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第20章 恨まれたサルビア
2008.新たな侍女
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私は、もう一件治療に行くつもりだ。メロヴィング家の娘が金喰虫の患者で、かなり衰弱しているらしい。
「マリー、起きているか!」
「はい、ムーン様、何か、御用ですか?」
「これから、私とナターシャは、出かけてくる。その間、留守を頼む。それから、一つ注意しておく、2階の書斎には、お前を含めて、誰もいれるな!」
「分かりました」
「それじゃ、ナターシャ、行くぞ」
私達は、メロヴィング家に向かって、歩いて行った。このメロヴィング家の屋敷も、そう遠くない所にある。私は、手鏡を見て、マリーの様子を確認した。昨日、寝る前に屋敷の至る所に遠隔投影接続器を取り付けておいた。そして、1つの手鏡で、その様子を場所を切り替えながら、見ることが出来る様にしておいた。今の所、マリーは、真面目に働いているようだ。
「コン、コン。すみません」
「どちら様ですか?」
「突然の訪問をお許しください。私は、医師のムーンと言います」
「その医師が、このメロヴィング家に何か用ですか?」
「こちらのご息女が病気になったと聞きました。少しは、お役に立てると思い、伺いました」
「そうですか、でも、主治医が今診ています。申し訳ありませんが、初めての方に大事な娘を診てもらう訳にはいきません」
「そうですか」
私は、面倒は、嫌いなので、引き返そうとした。するt、ナターシャが、声を出した。
「それで、よろしいのですか? こちらのムーン医師はブルノン家の方々を既に治療済みです。また、あの有名なサルビアの病気も治しました」
「えっ、あのサルビアの病気を治したのですか?」
「そうですよ。それでも、追い返すのですか?」
「それじゃ、金喰虫を完治できるのですか?」
「そうです。それでも、追い返すのですか」
ナターシャは、さも自分が治しているかのように雄弁だ。恐れ入った。
「分かりました。失礼しました。どうぞ、お入りください」
私達は、メロヴィング家の主人について、2階に上がって言った。女の子が寝ているベッドの周りには、主治医や侍女が取り囲んでおり、患者の女の子が僅かに隙間から見えるだけだった。
「先生、すみません。このムーン医師にも、診てもらいます」
「ご主人、何を言っているのですか。この私が診ているのに、他の医師を連れて来たという訳ですか。それなら、私は、もう不要ですね」
「まあ、そう言わずに、少しだけですので、許して下さい。その分、何時もより多くお渡ししますので」
「まあ、そういうことなら、少し、この医師の腕前を見てみますか」
私は、間を割って入って、ベッドに寝ている女の子の傍に行った。そして、スキル鑑定で、様子を調べてみた。やはり、金喰虫で間違いがない。しかし、衰弱が激しい。
そこで、まず、体力を回復させるために、赤のポーションと青のポーションを1本ずつ、女の子に飲ませた。一気に飲めないので、少しずつ口に含ませた。流石に、父親の前なので、口移しは、避けた。
時間が掛かったが、漸く、ポーションを飲み終えた。少し、ほほに赤みが差してきた。
「解呪魔法」
私は、光魔法で、闇魔法を取り除いた。先ほどより、随分よくなった。
「うーん、私、どうしたの?」
「おぉ、意識が戻った。お父さんだよ。起きなくていいからね」
「ご主人、もう少し待ってください。まだ、治療が完了していません」
「あぁ、これは、ムーン先生、すみません」
私は、スキル鑑定で、女の子の様子を確認した。もう大丈夫だと思うが、念のため、もう一度魔法を起動した。
「解呪魔法
これで、大丈夫だろう。
ご主人、終わりました」
メロヴィング家の主人は、飛び上がって喜んだ。先ほどの医師はいつの間にか、消えていた。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
「それじゃ、これで、失礼します」
「あっ、ムーン先生、待ってください。謝礼を受け取ってください」
「いえいえ、謝礼は、結構です。どなたからも、受け取っていません。これは、私の善意でやっていることです」
「それでは、私の気がすみません。何か、私にできることがあれば、言ってください」
「それでは、一つだけ。でも、変なお願いなので、嫌なら、そう言ってくださいね」
「嫌なことなど、ありません。どうぞ、遠慮なしに言ってください」
「分かりました。実は、優秀な侍女を必要としているのです。そこで、この屋敷の侍女を私に貰えませんか?」
「いいですとも、そんなことで良いのでしたら、何人でも連れて行ってください」
メロヴィング家の主人は、素早く侍女を全員集めて、私の前に並べた。
「当家の侍女は、これで全員です。気に入った侍女を連れて行ってください」
私は、スキル鑑定で、侍女を調べた。すると、2人がブローチを隠し持っていた。
「それでは、この方と、そちらの方を所望します。よろしいですか?」
「結構ですとも。カモミール、ダリア、今日から、ムーン先生の所で働きなさい。今日までの給料と退職金を渡すから、荷物をまとめなさい」
「「はい、旦那様」」
カモミールとダリアは、お互いに顔を見合わせた。お互いを知っているようだ。
私達4人は、屋敷を出て、自分たちの屋敷に着いた。
「これからは、この屋敷で働いて貰う」
「「はい、ムーン様」」
「マリー、下りてきなさい」
「はい、只今」
「今度、お前と一緒に働いて貰う、カモミールとダリアだ。しっかりと、教えて置け」
「はい、分かりました。部屋は、どうしますか?」
「この2人は、同じ部屋に住まわせろ。マリーは、一人で、部屋を使え」
「分かりました」
