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第20章 恨まれたサルビア
2005.真実のテラ
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ガーベラ宰相の追及に私は、困惑してしまった。もう、すべてを話さないといけないのかもしれない。
そして、その方が、私は、楽だ。
「ガーベラ宰相、どこまで、ご存じですか?」
「やっと、話す気になったのね」
「テラjrの事は、リンダから聞きましたか?」
「テラjrは、レイカの子供だということ?」
「それは、リンダが言ったのですか?」
「そんなこと、聞かなくても分かるわ。テラjrの顔を見れば、誰の子供か、分かるわ」
「そうですね。わかりますね。テラjrは、レイカの実の子供です。でも、レイカは、暗示を掛けられていて、自分の子供とは知らないのです」
「なぜ、教えてやらないの。可哀そうよ」
「でも、テラは、レイカの意思を無視して、妊娠させたのです。ですから、知らせない方がいいのかと思いました」
「それは、だめ。どんな事情があっても、自分の子供と認識しておかないとだめよ」
「それは、誰が伝えるのですか? ガーベラ宰相が言って貰えますか?」
「だめよ。あなたが、言わないとだめよ。張本人でしょ」
「えっ、私の事を張本人と言っているのですか?」
「だから、もう、いいのよ。普通に話しても。私には、すでに分かっているのだから」
ガーベラは、また、私の所にやって来て、私の後ろに回った。そして、抱き付いてきた。
ガーベラの柔らかい胸を押し当ててくる。どうしたら、いいのか? もう、頭が真っ白になってしまった。何が正解なのか分からない。でも、ガーベラには、正直に言わないといけないような気がして来た。あの、「病めるときも………」のフレーズが頭の中に流れて来た。
「わかった。でも、びっくりしないでよ」
「いいわ。何を聞いても、大丈夫よ」
「本当かな? ちょっと、心配だけど、ガーベラには、正直に話すよ」
「いいわよ。ちゃんと聞くから」
「まず、今の状態から、話すね」
私は、剣を取り出して、左手首を切り落とした。
「何をするの。治癒魔法を使ってよ」
ガーベラは、慌てている。私の左手首からは、血のようなものが流れている。私は、床に落ちている左手を足で踏みつぶした。すると、粉々になり、砂粒の様になった。
「何、これ、土なの?」
「そうだよ。ガーベラ、騙していてごめん。私、ムーンの身体は、人間の身体じゃないんだ」
「えっ、貴方は、ゴーレムなの?」
「うーん、似ているのだけど、少し違うかな」
「どう違うの? 岩の人形が動くのだから、ゴーレムよ」
「僕は、ヤドカリのように、この身体を別の身体に移せるんだ」
私は、もう、すべてをガーベラに話すと決めたのだから、あの場所が一番いいように思う。
「ガーベラ、ちょっと僕の横に来てくれる。別の場所に移動して、話すよ」
ガーベラは、私を信じて、横に来た。私は、ガーベラの腰に手を回して、抱きかかえた。そして、転移魔法で、地下牢前の工房に移動した。
「さあ、着いたよ」
私は、がーべラの手を引っ張って、例のガラスの箱の前に連れて来た。
「あっ、テラの死体がここにある。あなたが持って来たの。墓を荒らしたの?」
「そうだね。墓から持って来たよ。この身体を調べられると困るから、盗んで来たんだ」
私は、テラの身体をガラスの箱から出した。そして、テラの身体に魂の刻印用の魔法陣を描いて、ムーンの身体から、テラの身体に魂を移した。
「ガーベラ、テラだよ」
「えっ、死んでいなかったの?」
「いや、死んだよ。そして、生き返ったんだ」
「やっぱり、テラjrは、テラの転生した姿なのね」
「その通り、ガーベラ、見事だね」
「でも、テラがゴーレムとは、思ってもいなかったわ」
「うーん、ゴーレムと言われるのは、抵抗があるよ」
「ヤドカリと言ってもいいけど、結局同じことよ」
「いや、参った。ガーベラには、いつも頭があがらないよ」
「そうね。テラの言うとおり、私から、レイカに伝えるわ。でも、ゴーレムってことは、隠すね」
「そうしてくれる? ありがたい」
やっぱり、レイカには、厳しいだろうなぁ。真実を受け入れるのは、自分が知らない間に子供を作ったことすら、信じがたいことだろうから。
でも、流石、ガーベラは、宰相の事はある。ちょっとぐらいでは、びっくりもしないようだ。
「もう少しだけ、秘密があるんだ」
「何よ。もうすべて話して」
「実は、僕は、異世界召喚されたんだ。前の世界で死んで、この世界に召喚されたんだ」
「それは、どの神殿なの?」
「召喚したのは、賢者サビオなんだ。前の国王に騙されて、地下牢に監禁されていたんだ」
「そうなんだ。それって、何年前の話?」
「賢者サビオの話だと、1000年前のヘノイ王国の話なんだ」
「それじゃ、騙した国王はとっくに、死んでいるわね」
「そうなんだ。それで、僕は、魂だけこの世に召喚されたので、身体がなかったんだ。そこで、土人形に魂を刻印して、人間の様に生きてきたんだ」
「大体、分かったわ。それで、どうして、レイカの子供になろうと思ったの? 私でも良かったのに」
「ごめん。レイカの魔力が欲しかったんだ。ガーベラは、魔法をうまく使えないから」
「そうだね。魔力の事を言われると辛いわ」
「本当にごめん」
