二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第3章 魔王軍誕生編

15ー1.ラストボス? との戦い(1)

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 今の私達は、レベル70のAランクの冒険者だ。特級ダンジョンの最下層近くにいる魔物は、レベル80とこれまで戦ってきた魔物とは比べられないほど、強い。

 今のままでは、この魔物を倒すことは困難だ。ワーキャットは、非常に素早いが、レベルは50に満たない。パープルは、特別で、私達と狩りをしていたお陰で、レベル60に達している。

 しかも、ダンジョンの中では、魔物はすぐに回復する。豊富なマナがダンジョンの中にあるからだ。

 だから、ダンジョンの中の魔物は、ポーションを被りながら戦っているようなものだ。これでは、勝ち目がない。

 「キリ姉、このままでは、最下層の一つ上にいる魔物は倒せないよ」

 「まだまだ、私達のレベルでは難しいね」

 「パープル達も50人近くになっているけど、レベルが低すぎるわ。どうする?」

 「魔物の弱点を探す? でも、弱点が見つかっても、それだけで倒せるとは思わないわ」

 「そうだね。今回ばかりは、パープルでも、横をすり抜けるなんてことは難しいね」

 「何か、いい方法はないかな?」

 「あっ、そうだ。キリ、マナを吸収するものって、作ってなかった?」

 「あるよ。闇魔法で作ったバリアがマナを吸収するよ」

 「それって、どれだけのマナを吸収できるの? 一つのダンジョンの中のマナをすべて吸収できる?」

 「キリ姉、それは無理。どんだけのマナがあると思っているの?ダンジョンだよ」

 「そうか、無理か」

 「ちょっと、今のバリアではだめだよ。マナを吸収できる容量について、効率が悪いの。研究はしていくけどね。すぐには無理ね。それに、ダンジョンは洞窟のようだけど、外界からマナが流れ込んでいるよ。だから、ダンジョンの中だけの問題じゃないよ」

 「えっ、今なんて言った?」
 
 「今のバリアでは、無理だって」

 「キリ、そうじゃなくて、最後に言ったことよ」

 「ダンジョンの中だけの問題じゃないよ、って」

 「もう、外界からマナが流れ込んでいる、って言ったよね」

 「はい、言いました。それが?」

 「もし、外界からダンジョンの中にマナが流れ込まなかったら、どうなる?」

 「多分、魔物によってマナが消費されていくので、ダンジョンの中のマナは減っていくと思うよ」

 「そうよね。外界と遮断されると、ダンジョンの中のマナは、減るよね」

 「キリ姉、それがどうしたの?」

 「そうすると、中の魔物は弱っていくということね」

 「そうだね。で?」

 「キリは、マナを反射させることもできたよね」

 「そうか! ダンジョンを結界で囲んでしまうわけね。光魔法で結界をつくれば、外界からのマナを遮断できるということね」

 「そうよ。キリ、できる?」

 「できないことはないけど、100階層もあるダンジョンだから、かなり時間が掛かるわよ」

 「そんなに、いらないわよ。精々、5階層もあれば、十分よ」

 「それなら、大丈夫よ」

 私は、キリ姉に言われたように、上級ダンジョンの最下層から、5階層を結界で包んだ。

 「キリ姉、できたよ」

 「よしよし。それじゃ、残りの階層の魔物を狩りつくすよ」

 「パープル、手伝ってくれる」

 「ハイ、ナカマニモ タノムヨ」

 「ありがとう」

 私達3人とパーティの仲間のワーキャット達で、一気にダンジョン内の魔物を狩りつくした。

 「ダンジョンの中のマナはどう? キリ、調べてね」

 「だいぶ薄くなっているよ。ダンジョンの中じゃないみたい」

 「よしよし、残った5階層のマナを吸収してくれる」

 「はい、わかった」

 私は、先ほど作った結界に接続するように、新たな結界を作った。これは、闇魔法で作った結界だ。闇魔法で作った結界は、マナを吸収する。そして、それをマナのバッテリーとして働く、マナッテリーに繋いだ。このマナッテリーは、アイテムボックスの中に多量に用意している。

 パープルに、マナッテリーの管理を頼んで、私とキリ姉は、結界の中に入っていった。

 「取り敢えず、ラストボスのようなレベル80の魔物以外を狩るわよ」

 「はい。いつでもいいです」

 「行くよ!」

 私は、魔物を範囲攻撃で狩っていった。キリ姉は、範囲攻撃で狩れなかった魔物を火柱で狩っていった。
 
 倒された魔物のマナは、どんどんとマナッテリーに蓄えられていく。

 ついに、ラストボス擬きだけになった。マナの流れを確認すると、魔物の周りのマナも希薄になっていた。
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