二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第4章 魔人誕生編

33.更なるレベルアップ

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 ハルトが心を開いてくれたので、私達の行動はやりやすくなった。特に、ハルトがリベンジに燃えている魔人レッドについては、対策がやりやすくなっていた。

 今考えている対策は、2つある。1つは、毒・麻痺などの耐性を付けることだ。今の所、全員がLV70以上の耐性を付けることが出来ている。まだまだ十分ではないかもしれないが、最低の対応はクリアできていると考えている。

 もう一つは、魔人レッドが行った、最後の魔法である火炎地獄(インフェルノ)である。これを避けるか、耐えられるようにしないといけない。

 そのために、私とキリ姉は、火炎地獄(インフェルノ)を使える様に練習をしている。一応、使えるようにはなっているが、魔人レッドが行った火炎地獄(インフェルノ)と同じかどうかは、分からない。
 
 そこで、一度経験のあるハルトに受けて貰い、確認してもらうことになった。

 すごい、破壊力なので、それ用の特別闘技場を本部の地下11階に新たに作った。

 私達は、地下の闘技場に集まった。私・キリ姉・パープル・ミユ・ハルトだ。
 
 「ハルト、準備はいい?」

 「いつでも、大丈夫」

 「それじゃ、まず、私から行くよ」

 と言って、キリ姉が火炎地獄(インフェルノ)を発動した。

 「うぅ、凄い。あの時に、似ているよ。でも、今なら耐えられる」

 しかし、少しHPが削られている。

 「ハルト、アイテムボックスの赤のポーションを1本飲んで置いて」

 「はい、キリ姉、飲んでおくよ」

 「次、私が行くよ」

 と言って、私はハルトに準備して貰った。

 「火炎地獄(インフェルノ)
 どうかな?」

 「………」

 「ん? どうしたの?」

 何と、ハルトは、気絶してしまった。私とミユは急いで、光魔法で、治癒を開始した。キリ姉は、赤のポーションを何本もハルトに降りかけてから、口の中にも何本か流し込んで行った。

 「うぅ、ふぁーあ」

 「「大丈夫?」」

 皆で、ハルトに声を掛けた。どうやら、大丈夫の様だ。大きな怪我はないが、HPが一気に削られて、気絶したようだ。

 「凄かった。魔人レッドが行ったものより、強烈だった」

 「そう、良かった。って、ハルトの怪我が小さくて良かったということよ」

 なんだか、誤解されそうで、私は、言い訳をした。

 「うん、ありがとう。これに耐えられるように鍛えるよ。そうすれば、魔人レッドは、倒せそうだ」

 「わかった。準備ができたら、また、行くよ」

 「お願いする」

 私達は、ハルトが立ったまま耐えられるようになるまで、何度も繰り返して練習した。 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 「キリ姉、魔人レッドは、火炎地獄(インフェルノ)を使ったよね。これは、火魔法の上級魔法だよ。そうすると、他に水魔法・風魔法・土魔法・闇魔法の上級魔法を使う魔人が居てもおかしくないよね」

 「そうね。他の魔法の上級魔法を使う魔人を想定しているほうがいいね」

 「そうでしょ。そこで、後、水魔法と風魔法の上級魔法を練習しておかない?」

 「いいわね。早速、練習しよう」

 私達は、地下の闘技場で、水魔法と風魔法の上級魔法の練習を開始した。

 「氷柱地獄アイスクル・ヘル

 「竜巻地獄トネド・ヘル

 闘技場に、私達の声が響き渡り、それと共に凄い威力の魔法が発動した。それが、何度も、何度も、繰り返された。MPが枯渇する前に、忘れずに青のポーションを飲んで、回復してから、次の魔法を放った。

 十分に練習が出来たころに、お互いの耐性もレベルアップしておこうということになって、キリ姉と魔法の掛け合いを行った。

 ハルトと違い、私も、キリ姉も、もともと魔力に対する耐性があるので、ひどいダメージを受けずにレベルアップをすることが出来た。

 ミユも、耐性のレベルアップをしておいた方が良いので、私達の練習が終わるころに、ミユとハルトとパープルを呼んで、全員の魔法に対する耐性をレベルアップしていった。

 後日、私は、こっそりと、土魔法と闇魔法の上級魔法を練習した。そして、自分自身をターゲットにして、魔法を放った。これを、繰り返し、耐性を付けていった。 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 先日、リーグリ王国のグノーブ街の神殿に、パープルと一緒に調査していた時のことを思い出していた。神官長の秘密の部屋での行動を見張っていた。すると、神官長は、独り言を言い始めた。

 「グノーブの神官長です。こちらは、まだ、何も変化がありません。
 次の指示をお願いします。
 ………
 わかりました。そのように準備しておきます。
 それでは、また、明日、同じ時間で報告いたします」

