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第2章 魔法学院入学編
12ー1.魔王探索(1)
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「キリ、この間の勇者一行にはまいったね」
「本当ね。まさか、神官達を見捨てるとは?」
「まさかね、召喚された勇者がすることかな?」
先日、私達のいるウディーア王国の上級ダンジョンを制圧に勇者一行がやって来た時のことを話題にしていた。
「でも、キリ姉、あの時、勇者のスキルについて、少しわかったね」
「そうね。キリの仕掛けたトラップに気が付かなかったものね」
勇者一行が上級者用ダンジョンを制圧に来るという情報は、早くから分かっていたので、少し、仕掛けをしておいたのだった。それは、2つのダンジョンをくっつけて、勇者一行が別のダンジョンを制圧するように仕向けたということだ。
私達の王国であるウディーア王国の南東には、リーグ王国がある。そして、ウディーア王国とリーグ王国の間には、初級ダンジョンがある。
今回、勇者一行が制圧しようとしたのは、ウディーア王国と北東にあるザーセン王国との間の上級ダンジョンだった。
この2つのダンジョンを第2階層でくっ付けて、更に、上級ダンジョンの第3階層への道は土魔法で隠し、更に、闇魔法でバリアを張っておいた。
とうぜん、2つのダンジョン間は数キロの隔たりがあり、普通なら、途中で、気が付くはずだが、この2つの通路は闇魔法の空間圧縮魔法で、10m程度の距離と感じる様にしておいた。
更に、勇者一行が初級ダンジョンの攻略を開始すると、初級ダンジョンの出入口を隠し、第2階層を上級ダンジョンの第2階層と繋げた。
このようなトリックで、勇者一行が上級ダンジョンの制圧を無事終えたように思わせたのだった。
「やっぱり、勇者は、スキル探索やスキル鑑定が使えないようね」
「もし使えていたら、バレバレよね。キリ姉」
「それに、神官達を捕らえていたことも、良かったね」
「本当ね、さすがに、神官達であれば、闇魔法に気が付いたよね」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
これまでの研究で、私は簡単なコンピュータに代わるものとして、マナコンを作り上げた。そして、、魔法陣を基盤としたソフトウェアとして、マナコン用の簡単なマクロのようなものを作り上げた。
今は順次処理しかできないので、更に機能アップを考えた。分岐とループを実現する魔方陣をつくり、更にそれを記号化した。
これで、マナコンを制御できるマクロ、マナクロという簡易言語が完成した。
私は、土魔法で、50cmほどの土人形をつくり、マナコンを埋め込んだ。これで、簡単な処理をこなす、土人形の完成だ。この土人形には、目・耳に相当するセンサーも組み込んでいる。
早速、土人形に指示を出して、動作を確認した。最初なので、簡単な作業だ。
工場横に作っている薬草畑から、ベースハーブを採取し、アイテムボックスに入れるというものだ。
土人形は、ゆっくりだが、確実に仕事をこなしていった。ベースハーブをすべて採取し終わると、私の所まで戻ってきて、動きを止めた。
実験は、成功だ。思った以上に、スムーズに動いていた。改良の余地はあるが、当面の作業はこの土人形に任せることが出来そうだ。
地道にキリ姉には内緒で始めた研究だけど、やっとお披露目できる。
「キリ姉、やっとできたよ」
「えっ、何の事かな?」
「自立型土人形のことだよ。あれ? 言ってなかった。研究の事」
「おおよその事は聞いているよ。キリの土人形のことだよね」
「そうだよ。それがやっと形になったんだよ。キリ姉、見てくれる」
「いいよ」
「これが、自律型土人形の改良版だよ。これまでは、私達の魂を複製し、刻印してきたけど、やっと、私達の魂を使わない自立型土人形を作ったよ」
私は、魂の代わりに、マナコンを埋め込んだ自立型土人形をキリ姉に紹介した。
「ジャジャジャジャーン、これが世界初のマナコン使用の自立型土人形だよ。マナドールと呼んでね」
身長50cmの小さな土人形に、人間の様に手・足・目・耳・口をつけている。
ちょっと見ただけでは、土人形とは分からない外観をしている。どちらかというと、子供のように見える。
「すごいね。お人形さんみたい。ところで、しゃべれるの?」
「ごめんなさい。まだ、予め決めた行動しか、できないの」
「そうか、残念」
「でも、工場では、十分に役に立つよ。生産は、決められた行動しか必要ないから」
