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第1章 冒険者ルナ
第9話 ムーライト・ウィザードの初仕事
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今日は、3人で、中級ダンジョンに潜ることになっている。でも、3人とも、中級ダンジョンに潜るのは、初めてだ。私が、しっかり、監視して危険な事を避けないといけない。少し、気合を入れ直そう。
私は、冒険者ギルドで購入したマップを見ながら、スキル探索で、ダンジョンの中を調査した。もし、異変があれば、途中でも、引き返すつもりだった。
中級ダンジョンと言えども、浅い階層では、それほど、強い魔物は出てこない。第5階層ぐらいまでは、スライムやポイズンスライムやゴブリンぐらいで、数が多いのが難点だが、個々の魔物としては、とても弱い。
私が、闇魔法で、シールドを張っているので、ルナもアリアも、全く傷を受けることがない。でも、2人とも、それを頼りに雑な攻撃をすることはない。弱い攻撃だと分かっていても、しっかりと、避けている。
「ねえ、ルナ、折角だから、ここで、毒に対する耐性をしっかりつけておいてもいいのじゃない?」
「そうねえ、アリアも、毒に対する耐性がなさそうだから、それも、いいかもね。ラズは、耐性があるの?」
「僕は、あると思うよ。試そうか」
私は、近くのポイズンスライムを拾い上げて、素手で毒を受けた。だが、弱い毒なので、全くダメージを受けなかった。これでは、役に立たないな。
「ルナ、ポイズンスライムの毒では、意味がないね」
「そうかな? それでも、結構な毒よ。他の冒険者は、毒消しを使うぐらいだから」
「ルナ、本当? そうなの?」
私は、びっくりしてしまった。この程度の毒で、毒消しを使うとは。
「ねえ、アリアも、ポイズンスライムの毒でも、ダメージを受けるの?」
「私は、分からないわ。ポイズンスライムの毒は、初めてだから」
私は、手に持っているポイズンスライムをアリアの方に、放り投げた。
「うわぁ、急に、何をするの」
アリアは、びっくりして、避けようとしたが、ポイズンスライムの毒に侵されてしまった。
「痛い。助けて!」
毒が掛かった部分の皮膚が、爛れ始めた。そして、かなり、痛そうにしている。
私は、直ぐに光魔法で、治療してあげた。
「ラズ、ありがとう。でも、ラズの性よ」
「そうだね。こんなにダメージを受けるとは、知らなかったわ。ごめんね」
「いいのよ。でも、この程度の毒で、この有様だと、だめね」
「そうだね。ここで、耐性を獲得している方がいいね」
私は、土魔法で、少し大きめの瓶を創り、その中に闇魔法で造った毒を入れた。
「ここに、ポイズンスライムの毒の100倍も強い毒を作ったよ。これで、耐性を付けようか」
「えっ、100倍! ラズ、そんな毒を使ったら、死んでしまうわ」
「大丈夫だよ。直ぐに僕が治療するから」
私は、作った毒を腕にかけて様子を見た。特に、何のダメージも受けなかった。あれ、毒を作るのを失敗したかな?
