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第1章 冒険者ルナ
第2話 ルナの目覚め
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ルナと一緒に冒険者ギルドに行ってから、10日が過ぎた。私は、魔物を狩りに行きたいのに、ルナが反対する。ルナは、私を守る自信がないという。ルナは、光魔法だけでなく、火魔法も、土魔法も使える。ひょっとすると、その他の魔法も使えるのかもしれない。しかし、魔法に対して、恐怖があるようだ。
「ねぇ、ルナは、どうして、魔法の練習をしないの?」
「厭なの、魔法を使うと、直ぐに気分が悪くなって、倒れてしまうの。だから、使えないの」
「でも、時々、ポーションを作るのに、光魔法を使っているね」
「それは、冒険者ギルドで、言われたでしょ。薬草のままより、ポーションの方が、高く買うって。だからよ」
「でも、ルナは、ポーションを1日に1本しか作らないよ」
「そうなの。1本で、限界なの」
私は、ルナの身体を見つめた。すると、マナの流れを感じることが出来た。以前に、ルナにどんなものにもマナがあり、それぞれ特有の色を持っていると聞かされた。それ以来、色んな物のマナを見ようとしてきた。それにつれて、色も感じることが出来るようになっていた。
ルナの身体の中心には、大きなマナの塊があり、それが、常に出口を求めて、ルナの身体にぶつかっているように感じた。今も、へその辺りから、腰に向かって、ぶつかった。
「ルナ、腰が痛くない?」
「そうね。ついさっき、少し痛かったわ」
「やっぱり」
「どうしたの? ラズ、私の身体を見たの?」
「うん。ルナの身体の中でマナが暴れているよ」
「そうなの。ラズにも、分かったのね。それが、私が、魔法を嫌がる理由よ。いつも、無理して、マナを放出して、魔法を使っているの。だから、魔法が嫌いなの」
「ルナは、お医者さんに、見て貰ったの?」
「えぇ、何度か、色々な医者に診てもらったけど、この病気は、治らないって、それで、もう、諦めているわ」
「ルナ、私の手を握って!」
「どうしたの?」
「いいから、私の手を握って!」
「分かったわ」
私は、ルナの手を握りしめた。そして、ルナのマナを感じ始めた。それと共に、少しずつ、私のマナをルナにあげた。少しずつ、少しずつ、マナをルナの手に流し続けた。
私のマナがルナの手の平から、少しずつ、ルナの身体の中心に向かって、染み込んで行く。私のマナが、ルナのマナとぶつかり始めた。私は、無理にマナを流さずに、今度は、ルナのマナを少しずつ吸い取り始めた。
それを何度も、繰り返した。ルナに私のマナを流し、ルナのマナとぶつかると、ルナのマナを少し、吸い取って行った。
すると、ルナの身体の中心にあったマナが、少しずつ、ルナの身体全体に広がって行くようだ。
どれぐらいたったのだろうか?
