45 / 145
第3章 魔王軍誕生編
18.商人キリ、リーグリ王国に現る
しおりを挟む騙された?
「シャル、早く逃げろ…こいつと戦うのは無謀だ。」
倒れたオルクスが言う。
「逃げるのも無謀ですよ。」
銃口をこちらに向けるプロフェート。
ヨシュカである俺の力ならば、倒せる気がする。しかし、あのオルクスがこうして倒れている事はオルクスの言葉を裏付けていた。その上銃があっては下手に動けない。つまり、プロフェートから逃げる事も不可能だ。
オルクスの血は止まらない。いつの間にかhpが表示されている。この空間は謎だが、プロフェートが作ったというのなら仕様も自由自在なのだろう。オルクスは死ぬのか?今はあまりその事が気にならなかった。俺を助けてくれたけど、その命が今危ないのだから仕方ない。
自分の力を信じて戦うか?
オルクスの言葉を信じて逃げるか?
俺にはその選択が出来そうにない。
俺に関わった人は皆死んでいく。それならもういっそ、ここで終わらせようか?でも、俺にはそんな勇気も無い。
「お二人とも、さようなら。」
プロフェートが引き金に指を掛けた。
【剣士・メッサー『正義の剣』】
「…死ね。」
プロフェートの少年が、首から鮮血を撒き散らしながら倒れた。上から落ちてきたのは、ユスティーツだった。
「ユスティー…ツ…どうしてここに。」
「あ!シャルさん!…と、オルクス。」
彼は血がこびりついた顔で無邪気に笑った。笑顔のまま剣を少年に突き刺す。何度も何度も、狂ったように突き刺した。汚い音と共に血が広がっていく。
「大丈夫ぅ?二人とも。こんな所で何してたのぉ?」
「フェイ…!」
すると、オルクスが身を起こした。
「本体がいない…逃げたぞ。」
言われてみれば、ユスティーツが来た時から見当たらない。話しているのは少年の方だったから、つい忘れてしまっていた。
「紅糸を付けるよう、イデー嬢には頼んでおいたけど。」
「駄目だ。糸を切られた…絶対に防げない、あの紅糸を。」
ヴイッツに、イデー。これでヨシュカは全員揃ってしまった。
「シュピッツが教えてくれたんだ!シャルさん達がどこかに行く所を見たって!」
シュピッツが?あった覚えはない。どこかで見られていたのだろうか。それとも、ミスィオーンが見てシュピッツに報告したのだろうか。
「二人だけで正義のヒーローになるのは狡いよ!オレもヴェルトを救う!」
「状況は最悪だよ、オル君。シュティレ嬢が亡くなって…君も重症だ。ここから出る方法すら分からない。」
ヴイッツはオルクスに近付くと、綺麗な紫色の瓶を差し出した。
「シュティレ嬢の遺体から回収した。…回復薬だ、瀕死でも助かる程の強力な物。」
オルクスはそれを奪い取る様に受け取ると、一気に飲み干した。すぐに効果が出たのか立ち上がる。
「僕の推測では、あのヒビを壊せばどうにかなる気がする。違う?」
俺は慌てて答える。
「そ…そうです、何故かオルクスがあれを攻撃して…」
「オル君。」
見事にスルーされると、ヴィッツはオルクスを見詰めた。
「ヒビを壊すのは説明を聞いた後だ。…君は何を知っている?」
「シャル、早く逃げろ…こいつと戦うのは無謀だ。」
倒れたオルクスが言う。
「逃げるのも無謀ですよ。」
銃口をこちらに向けるプロフェート。
ヨシュカである俺の力ならば、倒せる気がする。しかし、あのオルクスがこうして倒れている事はオルクスの言葉を裏付けていた。その上銃があっては下手に動けない。つまり、プロフェートから逃げる事も不可能だ。
オルクスの血は止まらない。いつの間にかhpが表示されている。この空間は謎だが、プロフェートが作ったというのなら仕様も自由自在なのだろう。オルクスは死ぬのか?今はあまりその事が気にならなかった。俺を助けてくれたけど、その命が今危ないのだから仕方ない。
自分の力を信じて戦うか?
オルクスの言葉を信じて逃げるか?
俺にはその選択が出来そうにない。
俺に関わった人は皆死んでいく。それならもういっそ、ここで終わらせようか?でも、俺にはそんな勇気も無い。
「お二人とも、さようなら。」
プロフェートが引き金に指を掛けた。
【剣士・メッサー『正義の剣』】
「…死ね。」
プロフェートの少年が、首から鮮血を撒き散らしながら倒れた。上から落ちてきたのは、ユスティーツだった。
「ユスティー…ツ…どうしてここに。」
「あ!シャルさん!…と、オルクス。」
彼は血がこびりついた顔で無邪気に笑った。笑顔のまま剣を少年に突き刺す。何度も何度も、狂ったように突き刺した。汚い音と共に血が広がっていく。
「大丈夫ぅ?二人とも。こんな所で何してたのぉ?」
「フェイ…!」
すると、オルクスが身を起こした。
「本体がいない…逃げたぞ。」
言われてみれば、ユスティーツが来た時から見当たらない。話しているのは少年の方だったから、つい忘れてしまっていた。
「紅糸を付けるよう、イデー嬢には頼んでおいたけど。」
「駄目だ。糸を切られた…絶対に防げない、あの紅糸を。」
ヴイッツに、イデー。これでヨシュカは全員揃ってしまった。
「シュピッツが教えてくれたんだ!シャルさん達がどこかに行く所を見たって!」
シュピッツが?あった覚えはない。どこかで見られていたのだろうか。それとも、ミスィオーンが見てシュピッツに報告したのだろうか。
「二人だけで正義のヒーローになるのは狡いよ!オレもヴェルトを救う!」
「状況は最悪だよ、オル君。シュティレ嬢が亡くなって…君も重症だ。ここから出る方法すら分からない。」
ヴイッツはオルクスに近付くと、綺麗な紫色の瓶を差し出した。
「シュティレ嬢の遺体から回収した。…回復薬だ、瀕死でも助かる程の強力な物。」
オルクスはそれを奪い取る様に受け取ると、一気に飲み干した。すぐに効果が出たのか立ち上がる。
「僕の推測では、あのヒビを壊せばどうにかなる気がする。違う?」
俺は慌てて答える。
「そ…そうです、何故かオルクスがあれを攻撃して…」
「オル君。」
見事にスルーされると、ヴィッツはオルクスを見詰めた。
「ヒビを壊すのは説明を聞いた後だ。…君は何を知っている?」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

