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第6章 軍事都市リーベン編
601.軍事都市リーベン
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私達は、無事に軍事都市リーベンにたどり着いた。
「お世話になりました。私は、この街で、商店を経営しているアキーラと言います。良ければ、私の店に寄ってください。お礼もしたいので」
「すみません。先を急いでいるので、また、機会があれば、寄らせてもらいます」
「そうですか。本当にありがとうございました」
私達は、商人のアキーラと別れた。私達は、ベルーナ大佐のいる基地に向かった。そして、基地の近くの人目に付かない所に転移魔法用の魔法陣を描き、闇魔法の結界で、隠した。
基地の出入口には、複数の兵士が立っていた。
「すみません。ベルーナ大佐に会いに来ました。これが紹介状です」
「少し、お待ちください」
係の兵士は、受付用の部屋に入り、連絡を取っている。
「確認できました。念のため、何か個人を証明できるものをお持ちでしょうか」
「商業IDですが、これで、いいですか?」
「はい、結構です。隣にいるのは、あなたの従魔ですね」
「はい、そうです」
「それでは、このまま、真っ直ぐに行って、そこの建物の入り口に立っている兵士に紹介状をお見せ下さい」
「ありがとうございました」
私達は、真っ直ぐに進み、大きな建物の前の兵士に紹介状を見せた。すると、別の兵士がやってきて、私達をベルーナ大佐の部屋まで、案内してくれた。
「こんにちは。商人のテラです。この度は、お招き頂き、ありがとうございます」
「良く来られた。何もないが、寛いでください」
「ありがとうございます」
私達は、ソファに座った。暫くすると、一人の兵士がお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「さあ、遠慮せずに頂いてください」
「すみません。頂きます」
「この基地は、ソーロン帝国随一の基地で、それ故、この街は軍事都市リーベンと呼ばれています。
特に、魔導兵士の育成と、神具・魔道具の研究に力を入れています」
「そうですか。どちらも、興味があります」
「そうですか。テラさんには、お世話になっていますので、出来る限り、お見せしましょう」
「えっ、いいんですか。嬉しいです」
「それじゃ、行きましょうか」
私達は、ベルーナ大佐に案内されて、魔導兵士の講義や演習を見て回った。
「凄いですね。少し、聞いてもいいですか?」
「何か、質問ですか?テラさん、熱心ですね。
基地の見学は、口実ではなかったのですか?」
「いいえ、本当に見たかったのです。
どちらかというと、商売は、二の次です。
質問ですが、魔法学院との違いを教えて貰えたら、ありがたいです」
「一番の違いは、実践を想定して、すべて、行っている点ですね。
例えば、同じ魔法を起動するとしても、色んな環境で、行っています。
極寒の部屋で、実施したり、格闘中に起動したり、ですね」
「そうですか。実践重視ということですね」
「はい、そうです。ですから、魔導兵士は、格闘技も必須科目です」
「なるほど、よく分かりました」
「それでは、神具・魔道具の研究所を見ますか?時間は、大丈夫ですか?」
「はい、見えてください」
「それでは、付いて来て下さい」
「はい」
私達は、地下にある研究室を見せて貰った。
「魔方陣の研究は、余りやられていないのですか?」
「すみません。私は、軍人なので、研究の方は、よく知らないのです」
「そうですか。すみませんでした」
「いえ、こちらこそ。次回、連絡して貰えれば、説明ができる者を手配しておきますよ」
「そうですか。暫くは、この街に滞在していますので、お願いします」
「分かりました。連絡は、どのようにすればいいですか?」
「こちらから、ベルーナ大佐に連絡を入れます。先日のセーロンと同じ方法で、いいですか?」
「いいですよ。連絡を、お待ちしています。
部下に、商業ギルドまで、案内させましょうか?」
「ありがたいですが、ゆっくりと、街を見ながら、行きます」
「そうですか、それでは、後日、また、会いましょう」
「はい、それでは、失礼します」
私達は、色々な店を見ながら、商業ギルドへ向かった。街の中には、至る所に軍人が居り、さすがに軍事都市と言われるだけある。このソーロン帝国では、他の街でも同じように、軍人が管理をしているのだろう。
