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 第1章 冒険者編

103.異世界への旅立(2)

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 地下牢の前まで戻って来た私は、とりあえず石礫サンド・ボールで、壁に描かれた魔法陣をすべて破壊した。すると、土壁のあった面は、黒い金属がむき出しとなった。

「賢者サビオ、私です」

 黒い金属の壁を叩きながら、声にならない思いを伝えようとした。

「モドッテクルノガ、ハヤスギルナ?」

 賢者サビオの声が、頭の中で響いた。どうも、思念伝達ができるようだ。

「スキル 思念伝達LV1を習得しました」

 そこで私はこれまでの報告をし、疑問に思っていることを聞いてみた。

 すると、

 ・魂を封印した状態で、他者に魔法陣を破壊されると、魂は蒸発してしまう。

 ・光魔法で、バリアを作れば、自分を守ることができる。光魔法LV5でホブゴブリンの攻撃は防げる。

 ・バリアは持続的にMPを消費する。MPが50を割るとバリアは消滅する。

 ・MPの自動回復では、バリアを維持することは現在のLVでは難しい。

 ・HPやMPを回復するポーションを使えば、対応ができる。

 ・青いポーションを1回使うことで、MPを100回復できる。ただし、同じ効果を得るためには60秒待たなければならない。これは光魔法で作ることが出来る。

 ・赤いポーションを1回使うことで、HPを100回復できる。ただし、同じ効果を得るためには60秒待たなければならない。これは光魔法で作ることが出来る。

 ・アイテムボックス(木製)でアイテムを24個収納できる。これは闇魔法で作ることが出来る。

 ・闇魔法LV5で時空転移魔法を使うことができる。ただし、魔力量に応じて移動できる距離が決まっている。

 まず、ポーションを入れるためのガラス瓶を20個作ることにした。

 土魔法で、細かな砂をバケツ1杯程度作成し、それを用いてガラス瓶を20個作った。

 1つ上の階で、ポーション作成に必要な草を集め、地下牢の前に積み上げた。

 まず、赤のポーションを作成し、ガラス瓶に収めた。これを10回繰り返した。

 同じように青のポーションを10個作った。

 次に廊下に落ちている木材を用いて、アイテムボックスを1個作った。それに、先ほどの20個のポーションを入れた。

【ステータス】
 種族:土人形ゴーレム
 職業:無職
 LV(レベル):15
 HP(最大体力量):600
 MP(最大魔力量):1500
 魔法:土魔法(LV7)、火魔法(LV3)、水魔法(LV3)、風魔法(LV7)、
    光魔法(LV5)、陰魔法(LV5)
 スキル:採取(LV7)、鑑定(LV7)、思念伝達(LV2)、探索(LV5)、回避(LV5)、
     格闘(LV6)、弓(LV6)

 次に半径1mのバリアを作り、維持させる練習をした。

 最初にバリアを作る時にMP500を消費し、1分間維持するのに、更にMP500を使った。

 これでは全く役に立たない。繰り返し練習して、消費するMPを減らす必要がある。少なくとも1分間で、MP100程度の減りにならないとだめだ。

 休んでMPを回復しながら、何度も、何度も、バリアを作り、維持する練習をした。

 1週間たった時に、光魔法LV10までになり、目標とした1分間でMP100の減り迄になった。

 MP(最大魔力量)も2000になった。これで、10分は余裕で戦える。

 いよいよ洞窟へ突入だ。

 まず、洞窟の前に立っている見張りのホブゴブリン2匹を弓で倒した。

 洞窟の中に入る前に探索で、様子を調べた。

 チャンピオンゴブリンは、洞窟の一番奥にいる。そこまではおよそ200mある。

 その周りに、ホブゴブリン5匹が控えている。

 その他のホブゴブリンは、4・5匹ずつ固まっていた。ホブゴブリンは、全部で30匹になっていた。

 40~50mごとにホブゴブリンが4・5匹いることになる。

 今の私は、弓で50m先のホブゴブリンを倒すことができるので、小走りで移動しながら、見つけたホブゴブリンを弓で倒していった。

 ついに、洞窟の一番奥のチャンピオンゴブリンの前まで到達した。ここまでに、5分を使った。MPは500消費したが、その都度青のポーションを飲んだので、まだ、MPは1500残っている。

 弓で、ホブゴブリンを2匹倒した。3匹のホブゴブリンとチャンピオンゴブリンが、私を目指して襲ってくる。再度弓を使い2匹のホブゴブリンを倒した。

 土魔法で、ホブゴブリンとチャンピオンゴブリンの間に1mほどの土壁を作った。チャンピオンゴブリンが土壁を潰す僅かな時間で、最後のホブゴブリンを弓で倒した。

 残るはチャンピオンゴブリンだけだ。

 チャンピオンゴブリンの前に土魔法で穴を作り、体制を崩させた。すかさず、弓を3本放った。2本は、剣で防がれたが、1本は右腕に命中した。

 次に、光魔法で光球ライト・ボールをチャンピオンゴブリンの目の前に作り、暫く周りが見えなくした。

 土魔法で石礫サンド・ボールを右足に集中させた。チャンピオンゴブリンの右足から緑色の液体がドロリと流れ落ちる。

「グァーッ」

 チャンピオンゴブリンの咆哮が洞穴の中で響き渡る。再度、光魔法で光球ライト・ボールをチャンピオンゴブリンの目の前に作ったが、目を閉じられて、効果はなかった。

 そこで、水魔法で、チャンピオンゴブリンの足元をぬかるみに変えて、動きを止めた。チャンピオンゴブリンは、膝の少し下まで、泥の中に埋まり、うまく動けないようだ。

 更に水魔法で、チャンピオンゴブリンと私までの間をすべて泥に変えた。チャンピオンゴブリンに攻撃されるまでの時間を稼いだ私は、弓での攻撃・石礫サンド・ボール火球ファイア・ボールを交互に繰り出し、攻撃を継続した。

 攻撃しながら、1分ごとにポーションを飲み、MPを回復させていった。

 MPが残り200となったとき、ようやくチャンピオンゴブリンは、前のめりに倒れ、拳大の魔石が飛び出した。

 魔石を吸収した後、私は大の字になって寝転んで、HPとMPの回復を図った。

【ステータス】
 種族:土人形ゴーレム
 職業:無職
 LV(レベル):20
 HP(最大体力量):800
 MP(最大魔力量):1500
 魔法:土魔法(LV10)、火魔法(LV7)、水魔法(LV5)、風魔法(LV7)、
    光魔法(LV6)、陰魔法(LV5)
 スキル:採取(LV10)、鑑定(LV10)、思念伝達(LV4)、探索(LV7)、、回避(LV7)、
     格闘(LV6)、弓(LV10)
 称号:小鬼英雄殺し
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