「最後に、テラjrと今の僕は分離しているだけで、2人で、一人だよ。魂は、テラのままだよ」
ガーベラは、私に抱き付いてきた。そして、唇を重ねた。
そして、その方が、私は、楽だ。
「ガーベラ宰相、どこまで、ご存じですか?」
「やっと、話す気になったのね」
「テラjrの事は、リンダから聞きましたか?」
「テラjrは、レイカの子供だということ?」
「それは、リンダが言ったのですか?」
「そんなこと、聞かなくても分かるわ。テラjrの顔を見れば、誰の子供か、分かるわ」
「そうですね。わかりますね。テラjrは、レイカの実の子供です。でも、レイカは、暗示を掛けられていて、自分の子供とは知らないのです」
「なぜ、教えてやらないの。可哀そうよ」
「でも、テラは、レイカの意思を無視して、妊娠させたのです。ですから、知らせない方がいいのかと思いました」
「それは、だめ。どんな事情があっても、自分の子供と認識しておかないとだめよ」
「それは、誰が伝えるのですか? ガーベラ宰相が言って貰えますか?」
「だめよ。あなたが、言わないとだめよ。張本人でしょ」
「えっ、私の事を張本人と言っているのですか?」
「だから、もう、いいのよ。普通に話しても。私には、すでに分かっているのだから」
ガーベラは、また、私の所にやって来て、私の後ろに回った。そして、抱き付いてきた。
ガーベラの柔らかい胸を押し当ててくる。どうしたら、いいのか? もう、頭が真っ白になってしまった。何が正解なのか分からない。でも、ガーベラには、正直に言わないといけないような気がして来た。あの、「病めるときも………」のフレーズが頭の中に流れて来た。
「わかった。でも、びっくりしないでよ」
「いいわ。何を聞いても、大丈夫よ」
「本当かな? ちょっと、心配だけど、ガーベラには、正直に話すよ」
「いいわよ。ちゃんと聞くから」
「まず、今の状態から、話すね」
私は、剣を取り出して、左手首を切り落とした。
「何をするの。治癒魔法を使ってよ」
ガーベラは、慌てている。私の左手首からは、血のようなものが流れている。私は、床に落ちている左手を足で踏みつぶした。すると、粉々になり、砂粒の様になった。
「何、これ、土なの?」
「そうだよ。ガーベラ、騙していてごめん。私、ムーンの身体は、人間の身体じゃないんだ」
「えっ、貴方は、ゴーレムなの?」
「うーん、似ているのだけど、少し違うかな」
「どう違うの? 岩の人形が動くのだから、ゴーレムよ」
「僕は、ヤドカリのように、この身体を別の身体に移せるんだ」
私は、もう、すべてをガーベラに話すと決めたのだから、あの場所が一番いいように思う。
「ガーベラ、ちょっと僕の横に来てくれる。別の場所に移動して、話すよ」
ガーベラは、私を信じて、横に来た。私は、ガーベラの腰に手を回して、抱きかかえた。そして、転移魔法で、地下牢前の工房に移動した。
「さあ、着いたよ」
私は、がーべラの手を引っ張って、例のガラスの箱の前に連れて来た。
「あっ、テラの死体がここにある。あなたが持って来たの。墓を荒らしたの?」
「そうだね。墓から持って来たよ。この身体を調べられると困るから、盗んで来たんだ」
私は、テラの身体をガラスの箱から出した。そして、テラの身体に魂の刻印用の魔法陣を描いて、ムーンの身体から、テラの身体に魂を移した。
「ガーベラ、テラだよ」
「えっ、死んでいなかったの?」
「いや、死んだよ。そして、生き返ったんだ」
「やっぱり、テラjrは、テラの転生した姿なのね」
「その通り、ガーベラ、見事だね」
「でも、テラがゴーレムとは、思ってもいなかったわ」
「うーん、ゴーレムと言われるのは、抵抗があるよ」
「ヤドカリと言ってもいいけど、結局同じことよ」
「いや、参った。ガーベラには、いつも頭があがらないよ」
「そうね。テラの言うとおり、私から、レイカに伝えるわ。でも、ゴーレムってことは、隠すね」
「そうしてくれる? ありがたい」
やっぱり、レイカには、厳しいだろうなぁ。真実を受け入れるのは、自分が知らない間に子供を作ったことすら、信じがたいことだろうから。
でも、流石、ガーベラは、宰相の事はある。ちょっとぐらいでは、びっくりもしないようだ。
「もう少しだけ、秘密があるんだ」
「何よ。もうすべて話して」
「実は、僕は、異世界召喚されたんだ。前の世界で死んで、この世界に召喚されたんだ」
「それは、どの神殿なの?」
「召喚したのは、賢者サビオなんだ。前の国王に騙されて、地下牢に監禁されていたんだ」
「そうなんだ。それって、何年前の話?」
「賢者サビオの話だと、1000年前のヘノイ王国の話なんだ」
「それじゃ、騙した国王はとっくに、死んでいるわね」
「そうなんだ。それで、僕は、魂だけこの世に召喚されたので、身体がなかったんだ。そこで、土人形に魂を刻印して、人間の様に生きてきたんだ」
「大体、分かったわ。それで、どうして、レイカの子供になろうと思ったの? 私でも良かったのに」
「ごめん。レイカの魔力が欲しかったんだ。ガーベラは、魔法をうまく使えないから」
「そうだね。魔力の事を言われると辛いわ」
「本当にごめん」
「最後に、テラjrと今の僕は分離しているだけで、2人で、一人だよ。魂は、テラのままだよ」
ガーベラは、私に抱き付いてきた。そして、唇を重ねた。
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