上 下
152 / 257
 第18章 テラjr誕生編

1806.ミヤーコ王国への足掛かり

しおりを挟む
 今日は、スピアを残して、リンダに会いに行くことにした。私は、思念伝達で、リンダに連絡を取った。

 「今日、1日、時間を取って欲しいんだけど」

 「テラ、急な話ね。どうしても、今日でないといけないの?」

 「うーん、そうでもないよ」

 「それじゃ、明日でいい? 1日空けるとくよ」

 「分かった。それじゃ、明日、行くよ」

 「今日から、来ておく?」

 「でも、邪魔じゃない?」

 「それほどじゃないよ。バイオレットも居るしね」

 「それじゃ、後で」

 私は、思念伝達を切って、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。

 「リンダ、来たよ」

 「あら、もう来たの。まだ、私、着替えも終わっていないよ」

 リンダは、下着だけの格好で、ベッドから出て来たばかりだ。

 「そのままでも、いいよ。目の保養になるよ」

 私は、リンダに抱き付いて、もう一度、ベッドに戻した。少しの時間だけど、2人の時間を楽しんでいた。

 気が付くと、バイオレットが、リンダを起こしに来ていた。

 「リンダ、時間がないよ。もうそろそろ、起きてね」

 私は、聞こえないふりをして、リンダに再度抱き付いていた。

 「もう、テラさんも、リンダの邪魔をしないでください」

 バイオレットは、手で私の頭を叩くふりをした。

 「ゴメン、すぐに出て行くよ。バイオレット、怒らないでよ」

 「はい、わかりました。だから、仕事の邪魔だけはしないでくださいね」

 「はい、バイオレット、わかりました」

 私は、ベッドを出て、服を着た。それから、明日の事をリンダに話した。

 「明日は、リンダと一緒に、ミヤーコ王国の都市シジンに行こうと思っている」

 「いよいよ、原油関係の交渉を始めるのね」

 「そうだよ。ここが、正念場だよ。リンダも、頑張ってね」

 「それじゃ、また、明日来るね」

 「テラ、またね」

 私は、転移魔法で、城に戻った。ヤーロンに声を掛けて、紅茶を書斎に持ってくるように言った。

 「さあ、今日は、どうしようかなぁ。時間が余ってしまったな」

 「テラ様、どこに置きましょうか?」

 「そこのテーブルでいいよ」

 ヤーロンは、テーブルの上に紅茶とビスケットを置いて部屋を出ようとしていた。

 「ヤーロン、ちょっと、ソファに座ってくれ」

 私も、ソファに座って、紅茶とビスケットを頂いた。

 「はい、何でしょうか」

 ヤーロンは、私の目の前に座っている。猫耳族の10歳の女の子だ。これまで、じっくりとヤーロンを見たことがなかったが、なかなか、可愛い。

 「ヤーロンは、城で働くのは初めてか?」

 「はい、働くのが、今回初めてです」

 「そうか、小さいのに、大変だね」

 「そんなことは、ありません。私の周りは、皆10才から働きに出ます。だから、私も普通です」

 「何か、困ったことはないか?」

 「今の所、ありません」

 「先日、私が頼んだことは、どうなった?」

 「レイカ様とミュー様の行動と話された内容を覚えておくということですね」

 「そうだよ。何か、会ったか?」

 「レイカ様は、部屋におられて、何処にも出かけていません」

 「それじゃ、ミューは、どうだ?」

 「ミュー様は、毎日、買い物に出かけています。主に、服を買われています。どうも、パーティーに出席するつもりではないでしょうか?」

 「誰かに招待されているのか?」

 「おそらく、オーガネッチ様ではないでしょうか。よく、連絡を受けておられます」

 「分かった。行っていいよ」

 ヤーロンは、静かに、席を立って、部屋を出て行った。

 私は、お茶を飲み終えて、スピアの部屋に入って行った。

 「テラ、お腹空いた」

 私達は、1階に降りて、食堂に顔を出した。すると、ヤーロンが私の所にやって来た。

 「食事にしてくれ。2人分だよ」

 「はい、只今」

 スピアと私は、並んで、座った。ヤーロンが食事を運んできた。スピアと私の前に並べて行った。

 「スピア、好きなだけ、食べてね」

 私は、スピアが、パンや肉を頬張るのを眺めていた。いつ見ても、美味しそうに食べる。

 私も、自分の料理を口にした。

 「スピア、僕の分も食べていいよ」

 「テラ、お腹すいてない、スピア、テラの分、食べる」

 「あれ、何だか、元に戻ってない? 食事の時は、野生に戻るのかな?」

 私達は、食事を終えて、私は書斎に、スピアは自分に部屋に戻って行った。

 私は、書斎で、明日の事を考えていた。

 ミヤーコ王国は、原油の唯一の産油国だ。。そして、販売は、原油としてではなく、灯油として販売していた。原油から、灯油を得るとその他のものは、必要の無いものとして、廃棄している。 

 そこで、廃棄している物をすべて、買い取ることを考えた。

 油田から自然に出てくる石油ガスは、そのまま燃やしたり、空気中に垂れ流している。そのため、危険防止のため冊を作って、一般の人が入らないようにしている。

 私は、原油を取り出すときに出て来たガスを冷却して液化する装置を開発し、液化したガスを買い取ることを考えている。

 次に、油田から取り出した原油の中で、気体になりやすい物を同様の装置で、液化して、それも、買い取ることを考えている。。

 最後に、残った物も、廃棄されているようだ。それもすべて買い取ることを考えている。。

 つまり、ミヤーコ王国は、これまで、邪魔でしかなかった物をすべてテラ・ワールドで、買い取ることを提案するつもりだ。その価格を出来るだけ安くしたい。
しおりを挟む

処理中です...