雑貨屋リコリスの日常記録
猫餅
ファンタジー
長い旅行を終えて、四百年ぶりに自宅のある島へと帰宅した伊織。しかし、そこには見知らぬ学園があった。更には不審者として拘束されかけ──そんな一日を乗り越えて、伊織は学園内に自分の店舗を構えることとなった。
雑貨屋リコリス。
学園に元々ある購買部の店舗や、魔術都市の店とは異なる品揃えで客を出迎える。……のだが、異世界の青年が現れ、彼の保護者となることになったのだ。
更にもう一人の青年も店員として、伊織のパーティメンバーとして加わり、雑貨屋リコリスは賑わいを増して行く。
雑貨屋の店主・伊織と、異世界から転移して来た青年・獅童憂、雪豹の獣人アレクセイ・ヴィクロフの、賑やかで穏やかな日常のお話。
小説家になろう様、カクヨム様に先行投稿しております。


魔術師セナリアンの憂いごと
野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。
偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。
シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。
現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。
ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。
公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。
魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。
厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

華都のローズマリー
みるくてぃー
ファンタジー
ひょんな事から前世の記憶が蘇った私、アリス・デュランタン。意地悪な義兄に『超』貧乏騎士爵家を追い出され、無一文の状態で妹と一緒に王都へ向かうが、そこは若い女性には厳しすぎる世界。一時は妹の為に身売りの覚悟をするも、気づけば何故か王都で人気のスィーツショップを経営することに。えっ、私この世界のお金の単位って全然わからないんですけど!?これは初めて見たお金が金貨の山だったという金銭感覚ゼロ、ハチャメチャ少女のラブ?コメディな物語。
新たなお仕事シリーズ第一弾、不定期掲載にて始めます!

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

婚約破棄上等!私を愛さないあなたなんて要りません
音無砂月
ファンタジー
*幸せは婚約破棄の後にやってくるからタイトル変更
*ジャンルを変更しました。
公爵家長女エマ。15歳の時に母を亡くした。貴族は一年喪に服さないといけない。喪が明けた日、父が愛人と娘を連れてやって来た。新しい母親は平民。一緒に連れて来た子供は一歳違いの妹。名前はマリアナ。
マリアナは可愛く、素直でいい子。すぐに邸に溶け込み、誰もに愛されていた。エマの婚約者であるカールすらも。
誰からも愛され、素直ないい子であるマリアナがエマは気に入らなかった。
家族さえもマリアナを優先する。
マリアナの悪意のない言動がエマの心を深く抉る
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる