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第2章 魔法学院入学編
9-3.魔法学院の生活(1)
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魔法学院の生活も、もう、既に1年になろうとしていた。エルミアも、読み書きも、計算も十分に出来るようになっていた。もう、講義に出る必要はないレベルだ。よく頑張ったと思う。
クルドは、相変わらず生意気で、嫌な子だ。私は、できるだけ避けていた。ちょっと、自信過剰で、私を見つける度に絡んでくる。
この間の実習・演習のときも、水魔法の教師エルザベスが、水魔法の応用として、氷柱を作るように指示しているのに、
「キリ、ちょっと、見てろよ」
私に、クルドは声を掛けるなり、詠唱を始めた。私が振り向くと、クルドは、笑いながら、私のすぐ前に氷柱を作った。半径10cm、高さ50cmの小さいものだった。
「キリ、どうだ?」
得意そうに、クルドは両腕を腰に押し当てていた。
「何が?どうだっ、よ。何か、自慢したいことでもあるの?」
「だから、氷柱だよ。どうだ!」
「ふん。それがどうしたのよ」
「お前なんかに、できないだろう。こんな立派な氷柱は」
私は、クルドを無視して、エルミアの方を見た。エルミアも魔法は得意だ。
彼女は、クルドの目の前に、お返しの氷柱を作った。しかも、無詠唱でだ。
その氷柱はクルドのものよりも、遥かに大きく、誰が見ても立派な物だった。
私は、クルドを見ないで、エルミアの傍に駆け寄った。
「くそっ、なんだよ。割って入りやがって」
別の日の実習・演習のときも同じ様に絡んできた。それは、カエザー先生の火魔法のときだ。
その日は、中庭での授業だった。火魔法で、20m離れた場所の標的を打つというものだった。
「おい、キリ、俺の魔法を見て、勉強しろよ」
クルドは、火魔法が得意だ。そのため、いつも以上に自信満々だ。標的は5つあるが、クルドは、左から、2番目の標的の前に立っていた。
「いくぞ、よく見て置け!」
クルドは、短縮した詠唱で、左から3つの標的に対して、火球を連続で放ち、すべて、命中させた。それぞれの標的は、クルドの火球により、暫く赤い炎を上げて燃えていた。
「どうだ、凄いだろ!」
クルドはいつもどうおり、どうだっという態度で、両手を腰に当てていた。
私は、いつも通り、無視してクルドを見ないようにしていた。
「おい、無視するな」
すると、こちらを見ていたキリ姉が、短い詠唱で、5つすべての標的を火球で破壊してしまった。
「バン、バン、バン、バン、バン」
大きな音が、中庭に轟いた。
クルドは、何事もなかったかのように、いつの間にか中庭から消えていた。
標的が壊れてしまったので、その日の授業は、それで終了した。
「ねえ、キリ姉。クルドって、ウザいね」
「クルドって、いつも一人ね。誰も相手していないみたい」
「あんなに生意気だから、誰も相手しないよ」
「でも、かわいそうね」
「どうして? 可哀そうなの。いつも私に突っかかってくるのよ。ウザすぎる」
「ここに来るまでに色々とあったみたいよ。クルドは、孤児院出身って聞いたわ」
「えっ、孤児院だったの。生意気だから、どこかの商人の息子かと思った」
「でも、どうしたら、あんなに生意気になれるのかしら」
「そうかな? 私はあまり気にならないよ」
「キリ姉は、絡まれないから、そんなこと言っているのよ」
「そう? キリが、考えすぎじゃ?」
「もう、キリ姉、私の気持ちになってよ」
キリ姉が、クルドを庇うので、私は余計にクルドの態度にムカついてしまった。
「キリ、クルドって、他の人にも絡んでいくの?」
「さあ、私ばかりに絡んでくるみたい。他の人は、クルドのこと相手にしていないし」
