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第1章 冒険者ルナ
第4話 ダンジョンの異変
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今日も、ルナは、朝からダンジョンに潜る用意を楽しそうにしている。それを横目で見ながら、どう言ったらいいのかを考えていた。昨日ダンジョンで感じた不安が頭を過る。しかし、ルナは、それを感じていない。もし、私が、それを伝えても、幼児の姿の私の話を信じないだろう。
「ルナ、ダンジョンに潜る前に、冒険者ギルドで、別のダンジョンの地図を買わない?」
「ラズ、急にどうしたの? 昨日のダンジョンは、途中で、帰って来たから、ダンジョンマスターを倒していないのよ」
「分かっているけど。色々なダンジョンを経験してから、ダンジョンマスターと戦う方が、安心だと思ったの」
私は、ルナにもう少し、経験を積んで欲しかった。それで、他のダンジョンに潜ることを提案した。
「そうね。ラズの言うことも一理あるわね」
「そうだよ。だから、まずは、冒険者ギルドで、万全な準備をしようよ」
「分かったわ」
漸く、ルナを納得させることができた。取り敢えず、時間稼ぎが出来そうだ。その内に、正確な情報が得られるだろう。
私達が、冒険者ギルドに入って行くと、そこは、昨日とは違い、慌ただしい雰囲気だった。冒険者が居り場もないほど集まっており、冒険者ギルドの従業員たちは、険しい顔をしていた。そして、冒険者ギルド長が皆の前に立って、冒険者達を静めていた。
「皆、勝手にしゃべらずに、情報を共有することから始めないか?」
「ギルド長の言う通りだ、憶測も含めた情報が多すぎる。本当の事が、俺は、知りたい」
一人の冒険者が、ギルド長に賛同した。
「それでは、昨日の異変を報告してくれ」
ギルド長が、集まった冒険者達に声を掛けた。すると、一人の冒険者が、手を挙げた。
「そこの冒険者、舐めとレベルを行ってから、報告してくれ」
手を挙げた冒険者が、立ち上がり、一同を見渡してから、ゆっくりと話し始めた。
「私は、Bランクパーティ、翆嵐の風のリーダ、ユーリ・ハートと言います。」
ユーリ・ハートは、剣士で、炎のような赤毛で、褐色の肌が眩しい青年だ。
「昨日、中級ダンジョンに潜り、冒険者ギルドのマップと照らしながら、ダンジョンの調査を行いました」
「それは、冒険者ギルドの依頼の調査だね」
冒険者ギルド長が補足した。
「はい、そうです。冒険者ギルド長から、ダンジョンが不安定になっているという噂の調査依頼を受けました」
「それでは、その調査内容を報告してくれ」
冒険者ギルド長が、ユーリに報告の続きを促した。冒険者ギルドに集まった、皆も固唾を飲んで、報告の続きを待った。
「すべてのダンジョンが同じような異変が起こっているかは、わかりませんが、私達が探索したダンジョンでは、次の事が言えます。まず、ダンジョンの地形が、変化しています。持参したマップとは、至る所が異なりました。それらについては、ギルド長に後程、お渡しします。次に、魔物の出現パターンの変化です。以前のダンジョンでは、現れなかった魔物が現れたり、あるいは、出現しない階層で現れたりしました。また、それらの魔物が集団で統率の取れた行動をしました。これは、以前では考えられないことです」
「ありがとう。ユーリに質問がある者は?」
私は、思わず、手を挙げてしまった。しかし、幼児のような姿の私は無視された。
「それでは、他のダンジョンで、同様の異変があった者は、教えてくれ」
複数の冒険者が手を挙げて、ダンジョンの異変を報告した。それらによると、この小さな町の近隣のダンジョンがことごとく異変を起こしていることが分かった。そして、あらかた意見が出そろった所で、ギルド長が、今後の活動についての制限を提案した。しかし、ギルド長の提案は、そのまま、決定事項となる。
「それでは、当面の間は、ギルドが依頼した冒険者パーティーのみが、ダンジョンに潜り探索することとする」
ギルド長の決定事項を聞いて、多くの冒険者が席を立とうとしていた。そのとき、ルナが手を挙げた。
「すみません。ギルド長、それは、初級ダンジョンにも適用されるのですか?」
「いや。初級ダンジョンは、もともと、誰が潜っても良い物だから、今回の決定事項からも、除外される。中級ダンジョン以上だと思ってくれ」
「はい、分りました」
暗い顔をしたいたルナの表情が一変した。明るく微笑んで、私を見下ろしている。
どうやら、私の思惑通りにはいかなかったようだ。初級ダンジョンも、異変を起こしている。それをルナもギルド長も、気がついていないようだ。まあ、大した魔物が出て来たわけではないから、問題はないのだろうけどね。
「ラズ、行くよ!」
「仕方ないね」
私は、渋々、ルナの後について歩いた。暫くして、初級ダンジョンに到着した。何を言っても、ルナを止めることはできないようだ。仕方がないので、スキル探索で、ダンジョン内を調査することにした。
第10階層には、ダンジョンマスターがいる。これは、レベル50程度なので、問題はない。ただ、第8階層には、多くのオークとそのリーダがいた。リーダは、レベル65と少し厄介だ。そのうえ、オークもほとんどがレベル50以上ある。これなら、第10階層で、ダンジョンマスターと直接戦った方が、良さそうだ。
