二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

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第3章 魔王軍誕生編

13ー1.混乱する王都(1)

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 私達の居るウディーア王国の北西にあるイーゼル王国、北東にあるトード王国、南東にあるリーグり王国にも、新しい上級ダンジョンが現れた。

 各国は、自分たちの王国の上級ダンジョンの対応に追われ、他の王国にも自分たちの王国と同じように上級ダンジョンが出来上がっているとは思ってもみなかった。

 リーツ王国に出来た特級ダンジョンを皮切りに、あちらこちらにダンジョンが出来上がって来た。

 しかも、その数は日増しに増加していった。勇者を召喚したザーセン王国に至っては、国境に合計5個もの上級ダンジョンが出来上がった。当然は、勇者に発生した上級ダンジョンの制圧を指示して派遣したのだが、制圧する度に、新しいダンジョンが出来上がった。まるで、もぐら叩きのような状態で、ついに、勇者も疲労で倒れてしまった。勇者がいない状態では、多数の近衛兵を派遣しようとも上級ダンジョンの攻略は難しいく、1つの上級ダンジョンも制圧できずにいた。
 
 しかし、上級ダンジョンの数は一定の数以上には増えなかった。結局、ザーセン王国の周りには、7個の上級ダンジョンが出来上がり、そのまま維持され続けている。

 勇者の居るザーセン王国が狙い撃ちされたかのように、ザーセン王国の国境には上級ダンジョンがあり、上級ダンジョンを避けてはザーセン王国に行けないほどになっていた。
 
 私達のいるウディーア王国も、状況はさほど違いはなかった。

 各地からの情報を整理すると、すべてのダンジョンから魔物が溢れ出ているのではないようだ。

 今回新たに発生した上級ダンジョンからのみ、魔物が溢れ出ていた。つまり、新規の上級ダンジョンから離れて居れば比較的安全だということだ。

 そこで、冒険者ギルドでも王国の人々を誘導して、南に移動しようという提案がなされた。

 私達も、冒険者として、冒険者ギルドでの会議に参加した。

 「ギルド長からの説明で、南方に避難しべきだということはわかりました。しかし、避難は長期に渡る可能性が高いです。住居や食料については、どのように考えているのですか」

 キリ姉が冒険者ギルド長に質問した。王国の住民に今住んでいるところを引き払い、新たな未開の地で住めといっても、簡単には納得できないであろう。しかし、危険を実感してから移動を開始していては後手に回ってしまって、彼らを助けることは困難になってしまう。だから、今のうちに移動を開始するのは最善策である。

 「まだ、王宮からの支援の返事がない。だから、どこまでできるかは、分からない」

と、ギルド長が答えた。王宮に抗議に行こう、などの声も上がっている。
 
 「このまま、王宮の返事を待っていては、移動できなくなってしまいます。何とか、住民を説得できないのですか」

 キリ姉がギルド長に改善策を持っているのかを聞いた。

 「今の所は、何もない。いい案があれば、出して欲しい」

 冒険者ギルド長も困っているようだ。私は、住民が何を嫌がっているのか、考えてみた。

 〇未開の土地に行って、普通の生活が出来るのか。(できない)

 〇身の回りのものを捨てていかないといけないのか。(わからない)

 〇いつまで、避難しないといけないのか。(わからない)

 〇本当に魔物は襲ってくるのか。(わからない)

 〇王宮の兵士では、魔物を食い止めることができないのか(できない)

 〇冒険者ギルドの冒険者では、魔物を食い止めることはできないのか。(できない)

 まだまだあるかもしれないが、一番の理由は未開だということではないか、と思った。

 「キリ姉、街や村の人たちは本当に避難しないの?」

 「ギルド長はそう言ってるけど。私は、直接話していないので、分からないわ」

 「取り敢えず、避難しようと思っている人たちで、先行隊として移動を開始したら?」
 
 「そうね。いずれにしても、全員が一度に移動できるわけでもないね」

 長時間の会議になったが、決定権を持つものが決断しないので、時間が過ぎていくだけであった。

 「キリ姉、私達だけでも、事前に準備しておかない?」

 「どうするの?」

 「南の森を切り開いて、人が住めるように整備しておくの」

 「それは、いいね。早速行こうか」
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