よく見てみると、軍人が兵士の代わりに治安の維持も行っているようだ。この国では、ひょっとすると、すべて、軍人かも。そういえば、神官を見ていない気がする。
漸く、商業ギルドに着いた。建物も、何だか基地のように見えるのは、気のせいだろうか。
「すみません。商業ギルドに登録したいのですが、よろしいでしょうか」
係員が一人、こちらに来てくれた。
「はい、私が、承ります。私は、ナツといいます」
「私は、ヘノイ王国のブューラナという商業都市から来ました。商人のテラです。
こちらは、私の従魔のスピアと言います」
「分かりました。念のため、商業IDを見せてください」
「はい、これです」
ナツは、私の商業IDを確認した。
「結構です。それでは、御用件をお伺いいたします」
「この街に私どもの支店を出したいと考えております」
「そうですか。それで、どのような商品を売るのでしょうか。
実は、他の国の商業ギルドとは、少し、異なる部分があるので、お聞きしているのです」
「ポーションや、アイテムボックスを考えております」
「すみません。それらは、扱うことができません。
それらの商品は、軍が管理しており、商業ギルドでは、扱うことが出来ないのです」
「そうですか。それでは、どうすればいいのですか?」
「そのような商品の場合は、軍と契約を結ぶ必要があります。
そして、その契約は、当然、商業ギルドは、感知しておりません」
「軍と契約ですか。それで、販売は、どこでするのですか?」
「軍の経営している店でのみ販売が出来ます。ですから、支店は不要です」
「支店だけでも確保して、販売する商品は、今後検討するということは、できますか?」
「商品なしで、店を持つのですか?」
「はい、そうです」
「テラ様には、メリットがありませんよ。無駄な投資になるかと」
「先行投資なので、構いません」
「それでは、どのような店舗をお望みですか?」
私達は、ナツと店の間取り等の条件を確認しながら、店を決めた。取り敢えず、3カ月借りることにした。商品を至急考えないといけない。何が、売ってもいいのかも、詳しく聞かないとだめだな。
このナツは、余り親切ではなさそうだ。別の人と、懇意になった方がよさそうだ。
「お世話になりました。私は、この街で、商店を経営しているアキーラと言います。良ければ、私の店に寄ってください。お礼もしたいので」
「すみません。先を急いでいるので、また、機会があれば、寄らせてもらいます」
「そうですか。本当にありがとうございました」
私達は、商人のアキーラと別れた。私達は、ベルーナ大佐のいる基地に向かった。そして、基地の近くの人目に付かない所に転移魔法用の魔法陣を描き、闇魔法の結界で、隠した。
基地の出入口には、複数の兵士が立っていた。
「すみません。ベルーナ大佐に会いに来ました。これが紹介状です」
「少し、お待ちください」
係の兵士は、受付用の部屋に入り、連絡を取っている。
「確認できました。念のため、何か個人を証明できるものをお持ちでしょうか」
「商業IDですが、これで、いいですか?」
「はい、結構です。隣にいるのは、あなたの従魔ですね」
「はい、そうです」
「それでは、このまま、真っ直ぐに行って、そこの建物の入り口に立っている兵士に紹介状をお見せ下さい」
「ありがとうございました」
私達は、真っ直ぐに進み、大きな建物の前の兵士に紹介状を見せた。すると、別の兵士がやってきて、私達をベルーナ大佐の部屋まで、案内してくれた。
「こんにちは。商人のテラです。この度は、お招き頂き、ありがとうございます」
「良く来られた。何もないが、寛いでください」
「ありがとうございます」
私達は、ソファに座った。暫くすると、一人の兵士がお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「さあ、遠慮せずに頂いてください」
「すみません。頂きます」
「この基地は、ソーロン帝国随一の基地で、それ故、この街は軍事都市リーベンと呼ばれています。
特に、魔導兵士の育成と、神具・魔道具の研究に力を入れています」
「そうですか。どちらも、興味があります」
「そうですか。テラさんには、お世話になっていますので、出来る限り、お見せしましょう」
「えっ、いいんですか。嬉しいです」
