上 下
72 / 257
 第8章 ヤガータ国編

803.小さな国の大きな野望

しおりを挟む
 私は、14個もの上級ダンジョンの出入口をすべて、土魔法で封鎖していった。それぞれのダンジョンの近くに転移魔法用の魔法陣を作り、闇魔法で、隠しておいた。

 次に、荒れた土地を土魔法で、更地に変えていくことにした。まず、崩れてしまった家屋の残骸を取り除いた。主に、木々だった。それから、大きな石などを取り除き、最後に、土地の表面を平らにならしていった。これで、更地になった。

 私は、ガーベラに相談して、街を整備しようとした。

 「ガーベラ、この国の都市を開発し直そうと思っているの」

 「どのように、開発するのですか?」

 「そうね。なぜか、この国は、悪い事ばかり起こります。地震に、魔物に、大雨。
 一度にすべてをよくすることは出来ないけど、少しずつ、改良したいと思っているの。
 取り敢えず、上級ダンジョンから魔物が出て来ないようにしておいたよ。
 それから、地震で荒れてしまった土地を整備しておいたよ」

 「すみません。もうすでに動いていたのですね」

 「今、老人と子供が約2万人いると言っていたね」

 「はい、大体、それぐらいだと思います」

 「その人達に、住む場所と、仕事を提供しようと思っています」

 「そんなこと、出来るのですか?」

 「何とか、なると思うよ。ただ、子供には、仕事より、文字を読んだり、書いたり、それから、計算も出来る様になって欲しいな」

 「そうね。読み・書き・算数は大切ですね」

 「そのための学校みたいなものを作りたいの。でも、取り敢えずは、生活費を確保する所からね。金貨を配ってもいいけど、そんなものは、いつまでも、続けていけないから、自分で生活費を稼げるように環境を整えておきたいね」

 「仕事と言っても、老人も、子供も、危険な事はさせることが出来ない。
 そこで、薬草の農場を作って、栽培と採取を担当して貰おうと思っているの」

 「私は、何をすればいいですか?」

 「そうですね。国民を管理できるものを作ってほしいな」

 「どうすれば、いいのですか?」

 「そうですね。まず、冒険者IDのようなものを国民につくりたいですね。
 それで、国民であることを証明します」

 「わかりました。それでは、私は、必要な書類を作ってきます」

 「私は、国民が、当面無料で、住むところを作ってきますね。お互い、終わりましたら、王宮に戻るということで、いいですか?」

 「はい、結構です」

 私は、ガーベラと別れて、住む所を作りに行った。3~5人が一つの部屋に住むと考えて、6000個の部屋を作ることにした。

 1階に20部屋で、5階建ての建物を基本にすることにした。1棟100個の部屋になる建物を60個建てることにした。

 一度には無理なので、取り敢えず、10棟だけ創った。これで、1000個の部屋が出来上がった。

 王宮に戻った私は、ガーベラに会いに部屋に向かった。

 「ガーベラ、取り敢えず、1000個の部屋を作ったよ。少しずつ、入居してもらおう。
 当面1年は、賃料は取らずに、住んでもらおう」

 「はい、それでは、部下と共に、案内していきますね」

 「よろしく頼みます。私は、薬草の農場を作りに行きます」

 「はい、わかりました」

 私は、上級ダンジョンの一つに併設するように、地下農場を作った。地下5階で、各階に薬草畑を作っていった。

 この農場は、上級ダンジョンの魔力を取り込んで、薬草を育てるが、ダンジョンの中ではないので、魔物も出ず、安全に薬草を採取できる。

 薬草は育つのに、暫く、時間が掛かるが、何とかなるだろう。薬草の買い取り価格は、10本1束として、10束で、銀貨50枚を考えている。

 それから、各ダンジョンを第5階層で、繋いでいくことを考えた。何故、ダンジョンから、魔物が溢れ出てくるのか、分からないが、魔力が多くなりすぎることが原因だと思ったからだ。

 こうしておいたら、一カ所に魔力を集めて、回収する方法を考えれば、いいと思った。

 今日は、十分に働いたので、少し、のんびりすることにした。

 「そうだ、久しぶりにスピアに連絡しよう」

 私は思念伝達で、スピアに連絡を取った。

 「スピア、テラだよ。元気にしてた?」

 「うん。元気。テラは」

 「私も、元気だよ。今は、ヤガータ国に居るよ」

 「スピア、行ったことない」

 「そうか、落ち着いたら、おいで」

 「まだ、仲間少ない。もっと、探す」

 「スピア、今は何人になったの」

 「今で、25人だよ」

 「そうか、100人は、欲しいけど、一度、戻っておいでよ」

 「テラ、いいの?戻って」

 「いいよ。スピアが居ないと寂しいから」

 「うん。すぐ戻る」

 スピアが、仲間と共に戻って来た。私は、冒険者ギルドの近くに宿泊できる場所を作って、住めるようにした。そこに、スピアの仲間に滞在してもらうことにした。

 そして、宿泊場所に併設して、食堂を作った。そこで、スピアの仲間に食事をして貰った。

 「お帰り。ご苦労様」

 「テラ、好き」

 「私も、スピアが好きだよ。今日は、一緒に寝ようね」

 「うん。一緒、寝る」

 少し早いが、私は、スピアと一緒に寝ることにした。久しぶりのもふもふだ。
しおりを挟む

処理中です...