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第2章 魔法学院(夏休み)

第33話 軍隊の都市ロンデン

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 イーデン王国は、ソーロン帝国との長い国境を持つ国で、そのため、軍隊を重視した国になっているの。そして、イーデン王国の中心の街である隠田は、軍隊の都市ロンデンと呼ばれているわ。

 確かに、前日滞在していたシーニ王国とは違い、国境を越えて、イーデン王国に入るなり、軍人を見る機会が増えて来たみたい。
 
 テルースは、以前も来たことがあったみたいで、平気な顔をしているけど、私は、初めてで、少しビックリ。

 「すごいね。軍人ばかりね」

 私は、思わず、テルースに言った。

 「そうだね。この街は、軍隊の都市と呼ばれているよ」

 テルースが、優しく、説明してくれた。本当に、色んな国のことをよく知っているわ。

 「そうすると、ロンデン魔法学院は、軍人用の魔法学院だよね。きっと」

 「そうだね。でも、軍人用の魔法って、何かな?」

 私は、思わず、テルースに、ロンデン魔法学院のことを尋ねてみたの。

 「テルースは、以前来たのでしょ。その時は、何をしていたの?」

 「僕かい、その時は、隣のソーロン帝国に用事があったので、この街は、少し見ただけだよ」

 何だ、別の国に行くために、この都市を通過しただけなのか。

 エイコは、私達の目の前の席で、黙って座っていた。今日は、何故か、教員用の馬車ではなく、生徒用の馬車に乗っている。そして、この馬車には、エイコと私とテルースの3人だけ。なんだか、24時間中私を見張るつもりみたい。ちょっと、異常ね。いくら、私の両親に頼まれたといっても、こんなことまで、頼むわけないわ。きっと、何か、別の理由があるはずよ。それって、何かしら?

 馬車は、いつの間にか、今日宿泊するホテルに到着したわ。多分、エイコのせいね。きっと、緊張していたのね。時間が過ぎるのが早く感じていたわ。それとも、隣のテルースのセイカシラ。昨日のことを思い出して、少し、ほほを赤らめてしまったわ。エイコに気付かれたかなぁ?

 ホテルに着いてから、私達は、自分達の部屋に分かれて入っ行ったの。もちろん、今日の各自の部屋をチェックしたわ。そしたら、私とエイコが隣通しの部屋で、なぜか、他の人は、別の階に部屋をとっているのよ。もう、いい加減にして欲しいわ。

 ホテルで、今日の予定を聞いたら、1日中、自由時間で、ロンデンの街を観光することになっていたの。嬉しい!
 自由行動だ! 時間が決まっているのは、ホテルでの夕食だけ。その時間に間に合えば良いらしいの。

 私が、部屋にいると、テルースが、思念伝達で、連絡してきたの。

 「ユイカ、街に行かない?」

 「いいわ。少し待ってね」

 私は、思念伝達を切ってから、急いで、制服を着替えてたわ。折角、持って来た沢山の服から、着て行く服を決めたわ。少し時間が掛かりすぎたのかしら、テルースが、思念伝達で、連絡してきたの。

 「ユイカ、ロビーで待っているよ」

 「はい、すぐに行くね」

 テルースは、待てないみたいね。テルースとの思念伝達を切って、大急ぎ用意をしてして、下に降りて行ったわ。

 そしたら、ロビーのソファに座っているのテルースは。よく見ると、他のホテルの客も、ソファに座っているけど、皆、軍服姿や商人のような姿で、観光客らしい人は、居ないみたい。テルースも、何故か、制服姿。

 これから、街を観光するのに、どうして? そしたら、軍人の一人が、私に声を掛けて来たの。

 「ここへは、一人で来たのか?」
 
 何だか、怖いわ。怒っているように聞こえるわ。

 「いいえ、違います」

 私は、おどおどして、返事をしたの。そしたら、更に声を荒げて、言うのよ。

 「この街で、何をする気だ!」

 この人、どうしたの? 何故、私が怒られないといけないの?

 「この街にあるロンデン魔法学院の見学に来ました。今日は、1日街の観光です」
 
 いつの間にか、テルースが来て、私の代わりに答えてくれたの。

 「そうか。ロンデン魔法学院の見学か。それなら、結構」

 軍人は、私達から離れて他の軍人の所に行ったわ。私には、何が起こったのか、よく分からなかったわ。

 「テルース、お待たせ。今のは、何? どうして、軍人が怒るの?」

 テルースは、私の疑問には、答えずに言うのよ。

 「ユイカ、その服、良く似合っているよ」

 えっ、私の質問は、スルー? さっきの事って、普通の事なの?

 「そう、良かった。どれにしようか、迷っていたの」

 仕方がないから、私も、テルースに合わせたわ。

 「ユイカは、白色が似合うね。綺麗だよ」

 「ありがとう。どこへ行くの?」

 テルースは、先ほどの軍人のことは、すっかり、忘れているみたい。まあ、いいわ。今日は、1日、テルースを独り占めよ。

 「お腹すかない? 何か、食べたいな」

 私は、テルースの腕を取りながら、甘えたように言ってみたわ。

 「僕も、お腹が空いているよ」

 良かった。私だけなら、食いしん坊と思われたかも。

 「いいわよ。ここの街の名物って、何かしら?」

 私は、テルースにもたれながら、もう一度、甘えたように聞いて見たの。

 「ここは、森が多くて、色んな動物が取れるらしいよ」

 テルースは、嬉しそうに答えてくれているわ。

 「なら、肉料理ね。テルースは、それでいい?」

 「僕は、構わないよ。ユイカが決めてね」

 私達は、ホテルのロビーを出て、大通りを歩いていた。至る所に軍人がいたの。しかも、私達を見ると、何か、ひそひそと話をしているわ。あからさまに、私達を見ている軍人もいたわ。

 「ユイカ、何か、見られているようだね」

 テルースも、見られていることを感じているみたい。

 「そうね。気味が悪いわ」

 私は、ホテルのロビーでのこともあったので、少し、怖くなっていたの。

 「早く、店を決めて、入ろうか?」

 良かった。テルースも、少しは、気にしているみたいね。さっきは、普通の事のように、していたけど、私の事を心配してくれているのかなぁ。

 「テルース、私は、それでいいわ。テルースが決めてね」

 私達は、近くの店に飛び込んだの。どんな料理を提供するのか、私は、あまり、見ていなかったけど、テルースと一緒なら、安心。
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