上 下
33 / 270
 第4章 サルビア編

404.サルビアの不幸

しおりを挟む
 今日は、初級ダンジョンの横に作った薬草の栽培地をチェックしに行くことにした。

 いつも通り、店を開店してから、転移魔法で薬草の栽培地に移動した。

 まずは、薬草の採取だ。これは、スピアに頼んだ。私は、ポーション用のガラス瓶を土魔法で創っていった。後々の事もあるので、一気に作っておこうと思い。この作業に午前中を当てた。

 おかげで、1000本作ることが出来た。これで、暫くは、ガラス瓶を創らなくて、済みそうだ。

 スピアが戻って来たので、私達は、転移魔法で店に移動した。

 店に戻った私は、赤のポーションから、青のポーション、そして、毒消しを創って、ガラス瓶に詰めて行った。それを、倉庫に保管しておいた。

 次に、冒険者ギルドに行って、ゴブリンの証拠品を引き取って貰った。今日は、200匹分を引き取って貰った。後、200匹分残っている。ちょっと、ゴブリンばかり、狩りすぎている。もっと効率のよい魔物に切り替えた方がよさそうだ。

 ちょっと、気分転換に自分のスキルをスキル隠蔽で、隠蔽した。その後、スキル鑑定で調べてみた。

 これを暫く繰り返して、スキル隠蔽とスキル鑑定のレベルアップを図った。しかし、レベルが2上がっただけだった。もっと、効率の良い方法がないかな?いつか、見つかるかな?

 次に、将来の事を考えて、土魔法を鍛えておくことにした。使う回数は多いが、どちらかというと、おおざっぱな物を作ることが多い。そこで、今日は、来年用の自分の身体を創ることにした。

 まずは、今の私を鏡で見ながら、一回り大きな少女を創った。次に細部の調整だ。細かな作業を何度も、繰り返して、ようやく、何とか人に見えるぐらいにはなったが、まだまだ、賢者サビオが作ったものに比べるとだめだった。

 次に、スピアを見ながら、そっくりな土人形を創り始めた。ただし、大きさは、今の自分と同じ、120cmぐらいにした。つまり、一回り小さなスピアだ。

 これも、何とか、それらしく作ったが、まだまだ、だった。作った、2体の土人形を地下牢の前の工房に飾っておいた。

 一通り、予定していた仕事を終えたので、また、貴族エリアで、情報収集に行くことにした。

 貴族エリアにある商業ギルドを覗くことにした。冒険者ギルドは、貴族エリアにはないが、商業ギルドは、普通の人のエリアとは別に貴族専用がある。

 いつも言っている商業ギルドとは比べようもないほど大きな建物だ。それに、内装が豪華だ。

 念のために、もう一度、光魔法で、私とスピアをクリーンにした。

 さて、これでいいだろう。私達は、商業ギルドに入っていった。

 中は、広く、多くの人が居るにも拘わらず、ゆったりしていた。

 「今日は、面白い話が聞けるかな?」

 スピアに思念伝達で声を掛けた。

 「うん。聞けるよ」

 私達は、ソファに座って、紅茶を飲みながら商談をしている貴族の後ろに立った。

 「最近の取引は、どうですか?」

 「そうですね。例年通りですかね。帝国への輸出が少し減っているので、何か、手を打たないといけないですよ」

 「帝国ですか。最近の動きは、きな臭いですね」

 「えっ、そうですか。戦争ですか?」

 「大きな声では言えませんが、準備中のようですね」

 「なるほど、それで、輸出が減っているのですね」

 「内緒ですよ」

 「分かっていますよ」

 今の私達には、関係のない話だった。また、別のソファの近くに行った。

 「カネーダ侯爵の事を聞いたかね」

 「あの成金か。あいつがどうした?」

 「おいおい、誰が聞いているか、分からないぞ。言い方には注意しといた方がいいぞ」

 「でもなぁ。嫌いなんだよ」

 「そりゃ、皆嫌っているよ。でも、侯爵だからな。金で買ったらしいけどな」

 「それがどうしたんだ」

 「また、妾を買うそうだ。それも、10才だと」

 「そりゃまた、ギリギリの年だな。妾に出来る最年少だね。
 その、可哀そうな女の子は、誰だい」

 「没落貴族の子、サルビアだよ」

 「えぇ、あの子は病弱で、寝たきりだろ」

 「そうだよ。だから、医者に金の糸目をつぎ込んで、没落してしまったんだ。
 その時の借金が残っているから、断れないのさ」

 「そうか、我が子の為なら、俺でも全財産つぎ込むね」

 「俺でも同じさ。でも、そんな子を妾にするかね。
 しかも、どうも、逆らしいよ」
 
 「逆とは、どういうことだい」

 「先に、妾にしようと考えたということさ」

 「えぇ、それで、金を貸したのか」

 「そう、でも、それだけじゃないようだぜ」

 「どういうことだ」

 「病気を見ていた医者があの成金の息が掛かっている者で、高額な医療費を要求していたらしい。
 しかも、そんなに能力のある医者じゃなかったから。病気も治せなかったらしい」

 「ん、不治の病じゃなかったか」

 「確かに、難病だが、直せる医者もいるらしい。
 でも、その医者は、王宮の特級医だから、見て貰えないよな」
 
 「その屋敷って、この近くじゃなかったか?」

 「この通りの端にある汚い屋敷だよ」

 「そうだったな」

 「結局、借金が、金貨500万枚らしいよ」

 「よくも、そんなに借りたね。それなら、妾だけでは済まないだろ」

 「そうだよ。屋敷も取り上げだよ」

 私は、スピアに思念伝達で話をした。

 「そうか、あの時の女の子だったんだな。可哀そうに」

 「うん。可哀そう」

 「誰か、助けてやれないのかなぁ」

 「うん、助けてあげて」

 「そうか、スピアも、そう思うか」

 私達は、サルビアに会いに行くことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!

青空一夏
ファンタジー
 婚約者(レミントン侯爵家嫡男レオン)は何者かに襲われ亡くなった。さらに両親(ランス伯爵夫妻)を病で次々に亡くした葬式の翌日、叔母エイナ・リック前男爵未亡人(母の妹)がいきなり荷物をランス伯爵家に持ち込み、従兄弟ラモント・リック男爵(叔母の息子)と住みだした。  私はその夜、ラモントに乱暴され身ごもり娘(ララ)を産んだが・・・・・・この夫となったラモントはさらに暴走しだすのだった。  ラモントがある日、私の従姉妹マーガレット(母の3番目の妹の娘)を連れてきて、 「お前は娘しか産めなかっただろう? この伯爵家の跡継ぎをマーガレットに産ませてあげるから一緒に住むぞ!」  と、言い出した。  さらには、マーガレットの両親(モーセ準男爵夫妻)もやってきて離れに住みだした。  怒りが頂点に到達した時に私は魔法の力に目覚めた。さて、こいつらはどうやって料理しましょうか?  さらには別の事実も判明して、いよいよ怒った私は・・・・・・壮絶な復讐(コメディ路線の復讐あり)をしようとするが・・・・・・(途中で路線変更するかもしれません。あくまで予定) ※ゆるふわ設定ご都合主義の素人作品。※魔法世界ですが、使える人は希でほとんどいない。(昔はそこそこいたが、どんどん廃れていったという設定です) ※残酷な意味でR15・途中R18になるかもです。 ※具体的な性描写は含まれておりません。エッチ系R15ではないです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

処理中です...