ルナの身体が少しずつ赤みを帯びて来た。そして、ほてっているような顔つきになった。でも、ルナの顔からは、疲れは、感じない。寧ろ、少し元気になったように見えた。
時間と共に、ルナと私のマナのやり取りの量が増えて来た。そして、私のマナがルナの身体全体に染み込んでいるのが、感じられた。
「ルナ、私にマナを流してくれる?」
「いいわよ」
ルナが、私にマナを流し始めた。そして、それは、凄い速さで、しかも、凄い量が一気に私に流れ込んで来た。それと共に、ルナとの一体感が増した。
暫くすると、ルナの身体のマナは、身体全体に均質に感じられるようになった。
「もういいよ」
「そう? 何だか、身体全体が暖かになったわ。とても、気分がいいわ。こんなこと、初めてよ」
「よかった! それじゃ、何か、魔法を使ってみて!」
ルナは、恐る恐る、魔法を使った。簡単な火魔法で、火球を出した。
「どう? 気分は?」
「うん。大丈夫よ。魔法を使ったのに、平気よ」
「それじゃ、今度は、ポーションを作ってみて」
ルナは、まだ、魔法を使う恐怖から、逃れられないようだ。恐る恐る、ポーションを作り始めた。
1本、また、1本。机の上にポーションが積まれていく。
ついに、薬草が無くなったしまった。
「凄い! いくらでも作れるわ。こんなこと初めてよ」
「ねぇ。ルナ、大気から、マナを取り込んでみて!」
「分かったわ」
どうも、ルナには、大気のマナを取り込むことは出来ないようだ。
「無理ね。大気のマナは感じることは出来るのだけど」
「分かった。もう一度、私の手を握ってくれる?」
「いいわ」
ルナの手を握りながら、私は、先ほど同じ様に、自分のマナをルナに流し込んだ。そして、それは、凄い勢いで、流れ込んで行った。
「ルナ。まだ、大丈夫?」
「うん、平気よ」
私は、更に大量のマナをルナに流し込んだ。ルナが使ったマナの量の3倍にも達したが、ルナは、平気そうだ。
私は、更に、マナを流し込んだ。すでに、10倍以上に達した。
「今日は、ここまでにしておくね」
「分かったわ。でも、まだ、平気みたいよ」
「うん。そうみたいだね。でも、今は、止めておくよ。それより、もう一度、火球をだしてみて!」
「いいわよ」
ルナは、先ほどと同じように、火球を出した。しかし、先ほどとは、比べ物にならないほど、大きく、高温の火球が出現した。
「凄い! 今度のは、上級の火球だね」
「こんなこと、始めて」
ルナは、何度も、何度も、火球を出しては、消した。
やっと、落ち着いたようで、火球を出すのを止めた。そして、ルナは私を抱きかかえた。
「ありがとう。私、治ったのね」
「分かんない。でも、今日のルナのマナは、 澱んでいないよ」
「ありがとう」
ルナの柔らかい身体に抱きしめられながら、私も、気分が良かった。私も、ルナを抱きしめ返した。
「ルナ、ありがとう。私を…」
ルナの強い抱擁で、声が出せなかった。
「ねぇ、ルナは、どうして、魔法の練習をしないの?」
「厭なの、魔法を使うと、直ぐに気分が悪くなって、倒れてしまうの。だから、使えないの」
「でも、時々、ポーションを作るのに、光魔法を使っているね」
「それは、冒険者ギルドで、言われたでしょ。薬草のままより、ポーションの方が、高く買うって。だからよ」
「でも、ルナは、ポーションを1日に1本しか作らないよ」
「そうなの。1本で、限界なの」
私は、ルナの身体を見つめた。すると、マナの流れを感じることが出来た。以前に、ルナにどんなものにもマナがあり、それぞれ特有の色を持っていると聞かされた。それ以来、色んな物のマナを見ようとしてきた。それにつれて、色も感じることが出来るようになっていた。
ルナの身体の中心には、大きなマナの塊があり、それが、常に出口を求めて、ルナの身体にぶつかっているように感じた。今も、へその辺りから、腰に向かって、ぶつかった。
「ルナ、腰が痛くない?」
「そうね。ついさっき、少し痛かったわ」
「やっぱり」
「どうしたの? ラズ、私の身体を見たの?」
「うん。ルナの身体の中でマナが暴れているよ」
「そうなの。ラズにも、分かったのね。それが、私が、魔法を嫌がる理由よ。いつも、無理して、マナを放出して、魔法を使っているの。だから、魔法が嫌いなの」
「ルナは、お医者さんに、見て貰ったの?」
「えぇ、何度か、色々な医者に診てもらったけど、この病気は、治らないって、それで、もう、諦めているわ」
「ルナ、私の手を握って!」
「どうしたの?」
「いいから、私の手を握って!」
「分かったわ」
私は、ルナの手を握りしめた。そして、ルナのマナを感じ始めた。それと共に、少しずつ、私のマナをルナにあげた。少しずつ、少しずつ、マナをルナの手に流し続けた。
私のマナがルナの手の平から、少しずつ、ルナの身体の中心に向かって、染み込んで行く。私のマナが、ルナのマナとぶつかり始めた。私は、無理にマナを流さずに、今度は、ルナのマナを少しずつ吸い取り始めた。
それを何度も、繰り返した。ルナに私のマナを流し、ルナのマナとぶつかると、ルナのマナを少し、吸い取って行った。
すると、ルナの身体の中心にあったマナが、少しずつ、ルナの身体全体に広がって行くようだ。
どれぐらいたったのだろうか?