でも、どうすれば、第8階層を回避できるのか? 直ぐには、いい考えが浮かばなかった。気が付くと、ルナはもうダンジョンに入って行くところだ。私も、遅れないように少し走って、ルナに続いて、ダンジョンに入って行った。
「ルナ、ダンジョンに潜る前に、冒険者ギルドで、別のダンジョンの地図を買わない?」
「ラズ、急にどうしたの? 昨日のダンジョンは、途中で、帰って来たから、ダンジョンマスターを倒していないのよ」
「分かっているけど。色々なダンジョンを経験してから、ダンジョンマスターと戦う方が、安心だと思ったの」
私は、ルナにもう少し、経験を積んで欲しかった。それで、他のダンジョンに潜ることを提案した。
「そうね。ラズの言うことも一理あるわね」
「そうだよ。だから、まずは、冒険者ギルドで、万全な準備をしようよ」
「分かったわ」
漸く、ルナを納得させることができた。取り敢えず、時間稼ぎが出来そうだ。その内に、正確な情報が得られるだろう。
私達が、冒険者ギルドに入って行くと、そこは、昨日とは違い、慌ただしい雰囲気だった。冒険者が居り場もないほど集まっており、冒険者ギルドの従業員たちは、険しい顔をしていた。そして、冒険者ギルド長が皆の前に立って、冒険者達を静めていた。
「皆、勝手にしゃべらずに、情報を共有することから始めないか?」
「ギルド長の言う通りだ、憶測も含めた情報が多すぎる。本当の事が、俺は、知りたい」
一人の冒険者が、ギルド長に賛同した。
「それでは、昨日の異変を報告してくれ」
ギルド長が、集まった冒険者達に声を掛けた。すると、一人の冒険者が、手を挙げた。
「そこの冒険者、舐めとレベルを行ってから、報告してくれ」
手を挙げた冒険者が、立ち上がり、一同を見渡してから、ゆっくりと話し始めた。
「私は、Bランクパーティ、翆嵐の風のリーダ、ユーリ・ハートと言います。」
ユーリ・ハートは、剣士で、炎のような赤毛で、褐色の肌が眩しい青年だ。
「昨日、中級ダンジョンに潜り、冒険者ギルドのマップと照らしながら、ダンジョンの調査を行いました」
「それは、冒険者ギルドの依頼の調査だね」
冒険者ギルド長が補足した。
「はい、そうです。冒険者ギルド長から、ダンジョンが不安定になっているという噂の調査依頼を受けました」
「それでは、その調査内容を報告してくれ」
冒険者ギルド長が、ユーリに報告の続きを促した。冒険者ギルドに集まった、皆も固唾を飲んで、報告の続きを待った。
「すべてのダンジョンが同じような異変が起こっているかは、わかりませんが、私達が探索したダンジョンでは、次の事が言えます。まず、ダンジョンの地形が、変化しています。持参したマップとは、至る所が異なりました。それらについては、ギルド長に後程、お渡しします。次に、魔物の出現パターンの変化です。以前のダンジョンでは、現れなかった魔物が現れたり、あるいは、出現しない階層で現れたりしました。また、それらの魔物が集団で統率の取れた行動をしました。これは、以前では考えられないことです」
「ありがとう。ユーリに質問がある者は?」
私は、思わず、手を挙げてしまった。しかし、幼児のような姿の私は無視された。
「それでは、他のダンジョンで、同様の異変があった者は、教えてくれ」
複数の冒険者が手を挙げて、ダンジョンの異変を報告した。それらによると、この小さな町の近隣のダンジョンがことごとく異変を起こしていることが分かった。そして、あらかた意見が出そろった所で、ギルド長が、今後の活動についての制限を提案した。しかし、ギルド長の提案は、そのまま、決定事項となる。
「それでは、当面の間は、ギルドが依頼した冒険者パーティーのみが、ダンジョンに潜り探索することとする」
ギルド長の決定事項を聞いて、多くの冒険者が席を立とうとしていた。そのとき、ルナが手を挙げた。
「すみません。ギルド長、それは、初級ダンジョンにも適用されるのですか?」
「いや。初級ダンジョンは、もともと、誰が潜っても良い物だから、今回の決定事項からも、除外される。中級ダンジョン以上だと思ってくれ」
「はい、分りました」
暗い顔をしたいたルナの表情が一変した。明るく微笑んで、私を見下ろしている。
どうやら、私の思惑通りにはいかなかったようだ。初級ダンジョンも、異変を起こしている。それをルナもギルド長も、気がついていないようだ。まあ、大した魔物が出て来たわけではないから、問題はないのだろうけどね。
「ラズ、行くよ!」
「仕方ないね」
私は、渋々、ルナの後について歩いた。暫くして、初級ダンジョンに到着した。何を言っても、ルナを止めることはできないようだ。仕方がないので、スキル探索で、ダンジョン内を調査することにした。
第10階層には、ダンジョンマスターがいる。これは、レベル50程度なので、問題はない。ただ、第8階層には、多くのオークとそのリーダがいた。リーダは、レベル65と少し厄介だ。そのうえ、オークもほとんどがレベル50以上ある。これなら、第10階層で、ダンジョンマスターと直接戦った方が、良さそうだ。
でも、どうすれば、第8階層を回避できるのか? 直ぐには、いい考えが浮かばなかった。気が付くと、ルナはもうダンジョンに入って行くところだ。私も、遅れないように少し走って、ルナに続いて、ダンジョンに入って行った。
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