「ねえ、ルナ。子の毒で、どの程度のダメージを受けるか、試してみてくれる?」
「分かったわ。でも、直ぐに、治療してね。いい?」
「はい」
私は、毒の入った瓶をルナに渡した。ルナは、それを受け取ると、腕に1滴だけ垂らした。
「うわー、痛い、痛い。ラズ、助けて!」
「動かないでよ」
私は、直ぐに治療をした。たった、1滴で、このダメージか。毒は、間違いなく作れているようだ。
「これじゃ、だめだ。毒が強すぎたね」
私は、近くのポイズンスライムの毒を集めて、新たに作ったバケツに詰めていった。およそ、半分ぐらいまで、堪ったところで、ルナとアリアに声を掛けた。
「それじゃ、まずは、ポイズンスライムの毒で、耐性をつけようか」
「そうね。それぐらいがいいわ」
「私も、それから、始めます」
ルナも、アリアも、ポイズンスライムの毒なら、我慢できそうだ。
それぞれが、腕をバケツに付けて、それを私が治療した。それを何度も繰り返すうちに、もう、2人とも、声を上げることもなくなった。
「もう、治療する必要も、ないみたいだね」
「本当ね。体制が付いたようね。アリアは、どう?」
「私も、大丈夫みたい」
「2人とも、やったね。それじゃ、もう少し、強い毒で、更に耐性をつけようか?」
「さっきみたいな毒は、だめよ。分かっているの、ラズは」
「もちろん、分ってるよ」
私は、ポイズンスライムの毒が残っているバケツに少しだけ強い毒を流し込んだ。これで、10倍程度になったはずだ。
「ルナ、試しに腕を入れて見て!」
「ラズが、腕に1滴だけ落としてくれる?」
「わかった」
私は、バケツに指を入れて、少し毒で、濡らした。その指からしたたり落ちる毒をルナの腕に落とした。
「うわー、痛い。ラズ、直ぐに、治して!」
私は、素早く、光魔法で、治療した。
「もっと、弱くしてよ。これでは、強すぎるわ」
仕方がないので、ポイズンスライムの毒で、バケツの毒を薄めて行った。
「これぐらいでどうかな?」
もう一度、ルナの腕に毒を1滴だけ、垂らした。
「うん、痛いけど、我慢できるわ」
それじゃ、弱すぎると思ったけど、黙って、作業に取り掛かった。また、2人に腕をバケツに入れて貰い、私が治療していく。これを繰り返した。暫くすると、2人とも、治療が必要なくなった。おそらく、ポイズンスライムの毒の2倍程度強い毒だろう。もう少し、耐性を付けて貰いたい。
「ねえ、ルナ。もう少しだけ、強い毒に耐えられるようにしておかない?」
「そうねえ、もう少しだけよ。いい?」
私は、バケツの中の毒を少しだけ、強くした。でも、これで、ポイズンスライムの毒の10倍の強さには、なっているだろう。今度は、声をあげずに済む程度のダメージに終わった。それで、しっかりと、耐性を付けて貰った。
「今日は、これぐらいかな?」
「「はい」」
その後、私達のパーティーは、第10階層まで、潜って、戦果を冒険者ギルドに収めた。ムーンライト・ウィザードの初めての成果だ。少しだけ、パーティーの経験値が増えた。
私は、冒険者ギルドで購入したマップを見ながら、スキル探索で、ダンジョンの中を調査した。もし、異変があれば、途中でも、引き返すつもりだった。
中級ダンジョンと言えども、浅い階層では、それほど、強い魔物は出てこない。第5階層ぐらいまでは、スライムやポイズンスライムやゴブリンぐらいで、数が多いのが難点だが、個々の魔物としては、とても弱い。
私が、闇魔法で、シールドを張っているので、ルナもアリアも、全く傷を受けることがない。でも、2人とも、それを頼りに雑な攻撃をすることはない。弱い攻撃だと分かっていても、しっかりと、避けている。
「ねえ、ルナ、折角だから、ここで、毒に対する耐性をしっかりつけておいてもいいのじゃない?」
「そうねえ、アリアも、毒に対する耐性がなさそうだから、それも、いいかもね。ラズは、耐性があるの?」
「僕は、あると思うよ。試そうか」
私は、近くのポイズンスライムを拾い上げて、素手で毒を受けた。だが、弱い毒なので、全くダメージを受けなかった。これでは、役に立たないな。
「ルナ、ポイズンスライムの毒では、意味がないね」
「そうかな? それでも、結構な毒よ。他の冒険者は、毒消しを使うぐらいだから」
「ルナ、本当? そうなの?」
私は、びっくりしてしまった。この程度の毒で、毒消しを使うとは。
「ねえ、アリアも、ポイズンスライムの毒でも、ダメージを受けるの?」
「私は、分からないわ。ポイズンスライムの毒は、初めてだから」
私は、手に持っているポイズンスライムをアリアの方に、放り投げた。
「うわぁ、急に、何をするの」
アリアは、びっくりして、避けようとしたが、ポイズンスライムの毒に侵されてしまった。
「痛い。助けて!」
毒が掛かった部分の皮膚が、爛れ始めた。そして、かなり、痛そうにしている。
私は、直ぐに光魔法で、治療してあげた。
「ラズ、ありがとう。でも、ラズの性よ」
「そうだね。こんなにダメージを受けるとは、知らなかったわ。ごめんね」
「いいのよ。でも、この程度の毒で、この有様だと、だめね」
「そうだね。ここで、耐性を獲得している方がいいね」
私は、土魔法で、少し大きめの瓶を創り、その中に闇魔法で造った毒を入れた。
「ここに、ポイズンスライムの毒の100倍も強い毒を作ったよ。これで、耐性を付けようか」
「えっ、100倍! ラズ、そんな毒を使ったら、死んでしまうわ」
「大丈夫だよ。直ぐに僕が治療するから」
私は、作った毒を腕にかけて様子を見た。特に、何のダメージも受けなかった。あれ、毒を作るのを失敗したかな?
