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第23章 カタリナの王位継承編

2306.カタリナの誕生日

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 カタリナ付きの侍女キョーリンに聞いた所、カタリナは、城で、誕生日パーティーを行うつもりだ。だが、その準備は、特に何もしていないらしい。私は、キョーリンに、パーティーの準備を指示しておいた。

 案内状も出さずに、誰を呼ぶつもりなのか? それとも、2人だけのパーティーをしたいのか?

 私が、案内状を出せば、王位継承権第3位のカタリナと懇意になりたい思っている者達は、誕生日パーティーに参加するだろう。そして、この機会に、私は、カタリナの結婚相手として、正式に紹介されることにしても良いのでは、と思った。

 だが、カタリナの気持ちを確認しておかないと、今後の対応が難しくなる。そのため、これまで、噂すら、流していない。私とカタリナとの関係を知っている者は、ほどんどいない。
 
 だが、いずれ、正式な場所で発表しないといけないと、言うことも分かっている。

 仕方がないので、私は、カタリナに直接、話をすることにした。

 私は、転移魔法で、カタリナの部屋に移動した。そして、カタリナに声を掛けた。

 「カタリナ、お早う」

 「あら、ムーンさん、早いのね。今日は、何の用事?」

 「カタリナの誕生日パーティーのことだよ」

 「あれ、私に任せてくれるのじゃないの?」

 「そうだよ。カタリナに任せるよ。でも、カタリナが何も用意していないって聞いたから?」

 「ちゃんと、準備はしているわ」

 「それなら、誰を呼びたいのか、だけでも教えてよ」

 「私は、誰も呼ばないわ。来たい人が来ればいいの。私の誕生日を知っていて、誕生日を祝いたい人だけが来ればいいの」

 「カタリナ、そんなことを貴族がするわけがないじゃないか。招待されていないのに、来るわけがない。そんな失礼なことをする貴族はいないよ」

 「それなら、ムーンさん、貴方も出席しないの?」

 「もちろん、出席するよ。当たり前だ」

 「私の父も出席するわ。それで、いいの。でも、ご機嫌取りは、来てほしくないの」

 「分かった。それでいいよ」

 私も、諦めた。通常ではありえないが、カタリナの自由に任せることにした。

 いよいよ、誕生日パーティーの開始だ。会場にはすでに多くの侍女や執事が用意していた。

 だが、当然だが、誰も来なかった。カタリナは、本当に友達にも何も伝えていないようだ。それとも、友達自体いないのかも知れない。

 「カタリナ、あちらで、何か、食べないか?」

 「そうね。少し食べるわ」

 私達は、テーブルに並べられた料理を皿の少し取り、食べた。侍女から、飲み物を受け取って、飲み干した。

 「ダンスも、できるよ。カタリナ、踊って貰えますか?」

 「はい、ムーンさん。いいわよ」

 私達は、ホールの中央で、ダンスをした。

 「二人だけのダンスって、いいね」

 「そうかな? もう少し、賑やかなほうが良かったわ」

 「そうなのか。まあ、あとで、サプライズを用意しているよ」

 「あら、ムーンさんの誕生日プレゼントね。楽しみだわ」

 「カタリナは、今、何か、欲しいものはあるの?」

 「特にないわ」
 
 私は、ダンスを止めて、カタリナを抱きしめた。そして、額ににキスをして、侍女に合図を出した。

 奥の方から、大きなケーキが運ばれてきた。それと共に、誕生日の音楽が鳴り始めた。

 「カタリナ、誕生日おめでとう」

 「「カタリナ様、誕生日、おめでとうございます!」」

 私は、カタリナを抱き上げて、大きなケーキの前に移動した。そして、ナイフを渡して、ケーキを切って貰った。

 私は、ケーキを少し、掬って、カタリナに食べさせた。

 「おいしい」

 「良かった。喜んで貰えて」

 「これが、ムーンさんのサプライズなの?」

 「いいや、これからだよ」

 私は、土魔法で創った、真っ白なペガサスを動かして、ホールの中央に移動させた。

 「さあ、少し、散歩しよう」

 私は、カタリナをペガサスに乗せて、その後ろに私が乗り、手綱を取って、ペガサスを動かし始めた。土魔法でペガサスを動かしているだけだが、いかにも、生きているように、動かすことが出来た。

 「さあ、しっかりつかんで置いてね。行くよ」

 カタリナは、私の腰に抱き付いて来た。

 ペガサスの羽を羽ばたかせて、それと同時に風魔法で、下からの風で、ペガサスを浮き上がらせた。それと共に、私達を闇魔法で、結界で覆い、風を受けないようにした。

 更に、強い風で、城の上を旋回した。

 「私からの、誕生日プレゼントは、どうかな?」

 「凄いね。これって、ムーンさんの魔法なの?」

 「そうだよ。カタリナの為の、特別な魔法だよ」

 「うれしい」

 カタリナは、本当に喜んでいるようだ。私は、カタリナが落ちないように、お姫様抱っこをして、抱きしめた。

 「カタリナ、大好きだよ。カタリナは?」

 「私も、好きよ」

 「そうか、良かった」

 私達は、暫くの間、空の旅を楽しんでから、城の中庭に降りた。そして、空から、雪を降らせて、中庭を真っ白にしていった。

 「さあ、これが私の誕生日プレゼントだよ」

 「きれいね」

 何とか、無事にカタリナの誕生日パーティーは、終えることが出来た。でも、これから、どうしようか? 悩みが増えた感じがした。
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