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 第4章 サルビア編

409.サルビアの希望

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 「リンダ、朝だよ」

 私は、リンダの柔らかそうな猫耳を揉んでみた。思っていた以上に気持ち良かった。

 「リンダ、起きて」

 今度は、肩を揺すりながら、声を掛けた。

 「もう、朝?すっかり、寝てしまったわ。仕事に行く用意をしないと。バスルームを借りるよ」

 「どうぞ、好きに使ったね」

 「ありがとう。昨日は、御馳走になりました。とても、気持ちよかった」

 「それは、良かった」

 リンダは、支度をして、早々と出て行った。

 私達は、のんびりと機能の後片付けをしていった。今日は、ここで、朝ご飯を創って、食べるぞ。

 「あぁ、しまった。家具や器具は買ったけど、朝ご飯の材料を買うのを忘れてしまった」

 私は、がっくりしてしまった。

 「いいよ。テラ。昨日の残りがあるから、それでも食べよう」

 「サルビアは、それでいいの?」

 「いいよ。テラと一緒に食べたら、何を食べてもおいしいよ」
 
 「うん。美味しい」

 「そうか、ありがとう。それじゃ、一緒にたべようね」

 私は、いつものように、食べている振りをした。

 「それじゃ、仕事だね」

 私は、サルビアに、朝のルーチンワークを教えながら、開店の準備をした。

 「サルビアは、これから、どうする。どんな事がしたい?」

 「まだ、決めてないけど、誰かの役に立ちたいな。テラみたいに」

 「私みたいに冒険者になる?」

 「この間、ダンジョンに潜って、やっぱり、私には、向いていないように感じたわ」

 「そうか、残念だけど、仕方ないね」

 「ごめんなさい。でも、戦いは、だめね」

 「いいよ。サルビアは、嫌なものを無理にすることないよ」

 「いいの、それで」

 「いいよ、一緒に居たいだけだから」

 「それじゃ、私みたいになりたいって、何をするの?」

 「テラみたいに、誰かの病気を治したいの」

 「そうか、医者になりたいのか」

 「はい、出来たら、医者になりたい。でも、どうしたらなれるのか分からない」

 「私も、分からないよ。
 まあ、誰かに聞けばいいよ。慌てることはないから。
 ところで、サルビアの病気って、よくあるの?」

 「そうね、よく聞くね。でも、治ったって、話は、あまり聞かない」

 「ふーん、なぜかなぁ?」

 「テラが言っていた病名って、初めて聞いたよ」

 「そうなの。誰も病名を言わないの」

 「他の病気の時は、病名を言っているよ。でも、私の病気は、原因不明の難病というだけよ」

 「そうなんだ」

 「だから、テラの治療は、画期的な物よ。他の誰も今出来ないよ」

 「そうか、私は、特別なんだね」

 「そうみたい」

 「それじゃ、サルビアは、私から、治し方を勉強する?」

 「いいの、教えて貰って」

 「サルビアは、遠慮したらだめだよ。欲しい物は、欲しいって言ってよ。私は、何でもあげるよ」

 「嬉しい。教えて」

 「だれか、患者を探して、直しながら教えるのがいいな」

 「そうだね。その方が、治せるって、自信にもなるね」

 「サルビアは、その病気になっている人を誰か知らない?」

 「何人か、知っているよ。でも、皆貴族だよ」

 「そうか、貴族なのか。ひょとすると、貴族特有の病気かも知れないね」

 「テラ、何故、そう思うの」

 「あの病気は、魔力を持っている者だけが罹る病気なんだ。だから、普通の人は、掛からないと思うよ」

 「魔力がないと掛からないなら、貴族だけが罹るね」

 「貴族エリアにこっそり行こうか」
 
 「そんなこと、出来るの」

 「できるよ。いつもやっていただろ。消えてしまう魔法を」

 「本当だ、忘れていた。スピアが急に現れた時は、本当にびっくりしたわ」

 「サルビアにも、模倣を掛けてあげるよ。それど、貴族エリアに行けるよ」

 私達は、隠密魔法で、消えたようにして、貴族エリアのサルビアの家の裏口に転移魔法で移動した。

 私は、思念伝達で、サルビアに話し始めた。

 「サルビア、聞こえる」

 「はい、聞こえるよ」

 「だめだよ。口に出して話したら」

 「えぇ、口に出さずに話すって、どうするの」

 「今、私の声は、耳から聞いていないでしょ。頭の中に直接響いてるでしょ」

 「はい、頭の中で聞こえるよ。耳からでなくて」

 「そう、これが思念伝達っていうのよ。慣れてね」

 「はい、わかりました」

 「そう、今、出来たいたわ」

 「もう、大丈夫です」

 「うまく、この思念伝達と普通の会話を切り替えて使ってね」

 「はい、もうできると思います」

 「それじゃ、まず、貴族エリアにはいるよ。私について来てね」

 私達は、隠密魔法を起動したまま、貴族エリアの出入口にいる係員の前を通過した。

 貴族エリアに無事入った。貴族エリアの出入口から、離れた所で、隠密魔法を解除した。

 「さあ、まず、貴族らしい服を買いに行くわよ。スピアも分も買うよ」

 「うん、買う」

 「それじゃ、サルビアが服を選んでね。私では、貴族の普通の服が分からないから」

 「いいわよ。私がテラの服も、スピアの服も選ぶわ」

 「それでは、サルビアに任せるよ」

 私達は、サルビアに服を選んでもらい、一見貴族のように見える様になった。

 ただ、立ち振る舞いはまだまだできないが、それは、サルビアにフォローしてもらうことにした。

 「それじゃ、患者の所にいきますか。医師サルビア」

 「はい、いきます。医師テラ。助手スピア」  
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