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 第9章 リザードマン編

913.官吏候補生

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 薬草の農園での採取が順調に増えている。農園自体の敷地面積もドンドン増やしてきた。

 子供でも、老人でも、簡単に採取できるので、1日で、金貨1枚を稼ぐのは簡単になっている。現在、約1000人が、採取に来ている。余りに多数になったので、1人当たりの1日の採取の上限を決めた。
 
 これにより、最大でも、1日に金貨2枚までにとどめることが出来た。それでも、平均金貨1.5枚なので、この半年で、金貨20万枚の支出になっている。その分の薬草が倉庫に保管されている。

 これから、この薬草を使って、ポーションの安売りを始める予定だ。初級の赤のポーションは、今の販売価格が金貨1枚になっている。これを、量を半分にして、銀貨20枚で売る予定だ。

 この安売りの目的は、冒険者に行き渡るようにするためではなく、一般の人が手軽にポーションを使えるようにするためだ。

 貴族以外は、病気になっても、ただ、寝るだけの事しかしていない。だから、小さな子供がすぐに死んでいる。これを、改善したいと思い、このポーションの安売りを始めることにした。

 工場で、大量に赤のポーションを創れるようにした。光魔法が使えなくても、初級程度であれば、神具を使って、赤のポーションを創れる。その為に、魔石を用いて、大量の神具を作った。

 また、販売は人でがいらないようにするために、無人販売用機械を使うことにした。これを、各住宅の前に4台ずつ設置した。また、その場所に転移魔法用の魔法陣を作って、商品の補充と金貨の回収が、直ちに行えるようにした。

 そして、その管理は、シルバに任せた。というのも、農場とリテラシーの教室と魔法学院が隣接しているからだ。ほぼ、同じ敷地にこれらの施設がある。

 魔法学院の方は、募集した教師に年間講座計画を創らせている。それと共に、来年度の入学生に対する入学試験と合否基準を内密に作らせている。後は、入学案内をつくり、広報するだけだ。

 予定では、全寮制で、入学金・授業料・宿泊費など、すべて無料にする予定だ。その代わり、3年間は、ヤガータ国で、働いてもらうという契約にする。そして、入学生に関しては、年齢などの条件は一切つけない。つまり、誰でも、老人であっても、入学試験を合格すれば、入学できる。

 そして、2年間頑張って、卒業すれば、ヤガータ国の認定魔法師になる。この資格で、ヤガータ国
の魔法に関するすべての資格を得たことになる。

 この魔法学院の学院長も、シルバにやって貰っている。思った以上にシルバは、有能だった。

 この国の商業ギルドも、冒険者ギルドも軌道に乗っており、もう、赤字を出さずに済んでいる。

 軍隊の方も、シロッコスの指揮のもと、それなりの形になってきた。ただ、兵士の数は、まだ、十分ではない。再度、募集しないとダメみたいだ。

 鉱山の方も、順調に、オリハルコンが採鉱されている。こちらは、まだ、赤字だ。採鉱されてオリハルコンは、保管しているだけだ。そろそろ、こちらの赤字も解消したい。

 最後に、港湾の整備だ。こちらは、定期便が出せる様になっているが、完全な赤字だ。すべて、無料で、移住を推奨しているためだ。

 まだまだ、これからという事業が多いが、人口も、元の10万に迫っていると聞いている。

 もう少しで、復興したと言えそうだ。

 思念伝達で、ガーベラから、連絡が入った。官吏希望者が集まったそうだ。

 「ガーベラ、すぐに行くよ」

 「どこに、集めたらいい?」

 「港に集めてくれる。そこに直接、私も行くから」

 「分かった」

 私達は、思念伝達を切って、転移魔法で、港に移動した。

 「ガーベラ、お待たせ」

 「テラ、お願いね」

 「はい。これから、官吏希望者の採用試験を始めます。準備は出来ていますか?」

 「「はい」」

 「今回、希望者が、約800人集まりました。条件は、意欲がある若い人です。もし、この条件に合わない人は、この場を去ってください」

 「テラ、大丈夫みたいよ」

 「合格した人は、官吏として、ヤガータ国で働いて貰います。最低1年は、勤務してもらいます。その代わり、住居は無料で、提供します。それと、月に金貨100枚出します。その分、仕事は過酷です。もし、今からでも、辞めたという人が居れば、この場から去ってください」

 「テラ、大丈夫よ」

 「それでは、今から、この住宅の部屋に入ってください。荷物を置いたら、ここに戻って来てください。はい、移動してください」

 「「はい」」

 皆、きびきび動いている。何人かが、集まった官吏候補生を整列させている。

 また、ある者は、名簿を作成し始めた。20名ほどの官吏候補生が、他の官吏候補生を管理し始めた。私は、まだ、何も言わずに、ただ、待っていた。

 20名ほどの管理し始めた候補生のリーダー的候補生が、代表を決めてようだ。それと共に、官吏候補生を約40名程度のグループに分けて、それぞれの代表になって、各グループでの承認を得ているようだ。

 全体の代表がやって来た。

 「試験の準備が整いました。この後の指示をお願いします」

 「私は、テラといいます。この試験の責任者の一人です。こちらは、私の相棒のスピアです。それから、こちらが、もう一人の責任者のガーベラです」

 「私は、官吏候補生のレンゲーといいます。よろしくお願いいたします」

 「今から、この港湾の再開発計画を作ってください」

 「はい、わかりました」

 レンゲーの指示のもと、それぞれのグループが動き始めた。最初に、色々と調査したようだ。集めた資料を基に、計画内容を検討し始めた。

 「テラ殿、私達がまとめた計画案です。ご覧ください」

 「一つ、聞いてもいいかな?」

 「はい、何なりと、申し付けください」

 「今回の官吏候補生の中で、不合格にすべき者は、いるか?」

 「いいえ、おりません。全員、条件を満たしているので、合格です」

 「結構、それでは、レンゲー、計画を実施するに当たって、必要な人員と経費をガーベラに報告してくれ。それから、残りの人員を私のところまで、連れてきてくれ」

 「はい、了解しました」

 レンゲーは、すぐに動き、400名ほどを私の元に連れて来た。

 「ガーベラ、そっちは、頼むよ」

 「はい、わかりました」

 「さて、レンゲー、次の仕事だ。この国には、ダンジョンが14カ所ある。今は、ゴブリンのみ討伐している。これは、村が襲われないようにするためだ。これまでは、ダンジョンの入場料は無料にしていた。今後は、一定の手数料をとるつもりだ。ただし、この国の国民であれば、金額は半額でいい」

 「はい、わかりました。160人を冒険者ギルドに送ります。必要な物は誰に発注したらいいですか?」

 「冒険者ギルドのローララに言えばいい」

 「はい、わかりました」

 レンゲーは、160人を選び、冒険者ギルドに送った。

 「それでは、次だ。この国には、オリハルコンの鉱山がある。現在は、販売ルートを確保していない。また、加工製品の製造・販売も未定の状態だ。これを改善して欲しい」

 「はい、わかりました。40名を派遣します。こちらは、どなたに相談したらいいですか?」

 「鉱山の事は、ガーベラに相談してくれ」

 「さて、ここに200名残った。これから、船を2隻用意する。それを使って、アストーリア大陸で秘密の作業を行う。体力に自信がある者だけ、ここに残して、他の者は、商業ギルドのリンダの所で、新たな商売の計画を考えてくれ」

 「はい、了解しました」

 最後に、120名が残った。私達は、この120名と共に船に乗り、アストーリア大陸へ向かった。 
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