「ねえ、ルナ。子の毒で、どの程度のダメージを受けるか、試してみてくれる?」
「分かったわ。でも、直ぐに、治療してね。いい?」
「はい」
私は、毒の入った瓶をルナに渡した。ルナは、それを受け取ると、腕に1滴だけ垂らした。
「うわー、痛い、痛い。ラズ、助けて!」
「動かないでよ」
私は、直ぐに治療をした。たった、1滴で、このダメージか。毒は、間違いなく作れているようだ。
「これじゃ、だめだ。毒が強すぎたね」
私は、近くのポイズンスライムの毒を集めて、新たに作ったバケツに詰めていった。およそ、半分ぐらいまで、堪ったところで、ルナとアリアに声を掛けた。
「それじゃ、まずは、ポイズンスライムの毒で、耐性をつけようか」
「そうね。それぐらいがいいわ」
「私も、それから、始めます」
ルナも、アリアも、ポイズンスライムの毒なら、我慢できそうだ。
それぞれが、腕をバケツに付けて、それを私が治療した。それを何度も繰り返すうちに、もう、2人とも、声を上げることもなくなった。
「もう、治療する必要も、ないみたいだね」
「本当ね。体制が付いたようね。アリアは、どう?」
「私も、大丈夫みたい」
「2人とも、やったね。それじゃ、もう少し、強い毒で、更に耐性をつけようか?」
「さっきみたいな毒は、だめよ。分かっているの、ラズは」
「もちろん、分ってるよ」
私は、ポイズンスライムの毒が残っているバケツに少しだけ強い毒を流し込んだ。これで、10倍程度になったはずだ。
「ルナ、試しに腕を入れて見て!」
「ラズが、腕に1滴だけ落としてくれる?」
「わかった」
私は、バケツに指を入れて、少し毒で、濡らした。その指からしたたり落ちる毒をルナの腕に落とした。
「うわー、痛い。ラズ、直ぐに、治して!」
私は、素早く、光魔法で、治療した。
「もっと、弱くしてよ。これでは、強すぎるわ」
仕方がないので、ポイズンスライムの毒で、バケツの毒を薄めて行った。
「これぐらいでどうかな?」
もう一度、ルナの腕に毒を1滴だけ、垂らした。
「うん、痛いけど、我慢できるわ」
それじゃ、弱すぎると思ったけど、黙って、作業に取り掛かった。また、2人に腕をバケツに入れて貰い、私が治療していく。これを繰り返した。暫くすると、2人とも、治療が必要なくなった。おそらく、ポイズンスライムの毒の2倍程度強い毒だろう。もう少し、耐性を付けて貰いたい。
「ねえ、ルナ。もう少しだけ、強い毒に耐えられるようにしておかない?」
「そうねえ、もう少しだけよ。いい?」
私は、バケツの中の毒を少しだけ、強くした。でも、これで、ポイズンスライムの毒の10倍の強さには、なっているだろう。今度は、声をあげずに済む程度のダメージに終わった。それで、しっかりと、耐性を付けて貰った。
「今日は、これぐらいかな?」
「「はい」」
その後、私達のパーティーは、第10階層まで、潜って、戦果を冒険者ギルドに収めた。ムーンライト・ウィザードの初めての成果だ。少しだけ、パーティーの経験値が増えた。
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