二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第4章 魔人誕生編

28.新たな仲間

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 最近の出来事から、ダンジョンマスターとダンジョンコアについて、私が考えたことがあった。

 ダンジョンマスターは、誕生と同時に、ダンジョンコアを体内に宿す。逆に言うと、体内にダンジョンコアを宿した魔物がダンジョンマスターとなる。

 ダンジョンマスターになるためには、ドラゴン以上のレベルの魔物でないといけない。 

 ダンジョンコアの働きとしては、「外界のマナを吸収する」と「蓄積したマナを利用して魔物を発生させる」の2つがある。

 しかし、ダンジョンコアが働くには、ダンジョンマスターの体内に存在している必要がある。つまり、ダンジョンコア単体では、マナを吸収することが出来ない。このことは、ダンジョンコアが神具として利用できることにも繋がる。神具は、外部から、マナを注入して、その蓄積されたマナによって、魔法を発動する。それと同じで、ダンジョンコアも、外部から、マナを注入しなければ動かすことができない。

 これらのことから、新たなダンジョンをダンジョンコアに魔法陣の刻印をして、作り出した理由は、魔物を溢れさせたかったということになる。
 
 しかし、外部からのマナの流入がなければ、魔物が溢れ出すこともなかったはずだ。ということは、外界でマナが増える原因があったということだ。そして、それを予め見込んだ行動だったと言える。

 それでは、外界のマナの増える原因は、何だろうか。それが、これらの一連の騒動の根源に関わることのように思えた。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 最近の私は、ミユとパープルの3人でよく、遊んでいる。今日も、一緒にダンジョンに来た。ミユは、ダンジョンに潜るのは初めてらしい。

 「ここは、初級ダンジョンだから、何も心配はいらないよ。
 普通は、出入口の係員に冒険者IDを見せて、手数料を払ってから、ダンジョンに潜るのだけど、今回は、インチキするね。
 ミユが冒険者ギルドに登録出来ないからね。
 さあ、行くわよ」

 「「はい」」

 私達3にんは、転移魔法で、秘密の施設の中に移動した。それから、ダンジョンの中に入っていった。

 「さてと、ミユは、魔物を狩ったことはある? 
 って、無いよね。
 それでは、まず、風カッターを練習しようか。
 私の真似をしてね。まずは、掌にマナを集めて、風魔法で、風カッターを飛ばす」

 「風カッター」

 ミユは、うまく風魔法を使えた。

 「その調子よ。それでは、その先の壁に風カッターをぶつけてくれる」

 「はい。風カッター」

 「もう一度、やってみて」

 「はい。風カッター」

 「いいね。それを3回繰り返してみて」

 「はい、風カッター、風カッター風カッター」

 「上手ね。それでは、行きましょうか。
 もし、怖かったら、言ってね」

 「はい」

 私達は、出来るだけ。ミユに魔物を狩って貰った。ミユは、魔物から出た魔石などをアイテムボックスの中に入れていった。アイテムボックスは、予めミユに1個渡してある。

 次に、ミユに火魔法と水魔法を練習させた。最後は、光魔法だ。ミユに疲れが見えて来たので、私達は引き上げることにした。

 最後に、私は、スキル鑑定でミユのステータスを確認した。

【ステータス】
 名前:京山心結(きょうやま みゆ)
 種族:人間族(女)16才
 職業:無職
 LVレベル:10
 HP(最大体力量):1,000
 MP(最大魔力量):10,000
 魔法:土魔法(LV10)、火魔法(LV10)、水魔法(LV10)、風魔法(LV10)、光魔法(LV10)
 スキル:解呪(ディスペル)(LV1)