ルナの身体が少しずつ赤みを帯びて来た。そして、ほてっているような顔つきになった。でも、ルナの顔からは、疲れは、感じない。寧ろ、少し元気になったように見えた。
時間と共に、ルナと私のマナのやり取りの量が増えて来た。そして、私のマナがルナの身体全体に染み込んでいるのが、感じられた。
「ルナ、私にマナを流してくれる?」
「いいわよ」
ルナが、私にマナを流し始めた。そして、それは、凄い速さで、しかも、凄い量が一気に私に流れ込んで来た。それと共に、ルナとの一体感が増した。
暫くすると、ルナの身体のマナは、身体全体に均質に感じられるようになった。
「もういいよ」
「そう? 何だか、身体全体が暖かになったわ。とても、気分がいいわ。こんなこと、初めてよ」
「よかった! それじゃ、何か、魔法を使ってみて!」
ルナは、恐る恐る、魔法を使った。簡単な火魔法で、火球を出した。
「どう? 気分は?」
「うん。大丈夫よ。魔法を使ったのに、平気よ」
「それじゃ、今度は、ポーションを作ってみて」
ルナは、まだ、魔法を使う恐怖から、逃れられないようだ。恐る恐る、ポーションを作り始めた。
1本、また、1本。机の上にポーションが積まれていく。
ついに、薬草が無くなったしまった。
「凄い! いくらでも作れるわ。こんなこと初めてよ」
「ねぇ。ルナ、大気から、マナを取り込んでみて!」
「分かったわ」
どうも、ルナには、大気のマナを取り込むことは出来ないようだ。
「無理ね。大気のマナは感じることは出来るのだけど」
「分かった。もう一度、私の手を握ってくれる?」
「いいわ」
ルナの手を握りながら、私は、先ほど同じ様に、自分のマナをルナに流し込んだ。そして、それは、凄い勢いで、流れ込んで行った。
「ルナ。まだ、大丈夫?」
「うん、平気よ」
私は、更に大量のマナをルナに流し込んだ。ルナが使ったマナの量の3倍にも達したが、ルナは、平気そうだ。
私は、更に、マナを流し込んだ。すでに、10倍以上に達した。
「今日は、ここまでにしておくね」
「分かったわ。でも、まだ、平気みたいよ」
「うん。そうみたいだね。でも、今は、止めておくよ。それより、もう一度、火球をだしてみて!」
「いいわよ」
ルナは、先ほどと同じように、火球を出した。しかし、先ほどとは、比べ物にならないほど、大きく、高温の火球が出現した。
「凄い! 今度のは、上級の火球だね」
「こんなこと、始めて」
ルナは、何度も、何度も、火球を出しては、消した。
やっと、落ち着いたようで、火球を出すのを止めた。そして、ルナは私を抱きかかえた。
「ありがとう。私、治ったのね」
「分かんない。でも、今日のルナのマナは、 澱んでいないよ」
「ありがとう」
ルナの柔らかい身体に抱きしめられながら、私も、気分が良かった。私も、ルナを抱きしめ返した。
「ルナ、ありがとう。私を…」
ルナの強い抱擁で、声が出せなかった。
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