二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
41 / 145
第3章 魔王軍誕生編

15ー1.ラストボス? との戦い(1)

しおりを挟む
 今の私達は、レベル70のAランクの冒険者だ。特級ダンジョンの最下層近くにいる魔物は、レベル80とこれまで戦ってきた魔物とは比べられないほど、強い。

 今のままでは、この魔物を倒すことは困難だ。ワーキャットは、非常に素早いが、レベルは50に満たない。パープルは、特別で、私達と狩りをしていたお陰で、レベル60に達している。

 しかも、ダンジョンの中では、魔物はすぐに回復する。豊富なマナがダンジョンの中にあるからだ。

 だから、ダンジョンの中の魔物は、ポーションを被りながら戦っているようなものだ。これでは、勝ち目がない。

 「キリ姉、このままでは、最下層の一つ上にいる魔物は倒せないよ」

 「まだまだ、私達のレベルでは難しいね」

 「パープル達も50人近くになっているけど、レベルが低すぎるわ。どうする?」

 「魔物の弱点を探す? でも、弱点が見つかっても、それだけで倒せるとは思わないわ」

 「そうだね。今回ばかりは、パープルでも、横をすり抜けるなんてことは難しいね」

 「何か、いい方法はないかな?」

 「あっ、そうだ。キリ、マナを吸収するものって、作ってなかった?」

 「あるよ。闇魔法で作ったバリアがマナを吸収するよ」

 「それって、どれだけのマナを吸収できるの? 一つのダンジョンの中のマナをすべて吸収できる?」

 「キリ姉、それは無理。どんだけのマナがあると思っているの?ダンジョンだよ」

 「そうか、無理か」

 「ちょっと、今のバリアではだめだよ。マナを吸収できる容量について、効率が悪いの。研究はしていくけどね。すぐには無理ね。それに、ダンジョンは洞窟のようだけど、外界からマナが流れ込んでいるよ。だから、ダンジョンの中だけの問題じゃないよ」

 「えっ、今なんて言った?」
 
 「今のバリアでは、無理だって」

 「キリ、そうじゃなくて、最後に言ったことよ」

 「ダンジョンの中だけの問題じゃないよ、って」

 「もう、外界からマナが流れ込んでいる、って言ったよね」

 「はい、言いました。それが?」

 「もし、外界からダンジョンの中にマナが流れ込まなかったら、どうなる?」

 「多分、魔物によってマナが消費されていくので、ダンジョンの中のマナは減っていくと思うよ」

 「そうよね。外界と遮断されると、ダンジョンの中のマナは、減るよね」

 「キリ姉、それがどうしたの?」

 「そうすると、中の魔物は弱っていくということね」

 「そうだね。で?」

 「キリは、マナを反射させることもできたよね」

 「そうか! ダンジョンを結界で囲んでしまうわけね。光魔法で結界をつくれば、外界からのマナを遮断できるということね」

 「そうよ。キリ、できる?」

 「できないことはないけど、100階層もあるダンジョンだから、かなり時間が掛かるわよ」

 「そんなに、いらないわよ。精々、5階層もあれば、十分よ」

 「それなら、大丈夫よ」

 私は、キリ姉に言われたように、上級ダンジョンの最下層から、5階層を結界で包んだ。

 「キリ姉、できたよ」

 「よしよし。それじゃ、残りの階層の魔物を狩りつくすよ」

 「パープル、手伝ってくれる」

 「ハイ、ナカマニモ タノムヨ」

 「ありがとう」

 私達3人とパーティの仲間のワーキャット達で、一気にダンジョン内の魔物を狩りつくした。

 「ダンジョンの中のマナはどう? キリ、調べてね」

 「だいぶ薄くなっているよ。ダンジョンの中じゃないみたい」

 「よしよし、残った5階層のマナを吸収してくれる」

 「はい、わかった」

 私は、先ほど作った結界に接続するように、新たな結界を作った。これは、闇魔法で作った結界だ。闇魔法で作った結界は、マナを吸収する。そして、それをマナのバッテリーとして働く、マナッテリーに繋いだ。このマナッテリーは、アイテムボックスの中に多量に用意している。

 パープルに、マナッテリーの管理を頼んで、私とキリ姉は、結界の中に入っていった。

 「取り敢えず、ラストボスのようなレベル80の魔物以外を狩るわよ」

 「はい。いつでもいいです」

 「行くよ!」

 私は、魔物を範囲攻撃で狩っていった。キリ姉は、範囲攻撃で狩れなかった魔物を火柱で狩っていった。
 
 倒された魔物のマナは、どんどんとマナッテリーに蓄えられていく。

 ついに、ラストボス擬きだけになった。マナの流れを確認すると、魔物の周りのマナも希薄になっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

いずれ最強の錬金術師?

小狐丸
ファンタジー
 テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。  女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。  けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。  はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。 **************  本編終了しました。  只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。  お暇でしたらどうぞ。  書籍版一巻〜七巻発売中です。  コミック版一巻〜二巻発売中です。  よろしくお願いします。 **************

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~

華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。 突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。 襲撃を受ける元婚約者の領地。 ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!! そんな数奇な運命をたどる女性の物語。 いざ開幕!!

処理中です...