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第27章 ソーロン帝国の秘密編

2710.魔人族の商人

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 マリーから、思念伝達で、連絡が入った。それによると、魔人族の区別が出来るのは、魔人族の者であれば、誰でもできるということだ。しかし、今回は、魔人族を見張るための物だから、当然、魔人族を雇う訳にはいかない。

 仕方がないので、他の方法を考えることにした。魔人族は、見た目に違いはないが、唯一、異なることがある。それは、使える魔法の種類だ。

 魔人族は、その種族によって、扱える魔法が異なる。そこで、どのような魔法が扱えるかを知ることで、どの部族の魔人族かを知ることが出来る。おそらく、魔人族通しでは、それを直感で、把握できているのだろう。

 私も、スキル鑑定を使って、識別することは可能だろうが、人物に対してスキル鑑定をこれまで、使ってこなかったので、一度に複数の人物に対して、発動することが困難な状態だ。そして、私以外には、スキル鑑定を使うことが出来ないので、神具を作って、識別することにした。そして、それをマリー達に持たせることにした。

 暫くして、マリーから、思念伝達で、連絡が入った。

 「ムーン様、監視を続けていたところ、以前の様に、赤の竜人ルーブロマ・ドラコが魔人と商談しているのを確認しました」

 「そうか、それで、どの部族だった?」

 「炎の魔人族、氷の魔人族、雷の魔人族の3部族が居ました。それぞれ、一人ずつで、代表と思われます」
 
 「土の魔人族はいなかったか?」

 「はい」

 「それで、何を交易していた?」

 「あの時に倉庫に在った物です」

 「なに? そうすると、単なる日用品だということか?」

 「はい、そうです」

 マリーからの報告によると、魔人族は、戦争の準備をしているわけではないようだ。土の魔人族以外は、狩猟によって、生計を立てている。従って、魔物から得られる肉や毛皮以外は、交易によって、手に入れるほかに方法がないようだ。しかし、ソーロン帝国によって、領土が閉鎖されている現状では、交易が出来る相手がいない。そこに、赤の竜人ルーブロマ・ドラコが入り込んだようだ。

 竜人族は、この世界から隔離された所にいるようで、遺跡の転移魔法陣を用いないと行き来ができないようだ。特に、私達の住んでいる世界に攻撃を仕掛けようとしているわけでもないので、暫くは、静観することにした。

 魔人族や竜人族の動向については、引き続きマリーに監視させることにして、私は、別の案件に取り掛かることにした。それは、以前、レンゲーに頼まれていたもので、コンパスに使う磁石の産出量が減っているので、調べて欲しいということだった。

 私は、取り敢えず、転移魔法で、アストーリア大陸の基地まで移動した。それから、レンゲーに思念伝達で、連絡を取った。

 「レンゲーか? 今、アストーリア大陸の基地にいる。現在の状況を教えてくれないか?」

 「はい、以前報告したことと、大差はないのですが、コンパスの為の磁石の量が極端に減少しているのです」

 「分かった。まず、産出している場所を調べてみることにする」

 「お願いします」

 私は、レンゲーとの思念伝達を切った。そして、地下のトンネルを使って、アストーリア大陸の中心にある磁石を取り出している場所に向かうことにした。

 「おかしいな? 以前は、地場の性で、体調がわくる成ったのに、今回は、耐えることができる」

 どうも、磁場自体の力が低下しているようだ。そのため、新たな磁石が生成できていないのかもしれない。私は、再度、レンゲーと思念伝達で、連絡を取った。

 「レンゲー、そろそろ、自然磁石を諦めないといけないかもしれないね」

 「それでは、コンパスの生産を止めるということですか?」

 「そうではない。これからは、自然磁石に代わる物を作る必要がある。そのためには、磁石に出来る鉱石を確保しないといけない。幸い、鉱山は、一部の鉱石を除いて、注目されていないから、容易に確保できるだろう」

 「それでは、まず、各国の鉱山になりそうな場所を買い占めて行きましょうか」

 「そうだな。今は、知られていないような貴重な金属を確保していきたいから、金属を分析するための研究所を先に創ってくれるかな?」

 「はい、分りました。そこに集める研究員は、どうしましょうか?」

 「できるだけ多くの錬金術師を集めてくれるかな。そして、魔法学院の教師の中から、鉱石に関する研究を行っている者を雇ってくれ。実績に捕らわれずに、数を優先してくれ」

 「はい、分りました」

 「それから、出来るだけ、若い研究員を優先してくれ」

 「はい、了解しました」

 「それから、全体の指揮は、カーリンに任せるように」

 「はい。でも、カーリンは、忙しそうにしているので、私からは、話辛いです」

 「分かった。私から、話しておくよ」

 「お願いします」

 私は、レンゲーとの思念伝達を切って、カーリンに思念伝達で連絡を取った。

 「カーリン、今、いいかな」

 「はい、大丈夫です」

 「実は、新しい計画を実行して行く予定だが、それの指揮をカーリンに任せたい」

 「どのような内容ですか?」

 「有益な金属の発見と鉱山の開発だ」

 「私の知識が役に立ちますか?」

 「もちろんだとも。油田で、採掘したのと同じように、有望な土地を採掘して、得られた試料から鉱山に適した場所を探して欲しい。当然、金属の研究も並行して行う予定だ」

 「分かりました。でも、何かありましたら、相談に乗ってくださいよ」

 「分かった。それから、必要な道具は、私が造るから、遠慮なしに言ってくれ」

 「はい。よろしくお願いいたします」

 カーリンとの思念伝達を切った。これから、暫くは、研究に没頭しないといけなくなりそうだ。
 
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