二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
61 / 145
第4章 魔人誕生編

32.勇者のリベンジ

しおりを挟む
 ハルトも、自信を取り戻したので、そろそろ、リベンジをさせてあげたい。そのためには、まず、魔人レッドの居場所を探らないといけない。

 魔人レッドは、何の予兆もなく、ザーセン王国に突然現れた。それは、先行隊として、勇者の力を測りに来たように思える。そして、思ったより、弱いので、気にならなくなった。

 そのため、魔人に関する情報は、今の所皆無だ。

 情報を集めるためには、少しはリスクを取らなければならない。これまで、避けて来たザーセン王国とリーグリ王国に、潜入する時期に来た。

 私はパープルと2人で、リーグリ王国にやって来た。前回は、ノ-トライン街の神殿で、変な老人に出会った。そこで、今回は、他の街であるグノーブ街の神殿に行くことにした。

 基本的な事は、ノ-トライン街の神殿と同じなので、私達は、予め隠密魔法を起動して、神殿の出入口に向かった。

 出入口に居る兵士の横を抜けて、中に入っていった。今回は、神殿の中を先に、調べることにした。

 神殿の出入口には、神官達が扉を守っていた。私達は、彼らに気付かれないように、中に入っていった。神殿の中では多くの神官達が忙しそうに働いていた。

 私達は、いくつかの部屋を覗き、中を確認しながら、廊下を奥へと進んで行った。神殿の奥深くに進んで行くと、神官達が警護している部屋があった。

 扉には、鍵が掛かっているようだ。警護している神官達は、鍵を持っていないようだ。

 すると、後ろから、複数の神官達と共に、年輩の神官がやって来た。どうも、先頭にいるのは、この神殿の神官長のようだ。

 私達は、やって来た神官長の様子を見ていると、腰の袋から、鍵を取り出して、扉を開けた。

 扉の中へは神官長だけが入って行った。私達は、神官長が部屋に入ると同時に部屋に入っていった。

 神官長は、部屋の中に入ると、扉を閉めて、部屋の奥にある机に向かって、歩き始めた。

 私達は、神官長の様子を監視しながら、静かに潜んでいた。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 リーツ王国に魔人が現れたという噂が流れ始めた。しかし、打ち消すような情報も流れている。

 キリ姉と私は、一度確認に行った方が良いと判断した。

 レオパープルヴァルゴパープルがダンジョンに例の装置を設置する仕事を終えたようなので、調べて貰うことにした。

 レオパープルヴァルゴパープルは、転移用魔法陣で、リーツ王国の王宮の図書館に接続している施設に移動した。

 次に、隠密魔法を起動して、王宮内のようすを調べることにした。

 図書館の中は静かな物で、誰の気配もない。2人は、扉を開けて、廊下に出た。

 暫く、歩くと、兵士達が警護している部屋が見つかった。扉の所に4人も兵士がいる。よく見ると、ただの兵士ではなく、いずれも、近衛兵のようだ。立派な装備をしている。おそらく、国王の警備だろう。

