官長ロシーアンは、勇者が2人ともいなくなっていることに気が付いた。

 部下の神官達が、少女の勇者が逃げたことを報告しなかった。

 また、少年の勇者を見つけているのに、他の者に連れ去られた神官達が居た。

 神官長ロシーアンは、激怒した。しかし、勇者を召喚した目的は、結果として果たせていた。
 
 それは、ダンジョンの制圧であった。その結果得られるダンジョンコアの収集が、最終的な目的であった。それは、少年の勇者の暴走によって、図らずとも、達成されたのである。

 神官長ロシーアンは、ここは、ポジティブに考えようと思った。結果良ければ、すべて良しだ。勇者が制圧したダンジョンに配下の神官達を向かわせて、すべてのダンジョンからダンジョンコアを回収したのだった。

 以前、誰かにダンジョンコアを盗まれて、困ってしまったが、今回は、失った以上のダンジョンコアを回収することが出来た。総数23個である。これは、期待以上の成果だ。

 神官長ロシーアンは、心配を忘れ、喜んだ。だが、勇者達をそのままにしておけば、神殿の威厳が損なわれる。それに、国王に知られると、いかに叱責されるか分からない。これについては、対処しないといけない。

 まずは、少年の勇者の行方を探ることが先決だ。そこで、神官長ロシーアンは、各王国の神殿に手紙を書き、勇者に関係する情報を持っていないか、探ることにした。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 魔王軍幹部の一人、通称サンドは、最近、魔人が勇者に倒されたという噂を聞いた。しかし、誰一人として、死んでいないのだ。却って、レベルアップを喜んでいるらしい。
 
 「俺の所には、例の策士から、連絡がない。どうしてだ。
 俺が、他の魔人より、劣っているとでも、思っているのか。
 それなら、俺にも考えがあるぞ。俺の本来の力を示してやらねばならないのか? 
 だが、策士は一方的に連絡してくるだけで、正体が全く分からない。
 魔人の誰一人として、本人と対面していない。策士が魔人か、どうかすら、わからない。
 もうそろそろ、俺の我慢も限界だぞ」

 魔王の四天王の一人である、通称サンドは、少し、いらいらしていた。狭い、ダンジョンの中で、こそこそと隠れているのも、嫌気が指している。

 「外界に出て、暴れてやろうか?」

 魔人の噂が流れているのが、リーツ王国、ウディーア王国、ザーセン王国の3つの王国だけだった。

 「トード王国には、まだ、誰も行っていないようだな。それでは、俺が行ってやろう」

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 キリは、書籍のデータベースを調べていた。先日の魔人の事が気になって仕方がない。魔人に関する情報を検索した。

 いくつかは、ヒットした。だが、多くの内容が、「魔人とは、………」の類で、欲しい情報ではない。キリは、どうしたらいいか、いい考えが出てこなかった。

 「キリ姉、ちょっと、相談に乗ってくれる」

 「いいよ。言ってごらん」

 「実は、先日の事が、まだ、気になっているの。魔人の討伐の方法なんだけど、書籍のデータベースを調べても、なかなか、見つからなくて」

 「キリ、まだ、考えていたの。知らなかったわ」

 「実は、あれから、ずっと、考えていたんだよ」

 「そうね。魔人って、魔王の手下よね。だったら、魔王と同じ弱点があるのでは?」

 「なるほど、そうだね。キリ姉は、やっぱり偉いね」

 「年上なんだから、当り前よ。キリより、長く生きていて、経験が豊富なのよ」

 「うーん、それは、なんとも」

 「何言ってるの。素直に褒める所よ」

 「はい、キリ姉は、えらい」

 「それで、いいのよ。それと、別に殺す必要はないのでは」

 「どういうこと?」

 「つまり、私達の邪魔にならなかったら、良いだけよ」

 「そうだよ。それで?」

 「魔人の活動が、停止すればいいのよ。例えば、封印とかね」

 「あぁ、そうだね。封印でもいいんだね」

 「ちょっとは、役に立ったかな?」

 「はい、やっぱり、キリ姉は、偉い。今度は、本気で思ったよ」

 「えぇ、なんていったの? まぁ、いいか。それじゃね」
 
 本当に、キリ姉には驚かされる。あんなに若いのに、私より、教師らしい、いやいや、年輩みたいだね。

 「魔王を倒すのに必須とされる聖剣、………」って、定番だよね。やっぱり、聖剣だね。

 「封印についても、調べておこうっと」

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 キリは、思念伝達で、レオパープルヴァルゴパープルに、指示を出した。今やっている監視を止めて、リーツ王国の国王から、聖剣についての情報をできるだけ聞き出して欲しい。それも、急いでやって欲しいと伝えた。

 レオとヴァルゴは、快く、引き受けてくれた。しかし、あそこの国王は、精神が不安定みたいだから、あまり、会いたくないみたいだ。でも、即座に転移用魔法陣を用いて、移動した。
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