「ふぅーん」
「なによ、その、ふぅーん、って」
私に同調してくれないキリ姉が気になったが、食堂で夕食を取ると、すべて、忘れてしまった。
クルドは、相変わらず生意気で、嫌な子だ。私は、できるだけ避けていた。ちょっと、自信過剰で、私を見つける度に絡んでくる。
この間の実習・演習のときも、水魔法の教師エルザベスが、水魔法の応用として、氷柱を作るように指示しているのに、
「キリ、ちょっと、見てろよ」
私に、クルドは声を掛けるなり、詠唱を始めた。私が振り向くと、クルドは、笑いながら、私のすぐ前に氷柱を作った。半径10cm、高さ50cmの小さいものだった。
「キリ、どうだ?」
得意そうに、クルドは両腕を腰に押し当てていた。
「何が?どうだっ、よ。何か、自慢したいことでもあるの?」
「だから、氷柱だよ。どうだ!」
「ふん。それがどうしたのよ」
「お前なんかに、できないだろう。こんな立派な氷柱は」
私は、クルドを無視して、エルミアの方を見た。エルミアも魔法は得意だ。
彼女は、クルドの目の前に、お返しの氷柱を作った。しかも、無詠唱でだ。
その氷柱はクルドのものよりも、遥かに大きく、誰が見ても立派な物だった。
私は、クルドを見ないで、エルミアの傍に駆け寄った。
「くそっ、なんだよ。割って入りやがって」
別の日の実習・演習のときも同じ様に絡んできた。それは、カエザー先生の火魔法のときだ。
その日は、中庭での授業だった。火魔法で、20m離れた場所の標的を打つというものだった。
「おい、キリ、俺の魔法を見て、勉強しろよ」
クルドは、火魔法が得意だ。そのため、いつも以上に自信満々だ。標的は5つあるが、クルドは、左から、2番目の標的の前に立っていた。
「いくぞ、よく見て置け!」
クルドは、短縮した詠唱で、左から3つの標的に対して、火球を連続で放ち、すべて、命中させた。それぞれの標的は、クルドの火球により、暫く赤い炎を上げて燃えていた。
「どうだ、凄いだろ!」
クルドはいつもどうおり、どうだっという態度で、両手を腰に当てていた。
私は、いつも通り、無視してクルドを見ないようにしていた。
「おい、無視するな」
すると、こちらを見ていたキリ姉が、短い詠唱で、5つすべての標的を火球で破壊してしまった。
「バン、バン、バン、バン、バン」
大きな音が、中庭に轟いた。
クルドは、何事もなかったかのように、いつの間にか中庭から消えていた。
標的が壊れてしまったので、その日の授業は、それで終了した。
「ねえ、キリ姉。クルドって、ウザいね」
「クルドって、いつも一人ね。誰も相手していないみたい」
「あんなに生意気だから、誰も相手しないよ」
「でも、かわいそうね」
「どうして? 可哀そうなの。いつも私に突っかかってくるのよ。ウザすぎる」
「ここに来るまでに色々とあったみたいよ。クルドは、孤児院出身って聞いたわ」
「えっ、孤児院だったの。生意気だから、どこかの商人の息子かと思った」
「でも、どうしたら、あんなに生意気になれるのかしら」
「そうかな? 私はあまり気にならないよ」
「キリ姉は、絡まれないから、そんなこと言っているのよ」
「そう? キリが、考えすぎじゃ?」
「もう、キリ姉、私の気持ちになってよ」
キリ姉が、クルドを庇うので、私は余計にクルドの態度にムカついてしまった。
「キリ、クルドって、他の人にも絡んでいくの?」
「さあ、私ばかりに絡んでくるみたい。他の人は、クルドのこと相手にしていないし」
「ふぅーん」
「なによ、その、ふぅーん、って」
私に同調してくれないキリ姉が気になったが、食堂で夕食を取ると、すべて、忘れてしまった。
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