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第2章 魔法学院入学編
10ー1.神官長の陰謀(1)
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魔法学院の生活も、2年目になった。ここの教師に新しく他の国からの教師がやって来た。ウディーア王国は、リーツ王国と教師を交換し、交流を行っている。その制度で、2人の教師が承認されたということだ。
一人は、白魔導士のアイリスだ、もう一人は、黒魔導士のマルグリットだ。どちらも、上級魔導士で、かなり優秀との噂である。
学院長から新着の教師が紹介された。私達は、直接関係のある黒魔導士のマルグリットに興味を持った。というのも、教師では珍しい、平民出身という噂が流れたからだ。
今日は、授業として、神殿に見学に行くということだ。神殿には、貴族でないと入ることができないと聞いていたので、ちょっと、びっくりした。私達も参加できるからだ。
神殿は、魔法学院のように貴族エリアと平民エリアとに跨って建てられていた。しかし、平民エリアは、非常に僅かで、単に出入口と礼拝堂があるだけだった。一般の平民は、この入り口から入って、礼拝堂までしか行けないようになっていた。
私達は、礼拝堂の先の神官達の講義室まで入ることが許された。これは、魔法学院の生徒だけの特別な扱いだった。本来は、平民は入れない場所だった。
「キリ姉、凄いね」
「ここまで入ったことないものね」
暫くして、私達は、神官達が待つ講義室に入っていった。
「ようこそ、魔法学院の生徒さん達。教師の皆さんも、今日はよろしく」
一番の年長者が軽く挨拶をした。
「生憎、神官長は所用で、参加することが出来ませんが、宜しくとのことです」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
学院長が、改まった挨拶をした。
今日は、神官達に光魔法を使った実演を見せて貰う予定だ。
「それでは、始めましょうか」
先ほどの神官が声を掛けると、他の神官達が慌ただしく動き始めた。ある者は、椅子やベッドを用意し、ある者は、カーテンの付いた仕切りを用意した。そして、ドアが開き、数名の怪我をした兵士が入って来た。
どうやら、ここで、光魔法による治療の実演を行うようだ。
「準備が出来たようですね。生徒の皆さんは、もっと前に来て、しっかりと、見て学んでくだい」
私達は言われたように、兵士と神官の様子がよく見える様に移動した。
「では、始めてください」
すると、あちらこちらで、詠唱が始まり、それと共に、薄っすらと光るのが見えた。光が消えて元の部屋の状態に戻ると共に、兵士の傷が癒えて、傷口が塞がっていった。
神官達の光魔法によって、すべての兵士が癒された。
「素晴らしい」
学院長が、神官達に謝辞を述べて、神殿での演習は終わった。その後、暫くは、質疑応答を行った。
「キリ姉、光魔法を使える人は稀だと聞いていたのに、結構人数がいたね」
「キリ、よく見ていた?」
「えっ、どういうこと?」
「さっきの神官達は、兵士の傷を癒したけど、皆、神具を使っていたのよ」
キリ姉は、急に小さな声で、私にだけ聞こえる様に答えた。
「そうなの。わからなかったよ」
「だから、大きな声を出したらだめよ」
「はい、わかった」
今日の演習には、神官長が出席しなかったと同時に上位神官も参加していなかったのかもしれない。私達は少しガッカリしながら、帰路についた。
一人は、白魔導士のアイリスだ、もう一人は、黒魔導士のマルグリットだ。どちらも、上級魔導士で、かなり優秀との噂である。
学院長から新着の教師が紹介された。私達は、直接関係のある黒魔導士のマルグリットに興味を持った。というのも、教師では珍しい、平民出身という噂が流れたからだ。
今日は、授業として、神殿に見学に行くということだ。神殿には、貴族でないと入ることができないと聞いていたので、ちょっと、びっくりした。私達も参加できるからだ。
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暫くして、私達は、神官達が待つ講義室に入っていった。
「ようこそ、魔法学院の生徒さん達。教師の皆さんも、今日はよろしく」
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「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
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先ほどの神官が声を掛けると、他の神官達が慌ただしく動き始めた。ある者は、椅子やベッドを用意し、ある者は、カーテンの付いた仕切りを用意した。そして、ドアが開き、数名の怪我をした兵士が入って来た。
どうやら、ここで、光魔法による治療の実演を行うようだ。
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私達は言われたように、兵士と神官の様子がよく見える様に移動した。
「では、始めてください」
すると、あちらこちらで、詠唱が始まり、それと共に、薄っすらと光るのが見えた。光が消えて元の部屋の状態に戻ると共に、兵士の傷が癒えて、傷口が塞がっていった。
神官達の光魔法によって、すべての兵士が癒された。
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「キリ姉、光魔法を使える人は稀だと聞いていたのに、結構人数がいたね」
「キリ、よく見ていた?」
「えっ、どういうこと?」
「さっきの神官達は、兵士の傷を癒したけど、皆、神具を使っていたのよ」
キリ姉は、急に小さな声で、私にだけ聞こえる様に答えた。
「そうなの。わからなかったよ」
「だから、大きな声を出したらだめよ」
「はい、わかった」
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