 「順調、順調。この調子ね」

 私は、2人に聞こえる様に、独り言を言った。

 私達3人は、サンライズ商店の本店の地下施設に戻って来た。

 ここで、私は、ミユの光魔法を強化するために、ポーションを作って貰った。

 「上手ね。光魔法が一番効率がいいみたい。
 取り敢えず、魔力が無くなるまで、作り続けてくれる」

 「大変そうですね」

 「疲れたら、止めていいわよ」

 「はい、わかりました」

 ミユは、その後、1時間もポーションを作り続けた。ようやく、MPが限界になった。

 「そろそろ、いいわ。よく頑張ったね。
 それじゃ、この青色のポーションを飲んでみて。
 1本で足らなかったら、いくら飲んでもいいわよ」

 「はい、取り敢えず、1本飲みます。
 ゴクッ。ゴクッ。
 フゥー」

 「どうかな? 気分は」

 「はい、いい気分です。疲れが取れました」

 「そう、朝起きた時みたいかな?」

 「いいえ、ちょっと、違います」

 「そうか、それじゃ、もう一本、飲んどく?」

 「はい、もう1本、飲みます。
 ゴクッ。ゴクッ。
 フゥー。
 こんどは、朝起きたみたいに、なりました」

 「ケッコウ、ケッコウ。それじゃ、また、ポーションを作ってね」

 「まだ、やるのですか?」

 「うん。厭ならいいよ」

 「はい、やります」

 私達は、永遠とポーションを作っては、青色のポーションを飲むということを、ミユにさせた。

 結局、その日1日、作り続けて貰った。

 「よく頑張ったね。それじゃ、何か、食べに行こう!」

 「「はい」」

 パープルも、私の横でじっと待っていて、疲れてしまったようだ。

 私達3人は、美味しい肉料理をお腹いっぱい食べて、サンライズ商店の本店の地下施設に戻って来た。もう、後は寝るだけね。

 久しぶりに、私は、パープルと一緒にベッドに入った。パープルのふかふかの尻尾が気持ちいい。パープルも、気分良さそうだ。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 「おはよう。ミユ、よく眠れた?」

 「はい」

 「そろそろ、これからどうするか、決めて欲しいのだけど」

 「そうですね。私は、キリさんと一緒に行動したいです」

 「本当、良かった。ミユと戦わなくなって、嬉しい」

 「わたしも、安心しました。殺されないで」

 「あれは、冗談よ。分かっているでしょ」

 「はい」

 「それでは、まず、冒険者ギルドに冒険者として、登録しないとね。でも、名前はどうする?」

 「名前は、京山心結ですけど」

 「でも、それで登録すると、ミユを召喚した王国の神官長にばれてしまうよ」

 「大丈夫です」

 「どうして?」

 「だって、名前は聞かれたことなかったから」

 「えぇっ、そんなことある? でも、名前で呼ばれていたのでしょ?」

 「いいえ、神殿では、勇者様としか、呼ばれていません」

 「そうなんだ。それなら、すぐに、登録に行けばよかったなぁ。失敗したね。
 あぁ、でも、神官長が鑑定していない。
 召喚された時、ステータスについて、何か言われなかった? 
 例えば、光魔法が使えるとか、光属性があるとか、聞かされなかった?」

 「そんなこと、無かったです。私が、疲れていたので、すぐに、お傍の神官達に部屋に連れて行くように指示していました」

 「そうなんだ。わかった。
 冒険者ギルドに行く前に、街の道具屋で、装備を整えようね。
 ミユに似合う服を買おうね」

 「はい、お願いします」

 「パープルも、一緒に行く?」

 「はい、行きたい」

 私達3人は、少し小綺麗な道具屋に入っていった。

 「ミユ、どのタイプの服にする? 
 私みたいな服にする? 
 それとも、別の物を選ぶ?」

 「私は、白を基調とした服がいいです。清潔感があって、好きです」

 「そうね。白ね。似合うと思うわ。
 すみません。この白い服を見せてくれる?」

 私は、店員に服をミユに試着させて貰い、様子を見た。

 「可愛い。いいんじゃない。
 ミユ、どう思う」

 「私も、気に入りました。これにします」

 その後も、店で色々な物を購入していった。最終的に、必要な装備は整った。

 次に、冒険者ギルドに私達は、向かった。

 「スカール、今、時間ある?」

 「はい、キリ、いいですよ」

 「新しく、冒険者ギルドに登録したいのだけど」

 「はい、わかりました。
 では、こちらに、記入して下さい」

 「ミユ、これに書いてね。
 そうだ、パーティーにも入っておくか。ミユは、私達のパーティーに入らない?」

 「良いんですか?」

 「いいよ。入りなよ」

 「はい、お願いします」

 「スカール、パーティーにも、登録してね」

 「はい、わかりました。
 こちらが、冒険者IDになります。
 初めての登録なので、Gランクからのスタートです。
 冒険者ギルドへの依頼は、パーティーで受けるのであれば、そのパーティーの最上位のランクを受けることが出来ます。キリのパーティーなので、Aランクを受けることが出来ます」

 「わかったわ。
 あぁ、そうそう。ミユ、アイテムボックスの中の魔石とか、机の上に出してくれる」

 「はい。これです」

 「スカール、これらを買い取って貰える」

 「はい、大丈夫です。それでは、ミユの冒険者IDに記録しますね。
 これで、ミユは、Fランクになりました」

 「それじゃ、何か甘い物でも食べてから、帰ろうか」

 「「はい」」
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