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 第7章 テラ・ワールド編

706.テラ・ワールド

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 ウイドールの居るドワーフの村は、ドンゴと呼ばれていた。私達は、この村から、オリハルコン・綿花・布を購入していた。

 ヘノイ王国とソーロン帝国の国境付近にあった農村は、ヘルーソと呼ばれていて、リーダー格の男であるオースネと取引をした。

 それと共に、ドワーフのドンゴ村と共同で採鉱をしているカーノオ村の村長チョーソンと穀物と布の取引を約束した。

 私は、これらの穀物や布やオリハルコンの鉱石を一旦蓄えておく倉庫を作ることにした。

 ヘノイ王国では、森付きの土地が安く購入できる。というのも、森を開発するのには、多大な資金がいるから、平地と森をセットで、安く売り、開発してもらう積りみたいだ。

 そこで、私達は、商業都市ブューラナと、ソーロン帝国との国境近くのコベーサの街の両方から、等距離にある西の端にある森付き土地を購入した。

 広さからすると、一つの街がすっぽり入るほどの広さだったが、ほとんどが森だった。

 私は、そこの土地を「テラ・ワールド」と名付けた。もちろん、正式な地名ではまだない。

 まず、地下4階、地上3階の建物を作った。床の広さは、本部のあるブューラナの床面積の5倍の広さだ。将来的には、ここを拠点にしようと考えている。

 次に、購入した敷地がはっきり分かるように、土魔法で、硬化して頑丈な高い壁を作って、取り囲んだ。高さは5mで、簡単には、飛び越えることはできない。一応、闇魔法で、壁を結界で覆っておいた。
 
 次に、魔力が多い場所は色々と使い道があるので、森は残すことにした。それ以外の場所の木は、切り倒して、材木として積み上げた。

 次に、木々が無くなり広々とした場所に、倉庫を作った。用途は、布やオリハルコンの鉱石を置いておくものだ。それとは、別にサイロを複数作った。簡単に上から穀物を入れることが出来る様に、床に転移魔法用の魔法陣を作り、それにリンクした魔法陣をサイロの天井に着けておいた。

 それと、闇魔法で、サイロ全体を結界で覆った。これにより、低温で、一定の湿度を保ち、殺菌作用が働くようにした。当然、虫よけや害虫用のトラップ付きだ。

 次に、ごっちゃ混ぜで運んできた穀物を種類別に、サイロに入れて行った。どれに、何が入っているのか、誰でも、分かるように、文字と共に色で区別した。

 穀物の種類が増える度に、私は、サイロも増やしていった。また、量の多い穀物は、複数のサイロに入れて行った。すべての穀物の分類が終わった後に、それぞれの穀物用のサイロを予備として、1つずつ追加で、作っていった。足らなくなったら、また、創るつもりだ。

 それから、各種サイロから、一定の穀物を小袋に入れて、それらの小袋をアイテムボックスに入れておいた。

 それから、一つの建物を造り、「遠距離旅行用出入口」と看板を付けた。

 建物の中は、複数のブースに分けて、それぞれの床に行先固定の転移用魔法陣を描いて行った。その魔方陣の中にポール上の台を作り、魔石を埋め込み、床の魔法陣にリンクさせた。それと、台の上にボタンを作り、魔法が使えなくても、魔法陣が起動するように、細工をしておいた。

 これで、魔法が使えない人でも、転移魔法が使える。ただし、固定された場所にしか、行けないが。

 更に、各ブースに闇魔法で、結界で覆っておいた。これは、私が許可した者、つまり、従業員と私が認めた者しか、魔法陣の中に入れないようにした。

 落ち着いたら、まず、リンダに操作して貰うつもりだ。

 「スピア、おいで。これから、ブューラナの商業ギルドに行くよ」

 「うん。行く」

 「今日は、スピアに魔法を起動して貰うよ。このボタンを押してみて」

 「うん。押すよ」

 スピアがボタンを押すと、転移魔法が起動して、従業員のシルバがいる本店に移動した。

 「やったね。スピアも転移魔法を使えるようになったね」

 「うん、移動した」

 私達は、1階に行き、シルバに挨拶をした。

 「こんにちは。私はテラ、こっちは、スピア。よろしくね」

 「私は、シルバと言います。サルビアさんに雇ってもらいました」

 「そうだね。でも、今は、リンダに雇ってもらっていると思ってね。サルビアは、暫く帰ってこないから」

 「そうですか、知りませんでした」

 「気にしなくていいよ。今まで通り、シルバが、この店を管理していくことに変りは、ないから」

 「はい、わかりました」

 「シルバ、一つ聞いてもいい?」

 「はい、何でしょうか」

 「今の仕事に満足している?」

 「はい、十分な給金を貰っているので、満足です」

 「そんなことを聞いているのじゃないのよ」

 「えっ、すみません。早トチリしました」

 「いいのよ。言い方が悪かったわね。仕事内容に満足してるかってことよ。
 今は、簡単な作業しか、任せていないけど、それで、満足してる?」

 「少し、暇です。こんなこと言うと怒られそうですが、私が、働いているのは、1日に1時間ぐらいです」

 「別に、仕事の量で、給料を減らそうとなんて、思っていないよ。それより、仕事内容に応じて、給料はどんどん上がっていくよ。もっと、貰いたいかな?シルバは」

 「はい、もっと、仕事をしたいです。自分の能力を確かめたいです」

 「良かった。その言葉を聞きたかったの。それでは、工房にいるリンダに連絡をとって、あなたの代わりを雇ってもらいなさい。それから、できるだけ早くその人に仕事を覚えて貰い、あなたの手がいらない状態にしてね」

 「はい、早速、連絡を取ります」

 「それじゃ、またね」

 私達は、シルバを別れた。それから、リンダに会いに行った。
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