「工場や農場の仕事は、任せられるね」
農場や工場に配置していた魂を封印していた自立型土人形のうち、作業用の分をすべて、マナドールに置き換えた。また、ウディーア王国の東の端にある森の中の基地にも、作業用として、マナドールを10体配置した。そして、地下9階を工場に変えて、マナドールを作成させた。
マナドールに必要な土人形の作成とマナコンの作成を5体のマナドールに任せ、土人形へのマナコンの埋め込みと動作確認をマナドール2体に任せた。残り3体のマナドールは、警備用として、基地の出入口に置き、誰かが近づいてきたら、連絡をするように設定した。
「本当ね。まさか、神官達を見捨てるとは?」
「まさかね、召喚された勇者がすることかな?」
先日、私達のいるウディーア王国の上級ダンジョンを制圧に勇者一行がやって来た時のことを話題にしていた。
「でも、キリ姉、あの時、勇者のスキルについて、少しわかったね」
「そうね。キリの仕掛けたトラップに気が付かなかったものね」
勇者一行が上級者用ダンジョンを制圧に来るという情報は、早くから分かっていたので、少し、仕掛けをしておいたのだった。それは、2つのダンジョンをくっつけて、勇者一行が別のダンジョンを制圧するように仕向けたということだ。
私達の王国であるウディーア王国の南東には、リーグ王国がある。そして、ウディーア王国とリーグ王国の間には、初級ダンジョンがある。
今回、勇者一行が制圧しようとしたのは、ウディーア王国と北東にあるザーセン王国との間の上級ダンジョンだった。
この2つのダンジョンを第2階層でくっ付けて、更に、上級ダンジョンの第3階層への道は土魔法で隠し、更に、闇魔法でバリアを張っておいた。
とうぜん、2つのダンジョン間は数キロの隔たりがあり、普通なら、途中で、気が付くはずだが、この2つの通路は闇魔法の空間圧縮魔法で、10m程度の距離と感じる様にしておいた。
更に、勇者一行が初級ダンジョンの攻略を開始すると、初級ダンジョンの出入口を隠し、第2階層を上級ダンジョンの第2階層と繋げた。
このようなトリックで、勇者一行が上級ダンジョンの制圧を無事終えたように思わせたのだった。
「やっぱり、勇者は、スキル探索やスキル鑑定が使えないようね」
「もし使えていたら、バレバレよね。キリ姉」
「それに、神官達を捕らえていたことも、良かったね」
「本当ね、さすがに、神官達であれば、闇魔法に気が付いたよね」
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これまでの研究で、私は簡単なコンピュータに代わるものとして、マナコンを作り上げた。そして、、魔法陣を基盤としたソフトウェアとして、マナコン用の簡単なマクロのようなものを作り上げた。
今は順次処理しかできないので、更に機能アップを考えた。分岐とループを実現する魔方陣をつくり、更にそれを記号化した。
これで、マナコンを制御できるマクロ、マナクロという簡易言語が完成した。
私は、土魔法で、50cmほどの土人形をつくり、マナコンを埋め込んだ。これで、簡単な処理をこなす、土人形の完成だ。この土人形には、目・耳に相当するセンサーも組み込んでいる。
早速、土人形に指示を出して、動作を確認した。最初なので、簡単な作業だ。
工場横に作っている薬草畑から、ベースハーブを採取し、アイテムボックスに入れるというものだ。
土人形は、ゆっくりだが、確実に仕事をこなしていった。ベースハーブをすべて採取し終わると、私の所まで戻ってきて、動きを止めた。
実験は、成功だ。思った以上に、スムーズに動いていた。改良の余地はあるが、当面の作業はこの土人形に任せることが出来そうだ。
地道にキリ姉には内緒で始めた研究だけど、やっとお披露目できる。
「キリ姉、やっとできたよ」
「えっ、何の事かな?」
「自立型土人形のことだよ。あれ? 言ってなかった。研究の事」
「おおよその事は聞いているよ。キリの土人形のことだよね」
「そうだよ。それがやっと形になったんだよ。キリ姉、見てくれる」
「いいよ」
「これが、自律型土人形の改良版だよ。これまでは、私達の魂を複製し、刻印してきたけど、やっと、私達の魂を使わない自立型土人形を作ったよ」
私は、魂の代わりに、マナコンを埋め込んだ自立型土人形をキリ姉に紹介した。
「ジャジャジャジャーン、これが世界初のマナコン使用の自立型土人形だよ。マナドールと呼んでね」
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