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 第4章 サルビア編

407.サルビアの冒険者デビュー

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 サルビアの冒険者としての装備・武器を揃えた私達は、初級ダンジョンに潜ることにした。

 「これで、お願いいたします」

 私達は、初級ダンジョンの出入口にいる係員に冒険者IDを渡して確認してもらった。入場料も、冒険者IDから支払った。

 「それじゃ、行くよ。先頭はスピア、お願いね」

 「うん、戦闘行く」

 「次は、サルビアね。私は、最後尾で、ついて行くね」

 「そうだ、今日は、サルビアが初めてだから、スピア、ゆっくり、行ってね。
 できれば、街中を歩いている感じでね」

 「うん、ゆっくり、行く」

 少し歩くと、スライムが出て来た。

 「テラ、あのブヨブヨしたものは、何?」

 私は、サルビアに闇魔法の結界で、防御力を高めておいた。

 「あれは、スライムだよ。サルビア、ちょっと、叩いてみて」

 「えい、えい」

 スライムが倒れ、小さな魔石が飛び出した。

 「何か、小さい石みたいなものが出て来たよ」

 「あれは、魔石といって、冒険者ギルドに引き取って貰うと、お金が貰えるよ」

 「へぇ、そうなんだ。魔物を倒して、お金を稼いでいるのね」

 「そうだよ。冒険者は、魔物を倒したり、依頼を受けたりして、報奨金を貰っているよ」

 サルビアにとっては、すべてが初めての体験で、新鮮な出来事のようだ。とても、楽しそうにしている。

 「サルビア、疲れていない」

 「初めてだから、少し、緊張している。でも、まだ、大丈夫よ」

 「そうだ、ここで、魔法の練習をやってみようか」

 「いいの。私、まだ、火球ファイア・ボールしか、できないよ」

 「それで、十分だよ。次、スライムが出てきたら、魔法で倒してみてね」

 「はい、分かった」

 少し進むと、スライムの群れにぶつかった。それと、角ウサギが飛び出した。

 「サルビア、出て来たよ」

 「はい、火球ファイア・ボール、外れちゃった」

 「構わないよ。続けて魔法を放って」

 「はい、火球ファイア・ボール火球ファイア・ボール

 「上手だね。倒せたよ」

 「はい、当たったね」

 「あの動き回っている角ウサギが見える?」

 「はい、見えるよ」

 「今度は、それを狙ってみて」

 「はい、火球ファイア・ボール。あっ、外れた。動きが早くて、当たらない」

 「サルビア、角ウサギの動きを予測して、魔法を放ってみて」

 「はい、もう一度、火球ファイア・ボール

 「惜しい、もう少しだよ。連続で、放ってみて」

 「はい、火球ファイア・ボール火球ファイア・ボール

 「おぉ、当たったね。サルビア、上手だね」

 「ありがとう」

 私達は、その後も暫く、初級ダンジョンにいて、サルビアに魔物を倒して貰っていた。

 「そろそろ、帰ろうか」

 「もう少し、だめ?」

 「今日は、もう、十分だよ。サルビア、自分の魔力の残りを感じてみて」

 「そうね。可成り減っているみたい」

 「それが、無くなると動けなくなるよ。だから、常に自分の魔力の残りを意識してね」

 「はい、分かった」

 「それから、これを飲んでみて」

 私は、青のポーション(特級)を1本サルビアに渡した。

 「はい、ありがとう」

 サルビアは、青のポーションを飲み干した。

 「あぁ、魔力が戻ったわ」

 「そう、魔力が無くなってきたら、それを飲めばいいよ。もし、元気が無くなってきたら、赤色の方を飲めばいいよ」

 私は、サルビアに、赤のポーションと青のポーションと毒消しを、それぞれ10本ずつ渡した。

 サルビアは、それらをアイテムボックスに入れた。

 「それじゃ、そろそろ、帰ろうか」

 「はい」

 「うん。帰る」

 私とサルビアは、スピアの腰にしがみ付き、転移魔法で店まで移動した。

 私達は2階で、買って来たケーキを食べた。私は、食べたふりをして、アイテムボックスに入れた。

 この店で、サルビアと生活するとなると、今までとは、全く異なることを私は実感した。

 食事やトイレなど、普通の人間の生活様式が必要だ。この世界での常識がない私は、何を揃えたらいいのか、分からない。

 「そうだ、リンダに相談しよう」

 「テラ、急にどうしたの?」

 「これまで、スピアと私だけの生活だったから、この部屋には何も置いていなかったんだ」

 「それで、だめなの?」

 「私とスピアは、この部屋では、寝る時しか使っていなかったんだ。だけど、サルビアが来たから、この部屋は寝るだけじゃなくて、生活する部屋に変えないと不便になると思うんだ」

 「そうかな、よくわからない。私も、ベッドの上で、寝ているだけだったから。テラ達と同じだよ」

 「でも、食事を持ってきてくれていただろう」

 「あぁ、そうね。すべて、やって貰っていたから、必要だと思っていなかった。そんなことも、気がつかなかったわ。これまでは、いっぱい、迷惑を掛けていたんだね」

 「迷惑だなんて、誰も思っていないよ」

 「そうかな?」

 「当たり前だよ。こんなに可愛い、サルビアを誰が迷惑だと思うんだ」

 「迷惑では、無かったの」

 「そうだよ。迷惑じゃないよ。これからも、そんなこと考えちゃいけないよ」

 「はい、考えないようにします」

 「それで、いいよ」

 「ちょっと、ここで、待っていてね。商業ギルドに行って来るね。スピアは、サルビアを守ってね」

 「うん。サルビア、守る」

 私は、商業ギルドに向かった。リンダに、相談するためだ。
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