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 第11章 魔法学院(生徒)編

1103.マテーダ王女の意外な趣味

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 マテーダ王女との夕食に私達を迎えに馬車が来た。馬車に乗り込み、暫く、揺られていると、大きな城のような建物の前に止まった。

 「テラ殿、到着しました」

 私達は、案内されるまま、大きなホールに通された。通常であれば、20組ぐらいの客を招き入れることが出来そうなスペースに、私達だけが居た。

 「ようこそ、テラ殿。こちらで、お待ちください」

 「どうも、お招きいただき、ありがとうございます。こちらは、私の相棒のスピアです」

 「うん。よろしく」

 私達は、オーガネッチの横の席に着いた。

 「マテーダ王女は少し遅れているようです」

 執事が説明をしている。

 「食事に関して、何か、お嫌いな物は、ありますか?」

 「私は、ありません。スピアは、熱いものが苦手なので、少し、冷やしておいて貰えるとありがたいです」

 「はい、承知いたしました」

 オーガネッチが、私に話しかけて来た。

 「マテーダ王女は、非常に綺麗な方です。穏やかな性格で、兄のヘーリ王子と遊ぶのが大好きな女性です。また、ヘーリ王子も、マテーダ王女を気に入っておられます」

 「そうですか。マテーダ王女には、ロール王子もお兄さんですね」

 「テラ殿、ロール王子の話は、今日は勘弁してください。よろしいでしょうか。マテーダ王女が来られた後は、特に、やめてください」

 「はい、わかりました」

 執事が、マテーダ王女の到着を告げた。私達は、その場に立ち、王女が席に着くまで、そのままで、待っていた。

 「こちらが、マテーダ王女です」

 「初めまして、テラといいます」

 「スピア」

 「マテーダです。今日は、お招きいただき、ありがとうございます」

 私達は、紅茶を飲みながら、食事が準備されるのを待っていた。

 「マテーダ王女、こちらのテラ殿は、13歳という若さですが、ウェーリィ王より、伯爵の爵位を授かっております。非常に優秀な人材です」

 「そうですか。その年で、伯爵とは、凄いですね。どのような事をされたのでしょうか」

 「このヤガータ国の借金を返済し、国を再興しました。また、軍隊を再編成し、港湾関係の仕事から、多岐にわたる事業で、成果を上げておられます」

 「そうですか。実業家なのですね」

 「いえ、私は、単に運が良かっただけです。すべて、私の側近が行ったことです」

 「テラ、とお呼びしてもよろしいですか?」

 「はい、構いません」

 「テラは、謙遜し過ぎですよ。私も、テラの偉業は聞き及んでいます」

 「ありがとうございます。マテーダ王女は、どのような事に興味がおありでしょうか」

 「テラ、私の事は、マテーダと呼んでください。いいですね」

 「はい、わかりました」

 テーブルの上に食事が運ばれてきた。前菜、スープ、魚料理とコース料理の様だ。

 「どうぞ、食べながら、お話をしてください」

 オーガネッチが、食事を勧めている。とても、にこやかだ。何か、良い事が起こっているのだろうか。

 「私は、今、魔法陣に興味があります。色々と書物を読みながら、研究しているのですが、適当な物がありません」
 
 「魔法陣ですか、また、古風な事を研究しているのですね」

 「テラ、どうして、魔法陣が古風なのですか?」

 「でも、マテーダ、周りを見ても、適当な書籍がない。つまり、今の流行りでないということではないのでしょうか」

 「そうでしょうか。私は、そうは、思っていません」

 マテーダ王女は、変わった物に興味を持ってい居るみたいだ。何か、特別な理由がありそうだ。

 「マテーダ、もし、よろしければ、何故、魔法陣に興味を持たれたか、経緯をお教え願えませんか」

 「特別な理由はないのです。ただ、身近に何に使うのか分からない魔方陣があったので、それがなにに役に立つのか、知りたかっただけです」

 「そうですか。その魔方陣の事を誰かにお聞きになられましたか?」

 「いいえ、誰にも内緒です。兄のヘーリにも話したことがないのに、初対面の方にお話してしまい。少し、戸惑っております」
 
 「別に、内緒にすることは、ないのでは。ちっとも、おかしくないですよ」

 「そうですか。テラは、変に思いませんか?」

 「はい、思いませんよ」

 「良かった。こんな話をして、不思議がられたかと思いました」

 「また、機会があれば、魔法陣のお話を聞かせてください」

 「よろしいのですか? また、お会いしても」

 これって、まずいパターンなのか? 失敗したか?

 「はい、いいですよ」

 「まあ、嬉しい。これまで、ヘーリ兄さんぐらいしか、このように気楽にお話が出来なかったので、本当に嬉しいですわ」

 「いえ、こちらこそ。このような機会を与えて頂けて、光栄です」

 いつの間にか、デザートが出ていた。食事は、そろそろ、終わりの様だ。

 「それでは、私は、これで、失礼します」
 
 「はい、マテーダ、さようなら」

 マテーダ王女を見送り、私は、オーガネッチに感謝され、帰路に就いた。魔法学院の自分の部屋に戻って来たが、まだ、オーガネッチの狙いがわからない。今日の食事会って、何だったのだろう。
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