マリーは、2人を2階に連れて行き、部屋を案内していた。
この調子では、この屋敷では、部屋が足らなくなってしまう。もう、一軒必要なようだ。
「マリー、起きているか!」
「はい、ムーン様、何か、御用ですか?」
「これから、私とナターシャは、出かけてくる。その間、留守を頼む。それから、一つ注意しておく、2階の書斎には、お前を含めて、誰もいれるな!」
「分かりました」
「それじゃ、ナターシャ、行くぞ」
私達は、メロヴィング家に向かって、歩いて行った。このメロヴィング家の屋敷も、そう遠くない所にある。私は、手鏡を見て、マリーの様子を確認した。昨日、寝る前に屋敷の至る所に遠隔投影接続器を取り付けておいた。そして、1つの手鏡で、その様子を場所を切り替えながら、見ることが出来る様にしておいた。今の所、マリーは、真面目に働いているようだ。
「コン、コン。すみません」
「どちら様ですか?」
「突然の訪問をお許しください。私は、医師のムーンと言います」
「その医師が、このメロヴィング家に何か用ですか?」
「こちらのご息女が病気になったと聞きました。少しは、お役に立てると思い、伺いました」
「そうですか、でも、主治医が今診ています。申し訳ありませんが、初めての方に大事な娘を診てもらう訳にはいきません」
「そうですか」
私は、面倒は、嫌いなので、引き返そうとした。するt、ナターシャが、声を出した。
「それで、よろしいのですか? こちらのムーン医師はブルノン家の方々を既に治療済みです。また、あの有名なサルビアの病気も治しました」
「えっ、あのサルビアの病気を治したのですか?」
「そうですよ。それでも、追い返すのですか?」
「それじゃ、金喰虫を完治できるのですか?」
「そうです。それでも、追い返すのですか」
ナターシャは、さも自分が治しているかのように雄弁だ。恐れ入った。
「分かりました。失礼しました。どうぞ、お入りください」
私達は、メロヴィング家の主人について、2階に上がって言った。女の子が寝ているベッドの周りには、主治医や侍女が取り囲んでおり、患者の女の子が僅かに隙間から見えるだけだった。
「先生、すみません。このムーン医師にも、診てもらいます」
「ご主人、何を言っているのですか。この私が診ているのに、他の医師を連れて来たという訳ですか。それなら、私は、もう不要ですね」
「まあ、そう言わずに、少しだけですので、許して下さい。その分、何時もより多くお渡ししますので」
「まあ、そういうことなら、少し、この医師の腕前を見てみますか」
私は、間を割って入って、ベッドに寝ている女の子の傍に行った。そして、スキル鑑定で、様子を調べてみた。やはり、金喰虫で間違いがない。しかし、衰弱が激しい。
そこで、まず、体力を回復させるために、赤のポーションと青のポーションを1本ずつ、女の子に飲ませた。一気に飲めないので、少しずつ口に含ませた。流石に、父親の前なので、口移しは、避けた。
時間が掛かったが、漸く、ポーションを飲み終えた。少し、ほほに赤みが差してきた。
「解呪魔法」
私は、光魔法で、闇魔法を取り除いた。先ほどより、随分よくなった。
「うーん、私、どうしたの?」
「おぉ、意識が戻った。お父さんだよ。起きなくていいからね」
「ご主人、もう少し待ってください。まだ、治療が完了していません」
「あぁ、これは、ムーン先生、すみません」
私は、スキル鑑定で、女の子の様子を確認した。もう大丈夫だと思うが、念のため、もう一度魔法を起動した。
「解呪魔法
これで、大丈夫だろう。
ご主人、終わりました」
メロヴィング家の主人は、飛び上がって喜んだ。先ほどの医師はいつの間にか、消えていた。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
「それじゃ、これで、失礼します」
「あっ、ムーン先生、待ってください。謝礼を受け取ってください」
「いえいえ、謝礼は、結構です。どなたからも、受け取っていません。これは、私の善意でやっていることです」
「それでは、私の気がすみません。何か、私にできることがあれば、言ってください」
「それでは、一つだけ。でも、変なお願いなので、嫌なら、そう言ってくださいね」
「嫌なことなど、ありません。どうぞ、遠慮なしに言ってください」
「分かりました。実は、優秀な侍女を必要としているのです。そこで、この屋敷の侍女を私に貰えませんか?」
「いいですとも、そんなことで良いのでしたら、何人でも連れて行ってください」
メロヴィング家の主人は、素早く侍女を全員集めて、私の前に並べた。
「当家の侍女は、これで全員です。気に入った侍女を連れて行ってください」
私は、スキル鑑定で、侍女を調べた。すると、2人がブローチを隠し持っていた。
「それでは、この方と、そちらの方を所望します。よろしいですか?」
「結構ですとも。カモミール、ダリア、今日から、ムーン先生の所で働きなさい。今日までの給料と退職金を渡すから、荷物をまとめなさい」
「「はい、旦那様」」
カモミールとダリアは、お互いに顔を見合わせた。お互いを知っているようだ。
私達4人は、屋敷を出て、自分たちの屋敷に着いた。
「これからは、この屋敷で働いて貰う」
「「はい、ムーン様」」
「マリー、下りてきなさい」
「はい、只今」
「今度、お前と一緒に働いて貰う、カモミールとダリアだ。しっかりと、教えて置け」
「はい、分かりました。部屋は、どうしますか?」
「この2人は、同じ部屋に住まわせろ。マリーは、一人で、部屋を使え」
「分かりました」
マリーは、2人を2階に連れて行き、部屋を案内していた。
この調子では、この屋敷では、部屋が足らなくなってしまう。もう、一軒必要なようだ。
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