上 下
205 / 270
 第24章 カタリナの結婚編

2406.カタリナの結婚発表

しおりを挟む
 私は、カタリナの居る城に転移魔法で、移動した。今日は、カタリナの父親のエドと約束したカタリナの結婚発表の日だった。私は、カタリナ付きの侍女に、これまでのカタリナの様子を聞いた。

 「キョーリン、何か、変わったことはなかったか?」

 「ムーンさん、特に変化はありません」

 「カタリナは、今、どこに居る?」

 「はい、城のお部屋に居られます」

 「分かった」

 私は、キョーリンと別れて、カタリナの部屋に入って行った。

 「カタリナ、何か、不自由な事はない?」

 「あら、ムーンさん、久しぶりね」
 
 「そうかな?」
 
 「そうよ」

 「でも、今日はやっと、私達に結婚発表を行うことが出来る。嬉しいよ」

 「私は、少し憂鬱よ」

 「どうして?」

 「私は、もっと、遊びたかったの」

 「別に、結婚しても、今まで通り、自由に暮らしていいよ」

 「本当? 色々、制約が増えるのじゃないの?」

 「そんなことはないよ。カタリナは、今まで通りに生活したらいいよ」

 「それなら、いいわ」

 私は、小さなカタリナを抱き上げて、額にキスをして、部屋を出た。そして、キョーリンにカタリナをしっかり監視しておくように言った。

 私は、カタリナの居る城の地下に研究施設を作って、ショーバェの研究所と同じ実験ができるようにしている。ショーバェの研究所の研究が見える様に、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタのモニターを設置し、助手として5人雇っていた。そして、監視用として、マリーを張り付けていた。

 珍しく、マリーから、思念伝達で連絡が入った。

 「マリー、どうした? 何か、研究に問題でもあったのか?」

 「いいえ、そうではありません。研究は順調です。予想以上に、安定的に製作できるようになりました」

 「そうか、それで、それと同じことは、マリーの所でもできるのか?」

 「はい、大丈夫です。追加で、同じ施設をもう一つ作って貰えませんか? それと、あと4人助手を雇って貰いたいのです?」

 「分かった。でも、何故、必要なのだ」

 「ムーンさんの希望している研究は、リンドウの物と少し違うのではないかと思っています」

 「確かに、少し違うが、それと何か、関係するのか?」

 「はい、リンドウの研究の流れは、ほぼ、把握できました。でも、リンドウは、ムーンさんが、思っている方向に研究を進める様子はありません。ですから、もう一つの施設で、独自に研究を進めて行きたいと思います。つまり、技術的には、十分な研究結果が得られているので、それを実践していきたいのです」

 「それはありがたい。是非とも進めてくれ」

 「それと、もう一つ、確認したいのですが、この実験は、早く実現した方がいいのですね?」

 「そうだよ。できるだけ、早く実現したい」

 「そのためには、手段は択ばないと」

 「その通り、手段は択ばないつもりだ」

 「それなら、成人女性を実験の治験者として、10人ほど雇ってもいいですか?」

 「それは、構わないが、その研究所に入れるわけにはいかないよ」

 「はい、分かっています。そのために、どこかに、治療院を作って貰えませんか?」

 「分かった。至急、準備する」

 「了解しました」

 私は、マリーとの思念伝達を打ち切って、リンダに思念伝達で、連絡を取った。

 「ムーンだけど、今いいかな?」

 「いいわよ。こっちに来る?」

 「分かった。直ぐに、行くよ」

 私は、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。

 「こんにちわ。リンダ、元気だった?」

 「あら、直ぐに来たのね。そんなに、急ぐことだったの?」

 「リンダに、会いたかったからだよ」

 私は、リンダを抱きしめ、フワフワの尻尾を撫でた。そして、軽く、キスをした。

 「今は、だめよ。仕事が残っているの」

 「分かった。それじゃ、お願いを聞いてくれ」

 「何?」

 「例の実験を、本格的に進めることになった。それで、カタリナの城の近くに、治療院を作るつもりだ。それに必要な土地を確保してほしい。それと、研究の為の治験者を集めたい。費用は、通常の従業員と同じだけ出す。拘束期間は、1週間だ。それと、若い女性で、未婚者に限ってくれ。できれば、処女がいい」

 「わかったわ。土地は、直ぐに用意するわ。建物などは、ムーンが造るのね」

 「そうだ」

 「それから、治療院の従業員は、どうするの?」

 「それは、私が用意する」

 「分かったわ」

 「よろしく」

 私は、リンダをしっかりと抱きしめて、別れを告げた。そして、カタリナの城に転移魔法で、移動して、結婚発表の式典に臨んだ。

 式典は、王位継承権第1位に相応しい盛大な物となった。当然、国王を初め、多くの有力な貴族がほぼすべて集まっていた。これで、私は、正式にカタリナの夫として、表舞台に立つことが出来る。

 カタリナは、多くの来賓に囲まれて、これまで、嫌がっていたとは思えないほど、生き生きとしていた。どうやら、私を夫として、やっと、受け入れて貰えたようだ。

 私は、王位継承権第1位として、カタリナを国政に参加させていく準備を早急に始めることにした。

 式典が終わることに、リンダから、思念伝達で、連絡が入った。土地を確保したようだ。私は、式典後、直ぐに、リンダに会いに転移魔法で、リンダの部屋に移動した。

 そして、治療院の施設の建設を済ませ、直属の部下を従業員として、5人配置した。そして、思念伝達で、マリーにこれまでの内容を伝えた。後は、マリーに任せることにした。

 私は、久しぶりのリンダとの再会を楽しんだ。夕食を共に取り、夜中までの時間を共有した。それから、ガーベラの部屋に転移魔法で、移動して、その夜を過ごした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

処理中です...