 どうも、思念伝達で、誰かと話をしていたようだ。その会話を聞かれないように、この部屋に籠ったのだと分かった。

 その相手は分からないが、また、明日話をするようなので、また、見張りにくることにした。
 次の日に分かったことだが、相手は、魔人のようだった。そして、各王国に魔人を送っているということと、次に、誰かを、ウディーア王国の宮殿に送るということが分かった。

 残念なことだが、その日付については、分からなかった。しかし、近日中であることは確かだ。

 そこで、私達は、ウディーア王国の宮殿に、レオパープルヴァルゴパープルの二人を送ることにした。そして、魔人が現れたら、思念伝達で連絡してもらうように依頼した。

 あれから、もう1週間が経つ。しかし、まだ、2人から連絡がない。おかげで、十分な準備はできたが、少し、待ち草臥れてしまった。

 「キリ、魔人が現れたよ。今、王宮の広場にいる。国王を出すように言っているよ」

 「分かったわ。直ぐにいくから、手を出さずに、監視だけしておいてね」

 「はい、分かった」

 私は、直ぐに、キリ姉に思念伝達で連絡を取り、皆に声を掛けて、王宮に来るように頼んだ。連絡が終わると、パープルと一緒に王宮に転移魔法で移動した。

 王宮の広場は、兵士達で、ごった返していた。私達は、素早く、兵士達の最前列に移動した。目の前に、魔人の姿が見えたが、国王はまだ来ていないようだ。

 「国王はまだか。早く呼べ。さもないと、この王宮を吹き飛ばすぞ」

 魔人は、脅しを掛けている。私は、スキル鑑定で、魔人のステータスを見た。

【ステータス】
 名前:ブロー
 本名:(隠蔽)
 種族:悪魔族
 職業:魔王の四天王
 レベル:90
 HP(最大体力量):500,000
 MP(最大魔力量):100,000,000
 魔法:土魔法(LV70)、火魔法(LV70)、水魔法(LV70)、風魔法(LV EX)、闇魔法(LV80)
 スキル:毒耐性(LV70)、麻痺耐性(LV70)、魔力耐性(LV80)、物理耐性(LV70)

 凄い魔力量だ。HPもかなりある。私は、スキル鑑定で確認したステータスをキリ姉に思念伝達で報告した。私は、キリ姉が来るまで、少し相手をしようと思った。急いで、隠密魔法を起動して、魔人の前に飛び出した。パープルにも、隠密魔法を起動させて、待機させた。

 「誰だ、隠れていないで、出てこい」

 魔人が、私に気が付いた。闇魔法(LV80)もあれば、仕方がないか。しかし、兵士達には見えていないようなので、そのまま、隠密魔法を起動したままにしておいた。

 「私が、見えるのか? それとも、感じただけか?」

 「ふっ、ふっ、ふっ。我を試しているのか」

 「それじゃ、今、何本指を出している?」

 「2本だろ」

 「ふっ、ふっ、ふっ。なんだ、見えていないのか」

 「細かな事は分からなくても、支障はない。このままで、攻撃できるぞ」

 「ふっ、ふっ、ふっ。やってみなさいよ」

 「よし、驚くなよ。竜巻地獄トネド・ヘル

 私の身体は、竜巻の中に取り込まれた。でも、問題ない。

 「今度は、私の番ね。竜巻地獄トネド・ヘル
 どうかしら、少しは効いているかな」

 魔人ブローは、魔力耐性があるので、効果はそれほどではなかったが、HPを半分は削ることが出来た。

 「………」

 「何とか、言いなさいよ。もう一発、行くよ。竜巻地獄トネド・ヘル

 「ウォー、止めてくれ」

 「どうしたのかなぁ? まだ、これからだというのに。もう、終わるの?」

 「すまん、許してくれ。これ以上は耐えれない」

 「それじゃ、一つ教えてくれたら、許したあげるよ」

 「分かった、どうしたらいいのだ」

 「そうだね。魔人レッドの居場所を教えて、それで、いいよ」

 「わかった、魔人レッドは、リーグり王国にいる」

 「それじゃ、だめだよ。もっと、詳しく教えてよ」

 「リーグり王国にあるイーゼ街の神殿近くのダンジョンの中に潜んでいる。おそらく、最下層だ」
 
 「ありがとう。もう、帰っていいよ」

 「すまん」

 魔人ブローは、よろよろになりながら、帰って行った。

 周りの兵士達は、何が起こったのか、正確な事は分からなかったようだ。

 魔人ブローが自滅したように映ったようだ。

 暫くして、キリ姉がやって来たが、事情を話して、皆で一緒に本部に帰った。レオパープルヴァルゴパープルの2人には、引き続き、監視をお願いした。
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