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 第19章 ムーン誕生編

1906.オリハルコンを使った武器

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 先日リンダに送って貰ったオリハルコンが届いた。今日からは、これで、リザードマン用の装備・武器を作っていくつもりだ。これによって、リザードマンの防御力を上げることにした。

 基本は、リンダに送っている盾の廉価版を作る予定だ。オリハルコンで創り、強化用の闇魔法の魔法陣を2つ刻印するだけにした。

 これだと、大量生産できる。オリハルコンの部分は、私が作って、その後の加工を神具で出来る様にした。このヘノイ王国の森の中のテラ・ワールドの基地に工場を創り、そこで大量生産を行う予定だ。取り敢えず、2万個作成できればよい。

 私は、リンダに思念伝達で、連絡を取った。

 「リンダさん、早速送って貰って、ありがとうございました。もう一つお願いがあります」

 「なに?言って見て」

 「実は、オリハルコンを加工するのは、私が行っていきますので、その後の魔法陣の刻印をそちらの工場で、行って貰えないでしょうか?作成に必要な神具は用意します」

 「構わないわ。それで、何個作るつもりなの?」

 「今の予定では、2万個作りたいのです。私は、こちらで、1日に500個作っていきます。それをそちらに送ります。出来上がった盾は、兵士用なので、レンゲーに連絡を取って貰い、リンダさんの方で、納入して貰えませんか?」

 「いいわよ。でも、それだと、40日は、最低掛かってしまうけど、いいの?」

 「出来た物は、すぐにレンゲーさんに渡して貰えれば、何とか対処できると思います」

 「分かったわ。それじゃ、送って来てね」

 「はい、分かりました」

 私は、リンダとの思念伝達を切って、急いで、神具の作成に取り掛かった。まあ、10個あれば、足りるだろう。もし、不足なら、また、連絡があるだろう。

 次に、500個のオリハルコンの盾のベースを作り上げていった。少し時間が掛かるが、何とかなりそうだ。

 やはり、簡略化したことが作成のスピードアップに繋がっているようだ。

 もう一つの方法を実行するために、私は、隠密魔法で姿を消した。そして、ソーロン帝国の基地に転移魔法で移動した。

 私は、勝手知ったこの基地の中に入っていった。そして、地下の牢獄の前に行った。

 思った通り、まだ、例の牢屋の中に閉じ込められている。

 「うっ、誰だ。俺の名を呼ぶのは?」

 「私です。お初にお目にかかります。ムーンと言います」

 「商人の様だが、このような場所によく入れたな」

 「ええ、入れるので、出ることも出来ますよ」

 「何。ここから、出れるというのか?」

 「はい、でも、無条件という訳には、いきませんよ」

 「何が希望だ。俺に出来る事なら、やってやろう」

  メルーロは、もう、以前のような気骨さは無くなったようだ。地下牢に閉じ込められた期間がそうさせたのだろう。以前は、何を言っても交渉しようとしなかったのに。まるで、別人のようだ。

 「私の条件は2つです。兵士を鍛えて欲しいのです。そして、指揮官として、魔王軍を討伐して欲しいのです」

 「俺の事は知っているのか?」

 「少しは、知っています。この国の中将にまで、なられた方だと」

 「なら、いい。俺と一緒に捕まった仲間も助けて欲しい。それなら、ムーンの言うことを聞こう」

 「分かりました。それでは、まず、その仲間を助けて来ますね」

 私は、メルーロに赤のポーションを1本渡して、飲んでおくように言った。

 それから、スキル探索で、メルーロの仲間を探した。メルーロの仲間はすぐに見つかった。全員同じ牢に入れられていた。

 私は、火魔法で、檻を溶かし、全員に1本ずつ赤のポーションを渡して、飲むように指示した。

 私は、4人を連れて、メルーロの檻まで、戻っていった。

 「連れてきましたよ。これで、全員ですか?」

 私は、メルーロに確認を求めた。

 「そうだ、これが、私の部下達だ。全員揃っている。良かった」

 部下が無事だったことに、メルーロは、喜んでいる。

 「それでは、一緒に、来てもらいますね」

 私は、メルーロの檻のドアを開けて、5人に手を繋いで貰った。

 「皆さん、しっかり手を繋いでいてくださいね。これから、転移魔法で移動しますよ」

 「「はい、いいぞ」」

 私は、転移魔法で、港の基地まで、移動した。

 「ここが、私の国の基地です。ここに、リザードマンの兵士がいます。彼らを鍛えてください。そして、後日、魔王軍を討伐に行ってください」

 「よし、分かった。約束は守る。まず、指揮官を紹介してくれ」

 私は、ガーベラに思念伝達で、連絡を取った。

 「ガーベラ宰相、突然連絡を取って、申し訳ございません。実は、兵士の指揮官を雇いました。つきましては、基地にいるシロッコスに紹介したいのです。そこで、ガーベラ宰相から、シロッコスに連絡を入れて貰えませんか?実は、私は、まだ、シロッコスとは、面識がないのです」

 「わかったわ。それで、今どこに居るのかしら?」

 「港の基地の近くです」

 「それじゃ、そこで、暫く待っていてね。すぐに、連絡を入れるから」

 「わかりました。よろしくお願いいたします」

 私は、思念伝達を切った。そして、メルーロとその仲間に暫く待つように伝えた。

 遠くから、一人の兵士が声を掛けて来た。シロッコスがやって来た。

 私達は、お互いに自己紹介をして、今後のことを打ち合わせた。私は、紹介を済ませたら、その場を離れて、転移魔法で、ミューの部屋に飛んでいった。

 今日は、ここで、休もう。少し、暗示を変えて、テラではなく、ムーンとして、関係を築くことにした。
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