「それじゃ、行きましょうか」
私達は、ベルーナ大佐に案内されて、魔導兵士の講義や演習を見て回った。
「凄いですね。少し、聞いてもいいですか?」
「何か、質問ですか?テラさん、熱心ですね。
基地の見学は、口実ではなかったのですか?」
「いいえ、本当に見たかったのです。
どちらかというと、商売は、二の次です。
質問ですが、魔法学院との違いを教えて貰えたら、ありがたいです」
「一番の違いは、実践を想定して、すべて、行っている点ですね。
例えば、同じ魔法を起動するとしても、色んな環境で、行っています。
極寒の部屋で、実施したり、格闘中に起動したり、ですね」
「そうですか。実践重視ということですね」
「はい、そうです。ですから、魔導兵士は、格闘技も必須科目です」
「なるほど、よく分かりました」
「それでは、神具・魔道具の研究所を見ますか?時間は、大丈夫ですか?」
「はい、見えてください」
「それでは、付いて来て下さい」
「はい」
私達は、地下にある研究室を見せて貰った。
「魔方陣の研究は、余りやられていないのですか?」
「すみません。私は、軍人なので、研究の方は、よく知らないのです」
「そうですか。すみませんでした」
「いえ、こちらこそ。次回、連絡して貰えれば、説明ができる者を手配しておきますよ」
「そうですか。暫くは、この街に滞在していますので、お願いします」
「分かりました。連絡は、どのようにすればいいですか?」
「こちらから、ベルーナ大佐に連絡を入れます。先日のセーロンと同じ方法で、いいですか?」
「いいですよ。連絡を、お待ちしています。
部下に、商業ギルドまで、案内させましょうか?」
「ありがたいですが、ゆっくりと、街を見ながら、行きます」
「そうですか、それでは、後日、また、会いましょう」
「はい、それでは、失礼します」
私達は、色々な店を見ながら、商業ギルドへ向かった。街の中には、至る所に軍人が居り、さすがに軍事都市と言われるだけある。このソーロン帝国では、他の街でも同じように、軍人が管理をしているのだろう。
よく見てみると、軍人が兵士の代わりに治安の維持も行っているようだ。この国では、ひょっとすると、すべて、軍人かも。そういえば、神官を見ていない気がする。
漸く、商業ギルドに着いた。建物も、何だか基地のように見えるのは、気のせいだろうか。
「すみません。商業ギルドに登録したいのですが、よろしいでしょうか」
係員が一人、こちらに来てくれた。
「はい、私が、承ります。私は、ナツといいます」
「私は、ヘノイ王国のブューラナという商業都市から来ました。商人のテラです。
こちらは、私の従魔のスピアと言います」
「分かりました。念のため、商業IDを見せてください」
「はい、これです」
ナツは、私の商業IDを確認した。
「結構です。それでは、御用件をお伺いいたします」
「この街に私どもの支店を出したいと考えております」
「そうですか。それで、どのような商品を売るのでしょうか。
実は、他の国の商業ギルドとは、少し、異なる部分があるので、お聞きしているのです」
「ポーションや、アイテムボックスを考えております」
「すみません。それらは、扱うことができません。
それらの商品は、軍が管理しており、商業ギルドでは、扱うことが出来ないのです」
「そうですか。それでは、どうすればいいのですか?」
「そのような商品の場合は、軍と契約を結ぶ必要があります。
そして、その契約は、当然、商業ギルドは、感知しておりません」
「軍と契約ですか。それで、販売は、どこでするのですか?」
「軍の経営している店でのみ販売が出来ます。ですから、支店は不要です」
「支店だけでも確保して、販売する商品は、今後検討するということは、できますか?」
「商品なしで、店を持つのですか?」
「はい、そうです」
「テラ様には、メリットがありませんよ。無駄な投資になるかと」
「先行投資なので、構いません」
「それでは、どのような店舗をお望みですか?」
私達は、ナツと店の間取り等の条件を確認しながら、店を決めた。取り敢えず、3カ月借りることにした。商品を至急考えないといけない。何が、売ってもいいのかも、詳しく聞かないとだめだな。
このナツは、余り親切ではなさそうだ。別の人と、懇意になった方がよさそうだ。
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