上 下
67 / 257
 第7章 テラ・ワールド編

705.本当の黒幕

しおりを挟む
 私達は、捕まえた軍服の男達と洞窟にいた男達をベルーナ大佐に引き渡した。

 「テラ、ありがとう。後は、私の方で、処理しておくよ」

 「それじゃ、お願いします」

 私達は、その場を離れて、誰にも見られない所で、隠密魔法で、姿を消した。

 暫く、待ってから、ベルーナ大佐の所に行った。そっと、様子を窺うことにした。

 「そこの者たち、」

 「はい、只今」

 大勢の軍人達がテラが作った土の壁を壊していった。すると、軍服を着た男達が現れた。

 「ほう、軍服も用意しているのか。こいつらの軍服を脱がせろ」

 大勢の軍人達が、軍服を脱がせていく。

 「さて、こいつらは、地下の牢獄に閉じ込めて置け」

 「「はい、了解」」

 「さて、次は、この5個の箱だな」

 「この箱の壁も壊してくれ」

 大勢の軍人達がテラが作った箱のの壁を壊していった。中からは、それぞれの箱から男が現れた。

 「おぉ、これは、久しぶりでございます。メルーロ中将、いや、元中将ですね」

 「誰の事だ。わしは知らん」

 「まあ、いいです。これで、無事、仕事が終わりました」

 「お前、少しは、この国の事を考えろ。今からでも、遅くない。俺たちを離せ」

 「それは出来ませんね。これで、私は、少将になるのですから」

 「この軍隊では、幹部になっても意味はないぞ。単に、マリオネットになるだけだぞ」

 「いえ、いえ、私は、マリオネットでは終わりません。お気を使わせ、申し訳ございません」

 「おい、この者たちは、例の牢獄に一人ずつ入れて置け。それぞれに、2人ずつの見張りを付けておけよ」

 「「はい、了解」」

 部屋には、ベルーナ大佐だけが残った。

 「こんなに早く。脱走兵を連れてくるとは、信じられない。
 我々が、ずっと探し続けていたのに。
 あの、テラとは、何者だ。少し、用心しないと、今度は、私がやられてしまう。
 くわばら、くわばら」

 私達は、その場から離れて、転移魔法で商業都市ブューラナの商業ギルドの裏手に移動した。

 「すみません」

 「はい、何でしょうか」

 名札に、ナタ―シャと書いてあった。
 
 この子も、若い。それに、なんと、猫耳を持っている。とても可愛い。リンダと同じ猫耳族だ。しかも、リンダより、5才は若い。多分、20才ぐらいだろう。

 私は、暫く、見とれていた。あの猫耳、触ってみたい。そんなこと、ばかり、考えていた。

 「あの、何か用ですか?」

 「あぁ、すみません。見とれていました」

 「まあ、何を言っているのですか」

 「あっ、すみません」

 「さっきから、謝ってばかりですね。それで、用件は、何でしょうか」

 「あっ、すみません」

 「また、謝っている」

 私は、少し、深呼吸をしてから、話すことにした。

 「私は、商人のテラです。穀物を売りたいのですが、穀物を扱うのが初めてなので、相談に来ました」
 
 「そうですか。私は、最近このギルドで働き始めたナターシャと言います。
 テラさん、よろしく、お願いします」

 「私の事は、テラと呼んだください。気楽に話をしたいので」

 「はい、わかりました。それでは、向こうのソファでお話しましょうか」

 ナターシャは、私達をソファに座らせてから、奥の部屋に消えて行った。暫くして、戻って来たナターシャは、沢山の資料を持っていた。

 「こちらが、穀物に関する資料です。
 テラは、どんな穀物を取り扱うつもりですか?」

 「初めてで、よくわかりません。教えてください」

 「まず、穀物と言っても、小麦・トウモロコシ・米・大麦・大豆・小豆・菜種などと、種類が豊富です」

 「そんなにあるのですか。今、穀物を持っているのですが、何を持っているかわかりません。
 持ってくるので、見て、貰えますが?」

 「それは、いいですが、今日は、どうしましょうか?」

 「取り敢えず、このまま、話を聞かせてください」

 「はい、わかりました。先ほど、説明したように、どの穀物を扱うかで、その後の流通の扱いが異なります。
 それから、穀物をそのまま売ることも、可能ですが、少し、加工してから売ることも可能です。
 あるいは、食品にまで、加工して売ることも可能です。
 テラは、加工することを考えていますか?」

 「それも、まだ、考えていません」

 「扱う量にも影響しますが、少量であれば、小さな店で済みますが、大量だと、工場を作る必要があります」

 「そうですね。ちょっと、帰って考えてみます」

 「そうですか。また、いつでも、相談に来てください」

 「はい、わかりました」

 私達は、商業ギルドを出て、工房に戻った。一度、リンダに会いに行こうと思った。

 「リンダ、久しぶり。服の方は順調?」

 「えぇ、試作品が昨日出来上がって来たの。テラ、見てみる?」

 「いいよ。見たい」

 「うん。見たい」

 スピアも、ウキウキしているようだ。

 「これよ」

 リンダは、マネキンに試作品を着せて、工房の隅に並べていた。

 「これは、分かりやすいね。このマネキンは、いいね」

 「そうでしょう。私が工夫したの。いままでの展示では、服の様子が、よく分からないから」

 「リンダ、偉い」

 スピアが、リンダを褒めている。

 「取り敢えず、店頭に飾って、売れ行きを調べてみるね」

 「リンダに任せるよ」

 「それじゃ、試作品をテスト販売する店を開くね」

 「いいよ。それで、資金の方は、大丈夫?」

 「例の遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタ遠隔通話器テレ・ボイスの売り上げがあるので、問題ないよ。それどころか、お金は、余りまくってるよ。
 特に遠隔通話器テレ・ボイスは、他国にも輸出しているので、すべて、完売しているよ。これで、もう、半年にもなるよ。月金貨4000万枚の儲けが」

 「そんなに儲かっているのか。知らなかった」

 「だから、いつでも新しいことを始められるよ。今、何か考えてるの?」

 「でも、リンダは、忙しいでしょ」

 「まだまだ、余裕よ。それより、もう少し、給料を上げて貰っていい?」

 「いいよ、同然だよ」

 「私だけの分だけでなく、テラの仕事に関係している人たちの賃金を上げたいの。今は、箱1個金貨10枚で買い取っているけど。これを金貨50枚にしてもいい?」

 「リンダに任せるよ。それから、リンダの給料は、これから、今の10倍取っていいよ。その代わり、仕事が増えるよ。いい?」

 「もちろん、さっきも言ったけど、まだまだ、余裕よ」

 私達は、一旦分かれて、私とスピアは、転移魔法でウイドールの居る村に移動した。
しおりを挟む

処理中です...