 近衛兵達を倒してしまうと、騒ぎが大きくなるので、他に注意を逸らして、扉から、忍び込むことにした。扉に鍵が掛かっていないことを予め確認した。

 レオパープルが、近衛兵達の頭を軽く小突いて行った。

 「「誰だ!」」

 皆が騒いでいる間に、扉から、2人で飛び込み、急いで扉を閉めた。

 暫く、扉の外の様子を聞いていたが、特に、気づかれた様子はないので、国王の様子を調べることにした。

 部屋の中には、近衛兵は、一人もいなかった。しかも、傍付きの侍女も、見当たらなかった。

 国王一人、椅子に座り、考え込んでいた。

 よく見ると、国王の座っている横のテーブルに手紙が置かれていた。

 国王は、時折、その手紙に目をやりながら、ため息をついている。

 「なぜ、私一人、こんなに悩まないといけないのだ。あの魔人め」

 国王がぼやいている。魔人という言葉に、レオパープルヴァルゴパープルは、反応した。

 「今、魔人といったね。ヴァルゴパープル、聞こえた?」

 レオパープルが、ヴァルゴパープルに思念伝達で確認した。

 「聞こえたよ。確かに、魔人といったよ。ここで、正解みたいだね」

 「そうだね。やっぱり、魔人は現れたようだね」

 「どうする? もう少し様子をみない?」

 「それがいいね。でも、取り敢えず、キリに報告しておくね」

 レオパープルが、キリに思念伝達で報告した。すると、キリは、そのまま、国王を見張って欲しいと言ってきた。

 仕方がないので、2人は、国王のぼやきを暫く聞くことにした。

 「あの魔人め」

 「なぜ、私だけが悩まないといけないのだ」

 「勇者なら、魔人に勝てるのか?」

 「この後は、どうしたらいいのか?」

 「あの魔人め」

 「いつになったら、私は解放されるのだ」

 「言われたことは、既にやっている」

 「また、来るのか?」

 いつまで待っても、ぼやきの内容は変わらない。同じことの繰り返しだ。

 レオパープルは、思念伝達で、キリに相談することにした。

 「キリ、様子を見ているけど、変化ないよ。退屈」

 「そうね。退屈そうね。じゃあ、少し遊んでみる」

 「どうするの?」

 「隠密魔法を起動したままで、国王に話しかけてくれる」

 「どう言ったらいいの」

 レオパープルは、キリの指示を頭の中に入れた。思念伝達を止めて、国王に話し始めた。

 「国王よ。指示したことは終えたのか」

 わざと、低い声で、魔人ぽっく話したつもりだった。

 「えぇ。誰だ」

 国王はあたりを見渡したが、誰もいない。

 「キョロキョロするな。わしは、お前に直接話をしている」

 「あっ、はい。もう、終えています」

 「そうか。お前一人か?」

 「はい、言われたように、誰にも話していません」

 「よし、では、わしにどのように行ったかを報告せよ」

 「はい、わかりました。私は、魔人様に言われたように、国宝である聖剣を地下の宝物庫から出して、誰も気が付かないように、人が行かない倉庫の中の隠しました」

 「よし、よし、よくやった」

 「その倉庫はどこにあるのだ」

 国王は、魔人と話していると信じ切って、ペラペラと話した。私達2人は、国王との話を終えて、思念伝達で、キリの報告した。すると、キリから指示が来た。
 
 聖剣を盗み、戻ってこいということだ。

 早速、盗み出して、キリのもとに戻った。

 「よし、よし、よくやった」

 キリは、 レオパープルヴァルゴパープルの頭をなでなでしてやった。

 キリは、預かった聖剣のコピーを土魔法で創り、表面を加工して、本物の様にした。そして、その偽物を レオパープルヴァルゴパープルに元の場所に置いておくように指示をした。

 レオパープルヴァルゴパープルは、すぐに行動に移し、また、すぐに戻って来た。

 「よし、よし」

 キリは、 レオパープルヴァルゴパープルの頭をもう一度撫でてやった。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 先日購入した不思議な魔導書をミユと一緒に調べていた。ミユにスキル解呪(ディスペル)を使ってもらった。

 すると、魔導書の中を見ることが出来た。魔導書は光魔法に関する本だった。しかも、内容は、上級魔法であった。特に、「蘇生魔法(レイズ)」があったので、びっくりした。

 私とミユは、一緒に魔導書を隅々まで読み、練習して、使いこなせるようになった。

 私は、使える様になった魔法をすべて、魔法陣化しておいた。これだ、他の誰でも、蘇生魔法(レイズ)が使える。

 いままで、書籍のデータベース化を進めてきたが、封印された魔導書を考えていなかった。

 データベースから、中身が白紙の書籍を検索して、その書籍を各地から送って貰うことにした。

 私とミユは、送られてきた書籍を私が鑑定して、封印されているかどうかを調べ、ミユにスキル解呪(ディスペル)で、解呪して貰った。

 更に、必要に応じて、一緒に中身を確認し、知らない魔法であれば、一緒に練習した。そして、私がそれを魔法陣化していった。これらの作業で、使える魔法が一気に増えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...