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 第20章 恨まれたサルビア

2004.ガーベラ宰相の追及

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 サルビアの件は、暫く様子を見ることにした。サルビアの侍女がカネーダの回し者だということも、サルビアには内緒にしている。

 特に、何をしてくるか分からないが、対処できそうなので、余計な心配をさせたくなかった。

 私は、フットーヒ侯爵の屋敷に転移魔法で移動した。私も、このフットーヒ侯爵の家の子供だ。

 「只今、帰りました」

 「ムーン、おかえり。部屋に案内します」

 フットーヒ侯爵自ら、部屋を案内してくれるという。そういえば、この屋敷では、まだ、侍女や執事を見ていなかった。ひょっとして、居ないのかもしれない。

 「変なことをお聞きして、申し訳ないのですが、執事や侍女はいないのですか?」

 「お恥ずかしい、限りですが、今は、いません。少し前に、全員解雇しました。私の家が破産したので、やむを得なかったのです」

 「そうですか。それでは、お金のことは、気にしなくていいので、以前使えていた執事や侍女を全員雇いなおしてください。給料は、5割増しでいいですよ」

 「分かりました。早速、手配します。どうも、ありがとうございます」

 私は、ナターシャに思念伝達で、連絡を取った。

 「ナターシャ、ムーンだけど。今いいかな?」

 「はい、大丈夫です」

 「フットーヒ侯爵のことだけど、以前勤めていた執事や侍女を雇いなおすことにした。ついては、必要な費用をフットーヒ侯爵に渡して欲しんだ。いいかな」

 「分かりました。早速、用意しておきます」

 「それから、その他の『金喰虫』に掛かっている貴族を探して欲しいんだ。それらの患者も治しておいて、情報を得たいから」

 「分かりました。リストアップして、送りますね」

 「いや、取りに行くよ。ナターシャの顔も見たいからね」

 「はい、分かりました。用意出来次第、連絡します」

 「よろしく」

 私は、思念伝達を切った。それから、ガーベラ宰相に思念伝達で、連絡を取った。

 「ガーベラ宰相ですか。ムーンです」

 「あら、久しぶりね。どうしたの?」

 「実は、例の下水道の状態を知りたくて、連絡を入れました」

 「下水道の何を知りたいの? あれは、完成したよ。それを気にしていたの?」

 「いえ、その後の事が気になったのです」

 「それは、どういうこと?」

 「一つは、無事運用できているのかということです。最終的には、港に処理済みの水を流していますが、しっかりと処理されているのかどうか。それと、肥料を作っていますが、それの販売が順調かどうかです」

 「ええ、どちらも、順調に運営出来ているわ。大丈夫よ。肥料も、イーキ王国でよく売れているよ。今では、ポーションをに次ぐ、テラ・ワールドの主力商品になっているよ」

 「分かりました。それを聞いて安心しました」

 「それじゃ、失礼します」

 「ちょっと、待って」

 「えっ、どうしたのですか?」

 「一度、こっちに来てほしいのだけど、いいかな?」

 「はい、何時伺いましょう」

 「今すぐは? どうかな?」

 「私は、構いませんが、どちらに伺えばいいでしょうか?」

 「王宮の私の部屋に来てくれる」

 「はい、分かりました」

 私は、急いで、転移魔法で、王宮のガーベラ宰相の部屋に移動した。

 「コン、コン。失礼します」

 私は、ガーベラ宰相の部屋に入っていった。

 「早かったわね」

 「はい、急いで来ました」

 「何か、ありましたか?」

 「もっと、気楽に話してくれていいわよ」

 「えっ、でも、宰相ですから」

 「あなた、本当にテラの後継者なの?」

 「はい、そうです。スピアと一緒に挨拶に来ましたよ」

 「そうね。それがおかしいの」

 ガーベラは、何か、探りを入れているようだ。少し、慎重にしないといけないかも。

 「あなた、リンダとどんな話をしたの?」

 「いつの事ですか?」

 「オリハルコンの盾を納入したときのことよ」

 「それが、どうしたのですか?」

 「あの盾は、どうしたの? 誰に習ったの?」

 「テラに、教えて貰いました」

 「そんな時間があったの? テラに教えてもらう時間があったの?」

 「急に、どうしたのですか?」

 「あなたの事を調べたのだけど、出生記録がないのよ。ムーンって名前がないのよ」

 「私は、別の国で生まれたからでしょう。それに、孤児だったから。テラに拾って貰ったのです」

 「ふうん。そう言うか」

 ガーベラは、急に私の目の前に来た。そして、抱き付いた。私は、ガーベラの好きに任せた。

 「やっぱりね。私を避けようとしないのね」

 「ガーベラ宰相には、逆らえません」

 「そうね。テラの弟子なら、どう言うかな? 考えてみて」

 「えっ、どういう意味ですか?」

 「ほらね。やっぱり、そうなのね。でも、どうやったの?」

 「何のことか、分かりません」

 「テラの弟子なら、テラが第一でしょ。尊敬しているのじゃないの?」

 「その通りです。私は、テラを尊敬しています。だから、ガーベラ宰相も大切にしています」

 「テラの妻に手を出してもいいの?」

 「私は、手を出していません。何も、していません」

 「だからよ。もし、本当に弟子なら、私を撥ね退けるわ」

 参った、これは、何を言ってもだめなようだ。すでに、結論を持っているようだ。でも、リンダから、何か、聞いたのかなぁ。リンダの名前だけで、動揺してしまった。
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