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第1章 冒険者ルナ

第3話 初めてのダンジョン

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 今日は、朝一で、ルナと一緒に大量のポーションを冒険者ギルドに収めた。そして、冒険者ギルドで、初級ダンジョンの地図を買った。

 ルナもついに、魔物を狩る決心が付いたみたいだ。数日前に、ルナは、魔法に対する恐怖を払拭したようだ。そして、それ以後、毎日、魔力の総量を上げるために、魔法を限界まで使い切り、私が自分のマナを流し込み、回復させることを繰り返した。すると、当初の100倍以上にも総魔力量が増大した。でもまだ、私のマナの総量には、程遠い。だが、その魔力量は、S級の冒険者の総魔力量をも、凌駕するものだった。しかし、まだ、ルナは、そのことに気が付いていなかった。そのため、まだ、魔法に関して、自信がないようだ。

 「さあ、ラズ、行くよ」

 「はい」

 私達は、初級者用のダンジョンの入り口に立っていた。看板には、冒険者登録した者と一緒に入る事と注意が書かれていたが、そのランクについては、言及がなかった。つまり、誰でも、気楽に潜れるダンジョンだということだ。

 私達は、お金がないこともあり、普通の服で、装備もほとんどない状態で、ダンジョンに挑むことになった。普通の冒険者から見ると、無謀な初心者としか、見られないような姿だ。でも、ここには、私達以外には、いない。普通の冒険者は、こんな初級のダンジョンに潜ることはない。だから、このダンジョンは、私達の貸し切りのようなものだった。

 私は、ルナの後に付いて、ダンジョンに入って行った。ダンジョンの中が、私は好きだった。何故か、落ち着けた。

 最初に、ルナが、光魔法で、光球ライト・ボールで洞窟の中を照らした。今のルナには、光球ライト・ボールを出し続けていても、何の苦もないようだ。

 暫く歩くと、スライムやスケルトンが出てきたが、ルナが火魔法で、攻撃して、簡単に撃退した。

 「ルナ、いい調子だね」

 私が、ルナを褒めると、満更でもない顔をして、嬉しそうに、頷いた。

 「今までは、ダンジョンの中に入るのが、怖かったわ。でも、今は、大丈夫よ」

 「ルナは、もっと、自信を持っていいよ」

 「そうかな?」

 「そうだよ。僕が、保証するよ」

 「うれしい」

 第1階層の魔物に慣れて来たので、下の階層に行くことにした。

 下の階層に行くにつれて、大きな魔物が次々に現れて来た。そして、だんだんとその数も多くなり、群れで攻撃してくることが多くなってきた。

 「ルナ、魔力は、残っている? 疲れていない?」

 私は、ルナが全ての魔物を一人で、買っているのが、少し、心配になって来た。確かに、総魔力も以前の数100倍になり、まだまだ、魔力切れになっていないとは思うけど、初めてのダンジョンで、少し、負担が大きいのではないかと思った。ルナは、まだ、私が幼児で、守らないといけない存在だと思っている。だから、一人で頑張っている。私は、そう思った。

 「ルナ、私も、戦えるよ」

 「ラズは、心配しなくていいよ」

 「僕は、少し、心配」

 私の心配を他所にして、ルナは、どんどん進んで行く。いつの間にか、もう第8階層に達していた。この初級ダンジョンは、第10階層で、終わりだ。そこに、ダンジョンマスターが居る。

 前方にイノシシのような魔物の群れが現れた。私は、常時、スキル探索で、魔物を探知していたのだけど、この魔物は、急に現れたように感じた。これまでの魔物とは違うようだ。

 「ルナ、気を付けて!」

 「ラズ、急にどうしたの。これまでの様に、簡単に倒せるよ。心配しないで」

 ルナは、これまでの魔物との違いに気が付いていないようだ。おせっかいだけど、私は、ルナを闇魔防で、シールドで包み込み、防御力をアップさせておいた。

 「ほら、オークだよ。ラズは心配性ね」

 いつの間にか、オークの群れの中心に私達2人がいた。既に、取り囲まれてしまったようだ。それにしても、普通のオークの動きではない。統制が取れすぎている。どこかに、指揮官が居るのだろう。

 私は、もう一度、スキル探索で、周囲を調べた。すると、少し離れた所に、今目の前にいるオ比べようもないほどないほどの魔力量を持っている魔物がいた。
 
 私は、ルナに築かれないように魔法を発動した。

 (火柱ファイア・ポール

 うまく倒せたようだ。そして、ルナには、気づかれなかったようだ。私達を取り囲んでいたオーク達は、急に隊列を崩し、それぞれがテンデバラバラに動き出した。やはり、先ほどの魔物がリーダだったようだ。

 「ルナ、頑張って!」

 「ラズ、しっかり見ておいてね」

 ルナは、周りの魔物に対して、火魔法で、攻撃を開始した。

 「火壁ファイア・ウォール

 もう、魔法の連続攻撃にも、慣れて来たようだ。

 「火壁ファイア・ウォール

 「火壁ファイア・ウォール

 「ルナ、一気に魔力を使わないで! 自分の残りの魔力量を確認してね」

 「ラズ、そんなこと、分っているわ。黙って、見て置きなさい」

 厳しい口調で、ルナが私を𠮟責した。もうすっかり、有頂天だ。この調子だと、ダンジョンマスターまで、倒しに行きそうだ。まあ、今のルナなら、倒せないこともないが、先ほどのオークの群れの現れ方は、気になる。今日は、深追いしない方がよさそうだ。

 「ルナ、お腹が空いたよ。今日は、もう、帰らない?」

 「そうね。すっかり、夢中になって、時間を忘れていたわね。ゴメンね、ラズの事を放っておいて」

 「いいよ。でも、ルナは、強くなったね。ラズも嬉しい」

 「ありがとう」

 私達は、ダンジョンを後にして、冒険者ギルドで、今日の成果をお金に変えた。そして、近くの食堂で、たらふく肉やスープを食べた。

 冒険者ギルドでは、まだ、ダンジョンの異常に気が付いていないようだ。この小さい村にいる冒険者だけでは、対応できなくなるかもしれない。少し、不安がよぎったが、ルナには、話さなかった。 
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