上 下
155 / 257
 第18章 テラjr誕生編

1809.レイカの城

しおりを挟む
 私は、レイカを優しく、抱きしめながら、1晩寝ずにいた。そっと、レイカの横顔を眺めていた。
 
 「あっ、テラ。もう、起きていたの」

 「レイカ、気分は、どう?」

 「うん、もう、大丈夫よ。気分もいいわ」

 「それなら、良かった。少し、相談したいんだ」

 「何?」
 
 「僕は、レイカの事が心配なんだ。だから、今日からは、一緒に過ごさないか?」

 「今も、一緒に住んでいるよ。それとも、どこかへ行くの?」

 「そうだね。それでも、いいかも」

 「テラは、どこか、旅行でも行きたいの?」

 「ただ、レイカと本当に一緒に居たいと思っただけだよ。余り、旅行って、気分ではないよ」

 「そうね。私も、テラと二人だけになりたい」

 「そうか。それなら、少し、待っていてね」

 私は、リンダに思念伝達で連絡を取った。そして、誰もいないテラ・ワールドの土地を教えて貰った。

 「それじゃ、いっしょに行こう」

 私は、レイカを抱いて、転送魔法で、リンダに教えて貰った場所に移動した。そして、急いで、2階建ての小さな家を建てた。そして、闇魔法で結界を張って、私が認めたものにしか見えないようにした。もちろん、入ってくることも出来ない。

 「さあ、出来たよ。ここが、僕たち2人だけの新しい家だよ」

 「本当に、2人だけね。あのミュー先生も来ないよね」

 「もちろんだよ。レイカが嫌いな人は、だれも、この家には入れないよ」

 「ここで、僕だけ、見ていて欲しい」

 「もちろんだよ。テラしか、見ないよ」

 私は、レイカをお姫様抱っこをして、新しい2人だけの家に入っていった。

 2階に上がり、大きなベッドにレイカを寝かせた。ベッドの周りには、レースのカーテンで、ベッドが隠れるようにしてある。そして、闇魔法で本当に、レイカと私を見えないようにした。

 「ここで、寝ていてね。食事の用意をするよ」

 「テラ、私がするよ。食事の用意は、私にさせてよ」

 「分かったよ。一緒にしよう。それで、いいだろ」

 「はい、旦那さま」

 「急に、どうしたんだ」

 「前から、一度、そう呼んでみたかったの。でも、城では他の人もいるし、特に最近は、ミュー先生が雇った従業員も多いの。その人達ったら、私のことをいちいちミュー先生に言っているのよ」

 「そうか。ミューが、新しく従業員を雇っていることは知っていたけど。レイカを見張らせtいたなんて、初めて知ったよ」

 「本当に、嫌よね」

 私は、アイテムボックスから、朝食用の皿やパンや卵を出していった。レイカは、それを2人分に取り分け、それぞれの皿に盛っていった。

 私は、ポットに水を入れ、お湯にした。当然、魔法で行った。

 「レイカは、ホットがいい? アイスがいい?」

 「そうね。アイスティーにしてくれる」

 「いいよ」

 私は、ガラスのコップを2つ造り、氷を作った。氷の入ったコップに少し濃い目の紅茶をポットから、流し込んで行く。コップの周りに、水滴が付き始めた。

 「レイカ、ミルクと砂糖は、いる?」

 「テラは?」

 「僕は、ストレートだよ。そのまま飲むよ」

 「それなら、私もそのままでいい。テラと同じがいいの」

 「分かった。それじゃ、食べようか」

 私達は、2人で用意した、食事を楽しく食べていた。私は、食事をしながら、思念伝達で、リンダに連絡を入れた。

 「暫くは、リンダが用意してくれた場所で、生活するよ。レイカも一緒だ」

 「わかったわ。仕事は、どうするの?」

 「レイカの調子が悪いので、レイカが寝ているときだけにしてくれる」

 「分かったわ。それじゃ、夜の10時ごろからね。仕事は」

 「すまない。そうしてくれ」

 「まあ、私の仕事が終わってから、始めるということだから、都合はいいわ」

 「ところで、ミューが城に雇った従業員に止めて貰ってくれ。通常よりも高額の退職金を渡して、次の仕事も斡旋してくれるかな。それと、城でのことは他言しないように、誓約書を取っておいて欲しい」

 「大変ね。どうして、あんな女を傍に置いていたの?」

 「うん。レイカの事で、少し、世話になったので、仕方がなかった。でも、もう、出て行って貰ったよ。だから、ミューが雇った従業員もやめさせようと思ったんだ」

 「分かったは、やっておくね。でも、執事長がいるでしょ。彼ではだめなの?」

 「ミュー関係は、できるだけ、身内で処理したいんだ」

 「そうね。私も、家族だからね」

 「そうだよ。リンダは、僕の少ない家族だよ」

 「また、会いたいなぁ。時間があったら、来てね」

 「分かった。リンダ。ありがとう」

 「気味が悪いね。遠慮する必要ないよ。私は、いつでも、テラの味方だよ」

 「それじゃ、また。バイバイ」

 私は、思念伝達を切った。レイカは、何も知らないで、嬉しそうにしている。これで、いいんだ。レイカには、本当のことを言えない。

 私は、用意していた魔法を2つレイカに掛けた。1つは、今のまま、誰が見ても変化が分からないようにする。もう一つは、本人も自分の身体の変化に気が付かないようにする。この特殊な闇魔法を掛けておいた。

 「レイカ、これからは、ここで、2人だけで暮らすよ。いいか?」

 「いいわ。私は、テラが居ればそれだけで、いいわ」

 私は、レイカが寝てから、レイカの荷物をすべてアイテムボックスに入れて、別のアイテムボックスには、ミューの荷物を入れることにした。

 「残された時間は、意外に少ないかもしれないな。急がないと」

 私は、自分に言い聞かせるように、呟いた。
しおりを挟む

処理中です...